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第十九話「ふたりの婚約、王国中が祝福」
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金糸を織り込んだ純白のドレスが、王宮の大広間の中央に静かに降り立った。
その袖を取るのは、黒と銀の礼装を纏った、アランザール王・カイ。
大広間には、王国中の貴族、外交官、宮廷関係者、民間の代表者までもが集っていた。
本日は――
**「アランザール王と、王妃リディア・エルグレインの正式な婚約を、王国として承認・祝福する式典」**である。
入場の瞬間。
その美しさに、誰もが息を呑んだ。
ただの美貌ではない。
あの深紅の瞳に宿る冷静な知性と、揺るがぬ意思。
それは、かつて“捨てられた公爵令嬢”と呼ばれた少女の姿ではなかった。
「――女王の風格だ」
誰かが、小さく呟いた。
その言葉は、会場にいた多くの者の胸に、否応なく染み渡っていた。
「リディア・エルグレイン嬢」
カイ王が、王座の正面から歩み出て、宣言する。
「我がアランザール王国は、貴女を正式に“次代の王妃”として迎え入れる。
この婚約は、政略でもなく、儀礼でもない。私の――そして国民の意志によるものだ」
その言葉に、場が水を打ったように静まり返る。
そしてリディアが、ゆっくりと頭を下げる。
「私は、この国の王と共に歩む者として、全身全霊をもってこの誓約をお受けいたします。
……王妃としてではなく、一人の人間として、この国を誇れる場所にするために」
――拍手。
はじめは、戸惑いが混ざった小さな音だった。
けれど、それがやがて大きな波となり、大広間を満たしていく。
かつて、彼女を見下していた者たち。
懐疑していた貴族たち、出自を問うた者たち――
その全てが、いま、リディアの前に頭を下げていた。
その光景を、最奥の席で見つめていたひとりの青年――ユリウス・フェルナンドは、ただ黙って立ち上がった。
かつて自分の隣にいた少女は、
今や王の隣に並び、国の未来を語る存在になっていた。
誰よりも愛されたはずの平民令嬢・ミレイナは、もう彼の側にはいなかった。
ただ、“選ばれなかった者たち”だけが静かに残された。
その夜、王都は祝賀の光に包まれた。
人々は歌い、踊り、王とその未来の妃に花束を捧げた。
「……今日ほど、この国に生まれてよかったと思ったことはありません」
小さな村から来たという少女が、そう言って笑っていた。
その言葉に、リディアはただ静かに、微笑みを返した。
彼女はもう、過去の“誰かの令嬢”ではない。
アランザール王国の、“未来の象徴”であった。
その袖を取るのは、黒と銀の礼装を纏った、アランザール王・カイ。
大広間には、王国中の貴族、外交官、宮廷関係者、民間の代表者までもが集っていた。
本日は――
**「アランザール王と、王妃リディア・エルグレインの正式な婚約を、王国として承認・祝福する式典」**である。
入場の瞬間。
その美しさに、誰もが息を呑んだ。
ただの美貌ではない。
あの深紅の瞳に宿る冷静な知性と、揺るがぬ意思。
それは、かつて“捨てられた公爵令嬢”と呼ばれた少女の姿ではなかった。
「――女王の風格だ」
誰かが、小さく呟いた。
その言葉は、会場にいた多くの者の胸に、否応なく染み渡っていた。
「リディア・エルグレイン嬢」
カイ王が、王座の正面から歩み出て、宣言する。
「我がアランザール王国は、貴女を正式に“次代の王妃”として迎え入れる。
この婚約は、政略でもなく、儀礼でもない。私の――そして国民の意志によるものだ」
その言葉に、場が水を打ったように静まり返る。
そしてリディアが、ゆっくりと頭を下げる。
「私は、この国の王と共に歩む者として、全身全霊をもってこの誓約をお受けいたします。
……王妃としてではなく、一人の人間として、この国を誇れる場所にするために」
――拍手。
はじめは、戸惑いが混ざった小さな音だった。
けれど、それがやがて大きな波となり、大広間を満たしていく。
かつて、彼女を見下していた者たち。
懐疑していた貴族たち、出自を問うた者たち――
その全てが、いま、リディアの前に頭を下げていた。
その光景を、最奥の席で見つめていたひとりの青年――ユリウス・フェルナンドは、ただ黙って立ち上がった。
かつて自分の隣にいた少女は、
今や王の隣に並び、国の未来を語る存在になっていた。
誰よりも愛されたはずの平民令嬢・ミレイナは、もう彼の側にはいなかった。
ただ、“選ばれなかった者たち”だけが静かに残された。
その夜、王都は祝賀の光に包まれた。
人々は歌い、踊り、王とその未来の妃に花束を捧げた。
「……今日ほど、この国に生まれてよかったと思ったことはありません」
小さな村から来たという少女が、そう言って笑っていた。
その言葉に、リディアはただ静かに、微笑みを返した。
彼女はもう、過去の“誰かの令嬢”ではない。
アランザール王国の、“未来の象徴”であった。
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