『悪役令嬢は平民になってもモテすぎて困ってます!~地味ライフのはずがイケメンだらけの薬草店になりました~』

みなこん。@イラストレーター

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第10話:ライバル登場? 金髪の完璧令嬢とティータイム

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「……どうぞ。お口に合えば良いのですが」

「まあ、ありがとうございますわ。とても良い香り」

 

 ――本日、ロゼリア薬草店・奥の応接間にて。

 金髪の完璧令嬢・エステル=ミリアン嬢と、
 わたくしロゼリア=グレイスとの、静かなティータイムが始まっておりました。

 

 カップの中で香るのは、カモミールとミルラをブレンドした穏やかな薬草茶。
 ですが――その場に漂う空気は、どうにも穏やかとは言いがたいものでして。

 

「それにしても、ロゼリア様ってお美しいのですね。王都でも評判でしたけれど、実物は……ふふ、危険なレベルですわ」

「まあ。それはご丁寧に。エステル様こそ、その微笑だけで村の男たちを虜にしてしまいそうですわね」

「うふふ、光栄です。でも、そんな方がすでに三人もの殿方に囲まれていらっしゃるだなんて……」

「ええ、“囲まれて”いるわけではありませんの。ただ、居候が三人、少々……騒がしいだけですわ」

「まあまあ。それでいて全員がイケメンなんて、まるで乙女ゲームの主人公ですわね」

「でしたら、わたくしは選択肢を間違え続けているのでしょうかしら?」

「ふふ……逆に、その“選ばない”姿勢が、皆様を夢中にさせているのかもしれませんわよ?」

 

 にっこりと、丁寧な笑顔の応酬。
 けれど互いに紅茶を口に運ぶ手は、決して隙を見せません。

(……やりますわね、エステル嬢)

(これはただの“薬草の視察”ではありませんわ。完全に――“探り合い”ですもの)

 

 ***

 

 その後、話題はごく自然に“誰と一番親しいのか”という方向へ。

「アレクシス様とは、特に親しいご様子で?」

「いえ。ただの……同居人、兼、護衛ですわ」

「それにしては、先日お二人で祭りに向かわれていたとか。とてもお似合いでした」

「情報網がやけに早いですわね!?」

「ふふ、王都の女は噂話の吸収速度が命ですもの」

 

 ……侮れませんわ、この完璧令嬢。

 

 最後に、エステル嬢は穏やかに、けれど意味深にこう言いました。

「わたくし、もう少しこの村に滞在する予定ですの。しばらく、ご迷惑をおかけするかもしれませんわね?」

「とんでもございません。村は広うございますし……ただし、我が薬草店の周囲だけは“危険地帯”ですわ。男たちが妙に集まってきますので」

「まぁ、それは……楽しみですわね?」

 

 そして彼女は、完璧な笑顔で立ち去っていった。

 

 ――残されたわたくしは、紅茶のカップを見つめながら、ひとつ深く息を吐いた。

(まさか、こんな辺境の村で、“恋愛ライバル”が現れるなんて)

(わたくし、やっぱり平穏には生きられませんのね……)
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