『悪役令嬢は平民になってもモテすぎて困ってます!~地味ライフのはずがイケメンだらけの薬草店になりました~』

みなこん。@イラストレーター

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『悪役令嬢はモテすぎた結果、結婚しました!~無表情騎士と新婚スローライフ、始まります~』

続・第10話:ふたりの新婚、第一歩

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 花が咲き、風が香る季節。
 村の広場の片隅、薬草店の裏庭を使って――小さな結婚式が開かれておりました。

「ロゼリアお姉ー! この花の飾り、全部ボクがやったからね! 褒めてー!」

「カイ、花の色が片側だけ派手すぎですわ!?」

「感性だよ感性!」

「エドワード殿下から祝電が届きましたー。“心より祝福を。次こそは負けない”とのことです!」

「何と戦っておられますの!?!?」

 ユリウス王子は王都から贈り物を、
 ハロルド様はなぜか“村の薬草分析報告書”を添えてきて。

 そして、毒舌従兄オスカーは「嫁入り道具」と称して大量の生活用品を詰め込んできました。

 
 ――けれど、なにより。

 わたくしが一番うれしかったのは、
 アレクシス様が、そっと差し出してくれた“たったひとつの言葉”。

「今日から、ロゼリアを“妻”と呼ぶ。……慣れるには、少しかかるかもしれないが」

「はい。……それで十分ですわ」

 神父様ではなく、村の長老が立ち会い人。
 証人はカイと、近所のおばあさま。

 祝福の鐘の代わりに、遠くで草刈りをする音が響いていて。
 でも、それが何よりも、わたくしたちらしい結婚式でした。

 

 ***

 

 その日の夜。
 薬草店の窓から、ろうそくの灯りがふたり分、静かに揺れていました。

「……ついに“新婚生活”ですのね」

「……ああ」

 特別なことは何もない、ただの夜。
 でも、この日からは、ずっと“ふたりで”暮らしていく夜。

「アレクシス様」

「ん」

「――好きですわよ、夫様」

「……照れるから、その呼び方はやめろ」

「いえ、やめません。だって、今だけですもの。新婚ですから」

 そして、わたくしは小さく笑った。
 心から、幸せだと思える笑顔で。

 ラベンダーの香る寝室で、
 わたくしたちは、ようやく手を取り合って、同じ未来を歩み始めたのです。

 過去ではなく、誤解でもなく、噂でもない――

 “わたくしたちだけの物語”を、これから紡いでいくために。

(完)
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