31 / 31
『悪役令嬢はモテすぎた結果、結婚しました!~無表情騎士と新婚スローライフ、始まります~』
続・第10話:ふたりの新婚、第一歩
しおりを挟む
花が咲き、風が香る季節。
村の広場の片隅、薬草店の裏庭を使って――小さな結婚式が開かれておりました。
「ロゼリアお姉ー! この花の飾り、全部ボクがやったからね! 褒めてー!」
「カイ、花の色が片側だけ派手すぎですわ!?」
「感性だよ感性!」
「エドワード殿下から祝電が届きましたー。“心より祝福を。次こそは負けない”とのことです!」
「何と戦っておられますの!?!?」
ユリウス王子は王都から贈り物を、
ハロルド様はなぜか“村の薬草分析報告書”を添えてきて。
そして、毒舌従兄オスカーは「嫁入り道具」と称して大量の生活用品を詰め込んできました。
――けれど、なにより。
わたくしが一番うれしかったのは、
アレクシス様が、そっと差し出してくれた“たったひとつの言葉”。
「今日から、ロゼリアを“妻”と呼ぶ。……慣れるには、少しかかるかもしれないが」
「はい。……それで十分ですわ」
神父様ではなく、村の長老が立ち会い人。
証人はカイと、近所のおばあさま。
祝福の鐘の代わりに、遠くで草刈りをする音が響いていて。
でも、それが何よりも、わたくしたちらしい結婚式でした。
***
その日の夜。
薬草店の窓から、ろうそくの灯りがふたり分、静かに揺れていました。
「……ついに“新婚生活”ですのね」
「……ああ」
特別なことは何もない、ただの夜。
でも、この日からは、ずっと“ふたりで”暮らしていく夜。
「アレクシス様」
「ん」
「――好きですわよ、夫様」
「……照れるから、その呼び方はやめろ」
「いえ、やめません。だって、今だけですもの。新婚ですから」
そして、わたくしは小さく笑った。
心から、幸せだと思える笑顔で。
ラベンダーの香る寝室で、
わたくしたちは、ようやく手を取り合って、同じ未来を歩み始めたのです。
過去ではなく、誤解でもなく、噂でもない――
“わたくしたちだけの物語”を、これから紡いでいくために。
(完)
村の広場の片隅、薬草店の裏庭を使って――小さな結婚式が開かれておりました。
「ロゼリアお姉ー! この花の飾り、全部ボクがやったからね! 褒めてー!」
「カイ、花の色が片側だけ派手すぎですわ!?」
「感性だよ感性!」
「エドワード殿下から祝電が届きましたー。“心より祝福を。次こそは負けない”とのことです!」
「何と戦っておられますの!?!?」
ユリウス王子は王都から贈り物を、
ハロルド様はなぜか“村の薬草分析報告書”を添えてきて。
そして、毒舌従兄オスカーは「嫁入り道具」と称して大量の生活用品を詰め込んできました。
――けれど、なにより。
わたくしが一番うれしかったのは、
アレクシス様が、そっと差し出してくれた“たったひとつの言葉”。
「今日から、ロゼリアを“妻”と呼ぶ。……慣れるには、少しかかるかもしれないが」
「はい。……それで十分ですわ」
神父様ではなく、村の長老が立ち会い人。
証人はカイと、近所のおばあさま。
祝福の鐘の代わりに、遠くで草刈りをする音が響いていて。
でも、それが何よりも、わたくしたちらしい結婚式でした。
***
その日の夜。
薬草店の窓から、ろうそくの灯りがふたり分、静かに揺れていました。
「……ついに“新婚生活”ですのね」
「……ああ」
特別なことは何もない、ただの夜。
でも、この日からは、ずっと“ふたりで”暮らしていく夜。
「アレクシス様」
「ん」
「――好きですわよ、夫様」
「……照れるから、その呼び方はやめろ」
「いえ、やめません。だって、今だけですもの。新婚ですから」
そして、わたくしは小さく笑った。
心から、幸せだと思える笑顔で。
ラベンダーの香る寝室で、
わたくしたちは、ようやく手を取り合って、同じ未来を歩み始めたのです。
過去ではなく、誤解でもなく、噂でもない――
“わたくしたちだけの物語”を、これから紡いでいくために。
(完)
13
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまで
ChaCha
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したことに気づいたアイナ・ネルケ。
だが彼女はヒロインではない――ただの“モブ令嬢”。
「私は観る側。恋はヒロインのもの」
そう決めて、治癒魔術科で必死に学び、気合いと根性で仲間を癒し続けていた。
筋肉とビンタと回復の日々。
それなのに――
「大丈夫だ。俺が必ず君を守る」
野外訓練で命を救った騎士、エルンスト・トゥルぺ。
彼の瞳と声が、治癒と共に魂に触れた瞬間から、世界が静かに変わり始める。
幼馴染ヴィルの揺れる視線。
家族の温かな歓迎。
辺境伯領と学園という“日常の戦場”。
「……好き」
「これは恋だ。もう、モブではいたくない」
守られるだけの存在ではなく、選ばれる覚悟を決めたモブ令嬢と、
現実しか知らない騎士の、静かで激しい溺愛の始まり。
これは――
モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまでの物語。
※溺愛表現は後半からです。のんびり更新します。
※作者の好みにより筋肉と気合い…ヤンデレ落ち掛けが踊りながらやって来ます。
※これは恋愛ファンタジーです。ヒロインと違ってモブは本当に大変なんです。みんなアイナを応援してあげて下さい!!
しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる
長月 鳥
ファンタジー
町の電気屋として細々と暮らしていた俺、轟電次郎(とどろき でんじろう)。
ある日、感電事故であっけなく人生終了──のはずが、目を覚ましたら異世界だった。
そこは魔法がすべての世界。
スマホも、ドライヤーも、炊飯器も、どこにもない。
でもなぜか俺だけは、“電力を生み出し家電を召喚できる”という特異体質を持っていて──
「ちょっと暮らしやすくなればそれでいい」
そんなつもりで始めた異世界ライフだったのに……
家電の便利さがバレて、王族に囲まれ、魔導士に拉致され、気が付けば──
「この男こそ、我らの神(インフラ)である!」
えぇ……なんでそうなるの!?
電気と生活の知恵で異世界を変える、
元・電気屋おっさんのドタバタ英雄(?)譚!
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう
ムラサメ
恋愛
漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。
死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。
しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。
向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。
一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる