『悪役令嬢は平民になってもモテすぎて困ってます!~地味ライフのはずがイケメンだらけの薬草店になりました~』

みなこん。@イラストレーター

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『悪役令嬢はモテすぎた結果、結婚しました!~無表情騎士と新婚スローライフ、始まります~』

続・第9話:王都脱出!?ふたりで選ぶ未来

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正式な婚約式を終えて数日。

 わたくしロゼリア=グレイスとアレクシス様は、グレイス公爵家の応接間で“ある決断”を迫られておりました。

「で、ふたりは今後どうするの?」

 そう問いかけてきたのは、もちろんあの毒舌従兄――オスカー=グレイス。

「このまま王都に留まり、“公爵家の娘と騎士として社交の場に出る”という選択もある」

「あるいは、正式に籍を入れてから“辺境に戻る”という手もある」

「――ロゼリア嬢としては、どちらを希望する?」

 わたくしは……黙って、アレクシス様の方を見た。

 アレクシス様もまた、ゆっくりと目を伏せる。

 王都での生活は、確かに華やかです。

 屋敷も広く、着るものも上質。
 礼儀や所作に気を遣いながらも、誰もがわたくしたちを祝福し、称えてくれる。

 でも――

 (わたくしは、あの薬草の香りが満ちた小さな店で、彼と笑っていた日々が恋しい)

 (たとえ王都の人々に“優雅な令嬢”と呼ばれなくとも――あの村では、“わたくし”として生きられた)

「……わたくしは」

 迷いながら、でもはっきりと、口を開いた。

「王都に残っても、“ロゼリア”であり続ける自信がありませんの」

「……」

「それに、わたくしが本当に幸せを感じるのは――」

「――ロゼリアが決めたなら、俺も従う」

 アレクシス様が、静かに、でも確かな声で言った。

「王都ではなくてもいい。……お前の隣で生きられれば、それでいい」

「アレクシス様……」

 オスカーは、ふぅとため息をついて立ち上がる。

「ったく。惚気が過ぎるぞ。……まあいい。グレイス家としては、お前たちが幸せならば構わない」

 そして、冗談のような顔で笑いながら――

「ただし、次に王都に戻るときは、ちゃんと“夫婦”になっていること。いいな?」

「……了解いたしましたわ、兄様」

 こうして、わたくしたちは選びました。

 華やかさではなく、静けさを。
 誇りではなく、日常を。
 “名誉ある道”ではなく――“ふたりで築く道”を。

 そして、馬車に乗り込みながら、
 わたくしはそっとアレクシス様の手を取った。

「……辺境での結婚式、楽しみですわね」

「……招待状はカイに任せていいのか?」

「ええ、多分あの子、村中に叫んで回ると思いますわ」

 わたしたちは笑った。

 この笑顔を、きっと守り続けていけると信じて――
 再び、あの“穏やかな場所”へと帰っていったのです。
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