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トランスフォー◯ーじゃありません
第27話 アメリカナイズされるとでも?
しおりを挟むアメリカの天敵が、そうなるまで『ノーマーク』だった。
なぜ???
わかりやすく言うと……。
――いや、かつて世界はわかりやすかった。
とっても単純だった。
だって
東側陣営、西側陣営、真っ二つに分かれてケンカしてたから。
全世界的に二陣営にクッキリ分かれて敵対し、にらみ合っていたからね。
マンガみたいだね。
東のボスがソ連(現ロシア)。西のボスがアメリカ。 ──日本はアメリカ側。
なんで別れてたかというと。
『共産主義』(きょうさんしゅぎ)っていう、カルト宗教みたいな国家体制が流行っててね。
個人で財産を持たず、みんなで持ち寄ってみんなで幸せになろう的な理想論のもと、いくら働いても給料はおんなじ、貧富の差は無し! お店にある商品もおんなじという、無駄な競争やめましょ? って社会で。
一見なんか良い感じ! でもやっぱり無理がありまくりました。
結局やったことは、みんなのお金で武装してアメリカに対抗するって感じでね。
軍事力以外で競争しないもんだから、普通の国の商品のクオリティにどんどん置いていかれて、国自体が貧しくなって行くしね。今だと北朝鮮を見るとイメージしやすいね! あんな感じです。
ヤバかった。
こっちの価値観がぜんぜん通用しない相手で、喧嘩っ早くて、かなりヤバかった。
日本の漁船も北海道沖でしょっちゅうソ連(ソビエト連邦の略ね)に拿捕(だほ:とっつかまること)されて抑留されてた。銃撃されて死人が出たりもした。
80年代のゲームやアニメを見るとそういう世界観が反映されてて、
A国とS国がなんたらかんたらや、二大陣営、二大超大国が破滅に向けて争っているみたいな設定がやたら多いのに気がつくだろう。
五十年間もの長い間そういう状態だったので、当時はずっと世界はこのままの状態で行くんじゃないかと思ってしまうほど、ある意味安定した構造になっていたのだ。
それを『冷戦』と呼ぶ。 大ボス同士は直接対決しなかったから〝冷戦〟ね。
アメリカとソ連(現ロシア)
この二大超大国(当時のソ連はすごかったんだゾ【と思われてたんだゾ】)
それらが地球を何回も丸焼きに出来るほどのとんでもない数の
『ICBM( アイ・シー・ビー・エム)』
(大陸間弾道ミサイル、30分で地球の裏側の敵国へ到達する恐怖の大王ミサイル)
を振りかざし合って睨み合い
力の均衡をギリギリに保っていた。
そりゃもうギリギリ過ぎて、あとから知らされると
『全面核戦争』『地球滅亡』の一歩手前のエピソードがそんな身近にあったの!?
と唖然とするほど。 ギリギリ。
でもやがて、そんな脳筋なチキンレースを繰り返すうちに
流石に両国ともヘトヘトになり。
やたらと不毛なことに金を注ぎすぎたという反省もあり。
いろいろと話し合って歩み寄って軍縮していくわけだが。
(お利口になったのではなく、ヘトヘトになったからだぞ)
その中に『中距離核戦力全廃条約(IMF条約)』というのがあって
正式名称は
「中射程、及び短射程ミサイルを廃棄する
アメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦の間の条約」
というらしい。
まあ、『中距離ミサイル全廃条約』ね。
なぜ『遠距離』じゃなくて『中(短)距離ミサイル』かってところがポイントで
◇ 速攻ぶん殴れるヤバイやつだったから。
◇ ヤバイやつで競争するとキリがないから。
◇ ヤバイのだけでも止めにしね?
ってな流れらしい。(詳しくは自分で調べよう)
もひとつポイント。
この条約は『アメリカとソビエトの間の条約』だったこと。
(当時はどんだけ他国が眼中に無かったかというのがよくわかるネ)
(まぁ、そのくらい米ソが圧倒的だったと)
で、とりあえず手打ちムードというか。
そういう中で、アメリカの空母打撃群やらも編成されてきたと。
想定される敵、攻撃、
そういうものへの対抗だけを意識してデザインされていったと。
それでもソ連が健在で
睨みが効いた頃は他の国をガン無視しててもまだ良かったのだが
あっさりソ連がビンボーで自滅してロシアになっちゃって大混乱になって
給料未払いで食えないのも相まって、勝手に武器は売り払われまくるし
核だのロケットだのヤバイ系な技術や人がどんどん海外に流出しちゃうしで。
北朝鮮の核やら、アフリカの泥沼の内戦やら、途上国のミサイル武装化やら
みんなソ連崩壊の影響。
それまでソ連親分の影で、大人しくしていたヤクザの幹部やら若頭やらが
恐怖のタガが外れて好き放題に抗争をはじめちゃった感じで。
一気にカオスなことになっちゃって。
あれ?
気がついたときには中国が太平洋の西側は自分たちが面倒見るから
アメリカくんは出て行ってね! みたいな事を言い出したと。
っていうかやっちゃうぞ。
アメリカが中国軍を通常兵器で攻撃した場合でも
中国側によるアメリカ本土核攻撃は正当化される。とか言い出したり。
え?
中国くんそんな、ソ連でさえそこまで過激な事は言ったことがなかったのに
なんで強気な事いうの? うそーん。
あ、『中距離ミサイル全廃条約』には米ソ以外は入って無い。(しまった)
中国くん
イージス艦で処理しきれないミサイル持ってるじゃん。
やばくね?──── と。
そういう顛末…………らしいよ? 知らんけど。
しかし、これにはまだとんでもない根源があって。
それというのもアメリカくんは、日本の政治家もそうなんだが
なんか中国は貧しいから共産主義なんていうアホな宗教にハマってるけど
豊かになったら自然とアメリカナイズされて
アメリカとナイスな関係になれんじゃね?
みたいなワケのわからん夢を見ていたらしい。
……………。
これ失礼な話でな。
歴史で見ればずっと中国大陸の方が大国の大先輩なワケで。
っていうかあの辺の国は
中世、騎馬民族に国を取られちゃって変な髪型強要されたり色々あったが
あの場所は、はるか昔から大国やってる大ベテランなワケで。
近代化につまずいて『アヘン戦争』※注 から新参の欧米列強(イギリスとかアチラの国ね)にボコボコにされて、ここ二百年ばかりはチョット調子が悪かったけど。
そら調子を取り戻せば
『大国は中国大陸で生まれました。アメリカの発明品じゃありません。
我が国のオリジナルです。しばし遅れを取りましたが、今や巻き返しの時です』
ってなるのは、いたって自然な流れかと。
なんでアメリカの下につかなアカンねんと。
というワケでね。
ここからが本題。
在日アメリカ軍が注意を向けてるのは。
──── 中国から飛んでくるミサイルなのです。
陸伝いにやってくるヘンテコロボットなんか知らんのよ。
日本は島国やぞ?
海に囲まれてるねん。
陸伝いに誰が来るって言うねん、冗談も休み休み言えと。
もちろん戦車も置いてないし。
そういうシチュエーションで今回の事件が起こったのです。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
※注『アヘン戦争』
大ボスだった中国が、よりにもよってアヘンなんて麻薬を売りつけに来るコスずるいイギリスを断ったら、それを口実に戦争されて。絶対負けないと思われてたのにアッサリ負けて。その後はもうピラニアに食われるがごとく色んな国に食い散らかされてボロボロに。それをすぐ近くで見ていた日本のサムライ達がどれだけ恐怖したか!
「うかうかしてたら日本も、ああなるでござる!」 ── 開国へ!
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