ようこそ、喫茶店ネロへ

きな粉餅

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「あの、佐藤さんコーヒーいる」

「いりません」

 閉店後のネロ、3つしかないテーブル席に里子さん、高木君、佐藤さん、そして俺が座っていた。
 
「あの」

 少し目が腫れている高木君が話を切り出した。

「あの、さっきまでのあれはなんなんだったんですか」

「私らと似たようなもんだよ」

 手鏡で乱れた髪を直しながら里子さんは話し続けた。

「あれは餓鬼、地獄の亡者だよ」

 高木君は里子さんの説明が理解できていない様子だ。

「待ってください地獄、亡者どう言うことですか、それから僕をこっち側だのあの化け物と似たような者だとかどう言うことなんですか?」

 里子さんは手鏡をテーブルの上に置き不思議そうな顔をしていた。

「ん?ちょっとあんた手出しな」

「手ですか?」

 高木君が手を出すと里子さんの人差し指の爪が尖り高木君の手を少し切った。

「痛」

「我慢しな男だろ」

 里子さんは爪の先に付いていた血を舐めた。

「なるほど

 里子さんが高木君にこっち側だと言った時から薄々気づいていたけど。

「混ざってるて、何がですか?」

 里子さんは高木君の方をまっすぐ見て答えた。

「あんたは人間と狼男の血が混じってるんだよ」

「えっ?」

 高木君は色々なことがありすぎて頭がパンクしたようだ、ずっと「えっ、えっ」としか言えないようになっていた。
 腕を組んでその上に胸を置いてる佐藤さんがため息まじりに里子さんに聞いていた。

「あのやり方でしか確認できなかったんですか?」

「山姥が人とそれ以外の味を間違うはずないだろ」

 里子さんは笑顔で答えているがなんだか少し怖いな。

「はぁ~、とりあえず私はこのような者です」

 佐藤さんはトートバッグから名刺入れを取り出して俺たちに1枚づつ配った。
 
「陰陽連盟?」

「その名の通り陰陽師たちを集めて妖怪を退治する団体です」

「そんな大層な団体がどうしてこの喫茶店に?」

 佐藤さんはトートバッグからパソコンを取り出して俺たちに画面を見せた。

「この辺りは最近、妖怪の目撃情報がかなりの数、報告されてます」

 佐藤さんが見せてきた写真には大きな爪跡が入った壁、明らかに人の者ではない影、大きな足跡があった。

「特にこの喫茶店付近で目撃情報が多く出てます」

 佐藤さんはパソコンをしまい話を続けた。

「この喫茶店は危険と判断して陰陽連の監視かに入ってもらえるようにしときます」

「「えっ!?」」
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