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スレード3
いつからだろうか、アンジェラよりも背が高くなったのは……、その頃から彼女がすぐそばにいると落ち着かない事があった。
それが、なんなのか僕にはわからなかった。
「スレード」
「アンジェラ」
僕たちはいつのまにか、お互いの名前を気軽に呼び合えるようになった。
アンジェラは変わらず無表情だったが、それでも感情の変化を僕は察する事ができるようになっていた。
「スレード。私、婚約するの」
いつものように無表情だが、アンジェラはどこか嬉しそうに「婚約」することを僕に教えてくれた。
それはまさに青天の霹靂だった。
僕は今まで、アンジェラと離れ離れになるなんて考えもしなかった。
たった一人の異母姉とずっと一緒にいられるものだと僕は思っていたのだ。
僕が固まっていると、アンジェラは不思議そうに顔を近づけてきた。
「どうしたの?スレード」
ドキリ。と、心臓が高鳴る。
『それ』がなんなのか、僕はその時に察しそうになった。
けれど、僕は『それ』を知ることを拒んだ。
「っ、なんでもない!」
僕は、咄嗟にアンジェラから顔を背けた。
目を見ることができなかった。
アンジェラは戸惑った表情で、それでもそれ以上のことは聞いてこなかった。
いつもそうだ。アンジェラは優しいが踏み込んで何かしてきたり、言ってくることはしない。
いつもは、それがもどかしく感じるのに、今はそれがありがたかった。
「ごめん。少し驚いただけ。急に婚約するって言われたから」
僕が謝ると、アンジェラは「驚かせてごめんなさい」と謝ってきた。
いつもと変わらない。何も知らない無垢な目をしていた。
僕は、「それ」がなんなのか知りたくなかった。
その答えがわかった瞬間に、僕は汚らわしい畜生以下の存在になってしまうから。
アンジェラの婚約者は、カルイセンという名前で侯爵家の嫡男だ。
アンジェラに婚約者ができたことで「それ」から、僕は目を背けられると少し安堵した。
しかし、それはすぐに苦しみへと変わった。
カルイセンの話をするたびにアンジェはとても楽しそうに見えた。
それまでは、彼女が心を開いているのは自分だけだと思っていた。
コリー公爵は、滅多に屋敷に帰ってくることはなく。
顔を合わせることはあまりない。
そのせいで彼を「親」とあまり思えなかったのだ。
母を亡くした僕にとってはアンジェラがたった一人の家族にしか思えなかった。
きっと、アンジェラも同じように思っているはずだ。
……僕たちはいつも二人ぼっちだった。
いつもお互いを見つめ合い。唯一の存在だったのだ。
僕はなぜか裏切られたような気分になっていた。
気がつけばアンジェラを避けるようになっていた。
それが、なんなのか僕にはわからなかった。
「スレード」
「アンジェラ」
僕たちはいつのまにか、お互いの名前を気軽に呼び合えるようになった。
アンジェラは変わらず無表情だったが、それでも感情の変化を僕は察する事ができるようになっていた。
「スレード。私、婚約するの」
いつものように無表情だが、アンジェラはどこか嬉しそうに「婚約」することを僕に教えてくれた。
それはまさに青天の霹靂だった。
僕は今まで、アンジェラと離れ離れになるなんて考えもしなかった。
たった一人の異母姉とずっと一緒にいられるものだと僕は思っていたのだ。
僕が固まっていると、アンジェラは不思議そうに顔を近づけてきた。
「どうしたの?スレード」
ドキリ。と、心臓が高鳴る。
『それ』がなんなのか、僕はその時に察しそうになった。
けれど、僕は『それ』を知ることを拒んだ。
「っ、なんでもない!」
僕は、咄嗟にアンジェラから顔を背けた。
目を見ることができなかった。
アンジェラは戸惑った表情で、それでもそれ以上のことは聞いてこなかった。
いつもそうだ。アンジェラは優しいが踏み込んで何かしてきたり、言ってくることはしない。
いつもは、それがもどかしく感じるのに、今はそれがありがたかった。
「ごめん。少し驚いただけ。急に婚約するって言われたから」
僕が謝ると、アンジェラは「驚かせてごめんなさい」と謝ってきた。
いつもと変わらない。何も知らない無垢な目をしていた。
僕は、「それ」がなんなのか知りたくなかった。
その答えがわかった瞬間に、僕は汚らわしい畜生以下の存在になってしまうから。
アンジェラの婚約者は、カルイセンという名前で侯爵家の嫡男だ。
アンジェラに婚約者ができたことで「それ」から、僕は目を背けられると少し安堵した。
しかし、それはすぐに苦しみへと変わった。
カルイセンの話をするたびにアンジェはとても楽しそうに見えた。
それまでは、彼女が心を開いているのは自分だけだと思っていた。
コリー公爵は、滅多に屋敷に帰ってくることはなく。
顔を合わせることはあまりない。
そのせいで彼を「親」とあまり思えなかったのだ。
母を亡くした僕にとってはアンジェラがたった一人の家族にしか思えなかった。
きっと、アンジェラも同じように思っているはずだ。
……僕たちはいつも二人ぼっちだった。
いつもお互いを見つめ合い。唯一の存在だったのだ。
僕はなぜか裏切られたような気分になっていた。
気がつけばアンジェラを避けるようになっていた。
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