私が死ねば幸せですか?

毛蟹

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スレード4

 ギクシャクしながらも、アンジェラとの関係は変わらずだった。
 それに亀裂が入ったのは、王立学園の入園式の時からだ。
 王立学園の入園式は小さな夜会のようなもので、婚約者かあるいは家族が女子生徒をエスコートして参加することになっている。
 アンジェラは、カルイセンにエスコートされて入園式に参加するものだと僕は思っていた。
 しかし、僕にエスコートしてもらいたい。と、アンジェラに頼まれた。

「カルイセン様が、どうしても外せない用事があるみたいで、お願いできるかしら?」

 多くを話そうとはしないアンジェラに、僕は納得できないところがあったが飲み込んだ。
 アンジェラも僕もカルイセンも同い年で、同じ学園に入るのになぜ婚約者を優先しないのだろう。という、気持ちがあった。

 入園式当日、カルイセンはアンジェラを裏切った。
 カルイセンは、別の女をエスコートしていたのだ。
 彼女の顔は見覚えがあった。
 アイネス公爵家のアリスだ。
 元々は庶子だったそうだが、正妻と嫡男が馬車の事故で亡くなり。アイネス公爵によって親子共々貴族として迎え入れられた令嬢だ。
 かなり話題になって覚えていた。
 アイネス公爵は、アリスのことを溺愛していて言いなりだ。とも、噂で聞いた。

 ……確かに、親しみやすい見た目をしていた。
 だが、それだけだ。アンジェラの方がずっと美人で性格もいい。

 アリスは、カルイセンと親しげに話していて、僕は気が気ではなかった。
 ちらりとアンジェラの顔を見ると、表情に変化はないものの落ち込んでいる様子が見てとれた。

「アンジェラ?知っていたのか?」
「ええ、そうね。後から面倒なことになるのは嫌だったから貴方にエスコートをお願いしたの」

 口ぶりから、アリスからカルイセンにエスコートをお願いしたのだろう。
 本来なら、婚約者がいるからと断るべきところだが、アリスを溺愛するアイネス公爵から頼み込まれて、断るに断れなくなったのだと推測できた。
 アンジェラもそれを察して、僕にエスコートをお願いしたようだ。
 何というか、とても気の毒だ。

「迷惑かけてごめんなさいね」
 
 いつもよりも儚げに微笑むアンジェラに、僕の胸は締め付けられた。
 アンジェラがカルイセンに好意を持っているのは、嫌でもよく知っているから。
 きっと、好きな人が他の異性のエスコートをした上に、親しげに話しているのを見るのは辛いはずだ。

「場所を移そうか?」
「……そうね。そうした方がいいかも」

 僕たちが移動しようとした瞬間。アリスと目が合った。
 彼女は僕たちを見据えると、屈託のない笑みを浮かべてカルイセンとともにこちらへとやってきた。




 あえて触れませんでしたが、スレードも被害者枠です
 たぶん、彼が一番可哀想だと思います


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