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スレード6
嫌な予感。というものは恐ろしいほどによく当たるものだ。
アリスは事あるごとにアンジェラに突っかかってきた。
タチが悪い事に、アンジェラがアリスに暴言を吐いているように見えるような物言いをするのだ。
「愛人の子供の私が同じ公女になってしまい申し訳なく思います。アンジェラ様はそれを不満に思っているのでしょう?」
と、このような感じで涙を浮かべて自分が暴言を吐かれたと言わんばかりの表情でこれを言うのだ。
しかし、それをアンジェラが否定すると。
「愛人の子供が嫡子として認められたら、貴族社会は崩壊します」
と、逃げ道を塞ぐような返し方をするのだ。
口下手なアンジェラは、必然的に黙り込むことしかできなくなっていった。
そうなると、アンジェラが一方的にアリスを詰めているような構図に見えてくる。
アリスはお茶会などに積極的に参加しており、味方が多い。
対して僕たちは、社交は最低限しかこなしていかなった。
というのも、僕が初めて参加したお茶会で酷く悪口を言われたので、アンジェラが気を遣って社交を必要最小限にしたのだ。
アンジェラは、王族の次に高貴な立場のためそれが許されたのだ。
それが悪い方面へと働いていた。
アンジェラの味方は僕以外に誰もいなかった。
面と向かってアンジェラに、「アリスを虐めるのをやめて欲しい」と言ってくる貴族まで出てきたのだ。
その度に、僕が間に入るようにした。
やめろ。と、僕の意思で止めているのに、周囲はアンジェラが僕を利用してこの諍いを止めさせようとしているように見えていた。
「スレード様、このような人にそんな優しさなんて不要です!アリス様に酷い事を言って、貴方も同じように言われたんですよね?ああ、なんて気の毒に」
愛人の子供のくせに。と、過去に僕に吐いた暴言など忘れて周囲はアンジェラを責め立てた。
あの時は、アンジェラが気の毒だと言っていてくせに。
「僕は、一度たりともアンジェラから悪意を向けられた事なんてありません。いつも、僕を助けてくれました。なぜ、そんな事を言えるのですか」
僕がどれだけアンジェラを庇っても無意味だった。
彼らは自分たちにとって都合のいい事しか信じないのだ。
いつのまにか、アリスと僕を攻撃するアンジェラ。
アンジェラにいいように利用されている哀れな僕。
と、周囲は思うようになって行った。
アンジェラは、日に日に元気がなくなっていった。
カルイセンとの関係も悪くなっていて、二人が会っているところを入園式の日から僕は見ていない。
「スレード、本当にごめんなさい。本当にもういいから、私は大丈夫だから」
アンジェラの両目から、ハラハラとガラス玉のような涙がこぼれ落ちた。
僕は初めて彼女が泣いたのを見た。
僕はアンジェラを守る事しか考えてなかった。周囲が僕のことをどう見ているのか、気がつきもしなかった。
アリスは事あるごとにアンジェラに突っかかってきた。
タチが悪い事に、アンジェラがアリスに暴言を吐いているように見えるような物言いをするのだ。
「愛人の子供の私が同じ公女になってしまい申し訳なく思います。アンジェラ様はそれを不満に思っているのでしょう?」
と、このような感じで涙を浮かべて自分が暴言を吐かれたと言わんばかりの表情でこれを言うのだ。
しかし、それをアンジェラが否定すると。
「愛人の子供が嫡子として認められたら、貴族社会は崩壊します」
と、逃げ道を塞ぐような返し方をするのだ。
口下手なアンジェラは、必然的に黙り込むことしかできなくなっていった。
そうなると、アンジェラが一方的にアリスを詰めているような構図に見えてくる。
アリスはお茶会などに積極的に参加しており、味方が多い。
対して僕たちは、社交は最低限しかこなしていかなった。
というのも、僕が初めて参加したお茶会で酷く悪口を言われたので、アンジェラが気を遣って社交を必要最小限にしたのだ。
アンジェラは、王族の次に高貴な立場のためそれが許されたのだ。
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面と向かってアンジェラに、「アリスを虐めるのをやめて欲しい」と言ってくる貴族まで出てきたのだ。
その度に、僕が間に入るようにした。
やめろ。と、僕の意思で止めているのに、周囲はアンジェラが僕を利用してこの諍いを止めさせようとしているように見えていた。
「スレード様、このような人にそんな優しさなんて不要です!アリス様に酷い事を言って、貴方も同じように言われたんですよね?ああ、なんて気の毒に」
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「僕は、一度たりともアンジェラから悪意を向けられた事なんてありません。いつも、僕を助けてくれました。なぜ、そんな事を言えるのですか」
僕がどれだけアンジェラを庇っても無意味だった。
彼らは自分たちにとって都合のいい事しか信じないのだ。
いつのまにか、アリスと僕を攻撃するアンジェラ。
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と、周囲は思うようになって行った。
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「スレード、本当にごめんなさい。本当にもういいから、私は大丈夫だから」
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