今から婚約者に会いに行きます。〜私は運命の相手ではないから

ありがとうございました。さようなら

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ちょっとよくわからない

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 トリスタンの屋敷に到着すると、待ち構えていたかのように彼は落ち着いていた。
 その様子がなんだか全てを諦めているかのように思えて、私は不安になった。
 
「トリスタン、どういう事なの?」
「驚いたか?」

 トリスタンは、不意打ちが成功した子供のように笑った。
 
「当たり前でしょ。だって」

 婚約する必要なんてない。私がそう言い切る前に、トリスタンは話を遮った。
 
「立ち位置的に何一つ変ではないだろう?」
「そうだけど」

 貴族。という立場で考えれば、おかしなことではない。隣の領地の貴族と仲良くするに越したことはない。
 けれど、この婚姻が必要か。と、言われたらそうでもない。
 
「カセル家とデュラン家は、隣の領地だけど、長い間婚姻もしていなかったし血縁的な意味では問題はないだろう?」
「そ、そうだけどトリスタンは本当にそれでいいの?王立学園に行けば相手を見つけることができるじゃない」

 誰でもいいなら、わざわざ私にする必要はない。
 それよりも、望む相手と結婚するべきだとわたしは思う。
 
「……僕は別に」
「だ、ダメだよ。そんな一生を共に過ごす相手を簡単に選んだりしたら」

 トリスタンが、適当に私を選んだか、気持ちはないが、周囲からの圧力に負けて縁談話を持ち出したのではないかと考えていた。
 
「適当になんて選んでない」

 真面目なトリスタンは、私を傷つけないようにそれを否定した。
 
「だって、急に選んだようにしか思えないじゃない。おじさまたちに急かされたの?もしそうなら、私からも話をするわよ」
「必要ない」

 この縁談を取りやめるのを手伝うと言っても、トリスタンはそれを断った。
 少し頑なすぎやしないか。
 
「でも!」
「僕が望んだから」
「……へっ?」

 それは、一体どういう意味なのだろうか。
 
「僕がリーンと結婚できるように頼んだんだ」
「な、なんで」
「一生を共に過ごしたいから」

 トリスタンの口から驚きの言葉が出た瞬間。私はある答えが浮かんだ。
 
「……あっ、わかった!」
「何が」
「貴方、私の両親に何か弱みを握られているのね!だからこんな事をしたのよね」

「はぁ?」

 トリスタンは、何もないのにその場で転びそうになった。
 この慌てっぷり……。
 そうだ。それ以外考えられない。
 きっと、子離れできない両親に泣きつかれたのだろう。トリスタンは優しいのでそれを断る事ができなかったに決まっている。
 帰ったら両親に怒らないといけない。
 
「……リーン。君は素直で真っ直ぐだけど、変なところでぶっ飛んだ考えをするよな」

 トリスタンはしばらく固まった後、困った顔をした。
 
「どういう意味よ。それ」
 
「真っ直ぐに捉えてくれないか?僕が望んで君と婚約したいって言ったんだ」

 それは、どういう意味なのか。
 つまり、トリスタンは一生を私と共に過ごしたいから、縁談話を持ち込んだということなのか。

 ……ちょっと、よくわからない。
 




~~~

お読みくださりありがとうございます

今作は変質者はでません!

まともなやつしか出てないって驚かれたり、ソムリエ出さないんだって残念がる感想をもらいました

期待している方いらっしゃるかもしれませんが、本当に申し訳ありません!
変質者は出しません!世界観がぶち壊されるので期待させて申し訳ありません!
変質者は出しませんのであしからず!

感想もらえるととても嬉しいです

エールももらえると嬉しいです!
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