王子に形だけ婚約破棄された令嬢、魔王に拾われる

岡暁舟

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後編

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「……やっぱりそうだったんですね」
国王は力尽きたように地面に膝をつくと、肩で息をしながら私を見上げる。
「……これは一体どういうことだ????????」
「この指輪はあなたの魔法を封じ込めるものでした。……どうやら私の予想は当たってしまったようですね」
「……つまり私は最初から負けていたと?」
「そういうことです」
「……」
「あなたは私に勝とうとした。その気持ちはわかります。私だって同じ立場ならそうしたかもしれない。でも、それでは駄目なんです。私を手に入れたいのなら、まずは私を愛してください。それから、一緒に幸せになることを考えるんです」
「……ふっ、何を言っている? お前は私の妻なのだぞ?」
「妻だからといって必ずしも夫に従う必要はないでしょう?」
「そんな馬鹿げた話があってたまるか」
「じゃあ、試しましょう」
「……何?」
「今から私があなたと戦います。もし、私があなたに勝ったら、その時は私を愛してください」
「なっ!?」
「私に勝ったらですよ。もしも負けたら諦めて私の言うことを何でも聞いてください」
「なにを勝手なことを……」
「その代わり、私が勝ったら私と一緒にいてください。私を愛すことを覚えてください」
「……」
「さぁ、返事を聞かせて下さい」
「……いいだろう。ただし、万が一お前が勝てば、私は一切の抵抗をせず大人しく従おう」
「約束ですよ?」
私は国王に手を差し出す。
「ああ」
私は国王の手を握ると、優しく引っ張り上げた。
ーーーーー
「……本当にやるのか?」
「もちろんです」
「だが、怪我をしても知らんぞ?」
「大丈夫ですよ。私こう見えても強いですから」
「ふん、ならば見せてもらおうではないか」
「では行きますよ」
「来い」
私は勢いよく
「せぇのっ!」
国王に頭突きをした。
「いっ!?」
額を押さえながら後ろに下がる国王を見て私は叫ぶ。
「もう一回!」
「えっ!?」
「もう一度!」
「ちょっ、まっ」
「今度は右から!」
「ま、待ってくれ」
「次は左!」
「だから待てと言っておろうが!」
「待ちません! ほら、早く立って!」
私は地面に座っている国王の背中を押して立たせる。
「もう降参ですか?」
「誰がするかっ!」
国王は拳をあげる。
「よっと」
「ぐっ」
蹴りを繰り出す。
「せいっ」
「うっ」
最後に回し蹴りを食らわせる。
「どうです?」
「……わかった。もう充分だ」
「よかった」
私はホッと胸を撫で下ろす。
「だが、何故そこまでするのだ?」
「え?」
「ここまでして、私に勝ってどうしたいというんだ? 何かメリットでもあるのか?」
「それは……」
「言っておくが、私はこの国で1番強い男だ。私はこれまで一度も負けることはなかった。だから、お前もそう簡単には私には勝てんぞ?」
「はい。わかっています。それでもいいんです」
「なぜ?」
「理由はありません。ただ、あなたと勝負がしたかっただけです」
「勝負?」
「……あなたはいつも誰かと戦っているようでしたから。誰よりも強く、気高く、孤高の存在。私はそんなあなたと対等の立場で戦いたいと思ったんです。……いえ、違う。あなたを打ち負かして私の方が上だということを見せつけたかったんです」
「ははっ、お前も大概子供じみているな」
「……そうかもしれませんね」
「……そうだな。お前は確かに強かった。まさか魔法を封じた指輪まで使ってくるとは思わなかった。完敗だ」
「……じゃあ」
「ああ、約束通り私はお前に従おう」
そう言うと、国王は私の手を握り返した。
「これからよろしくお願いいたします」
私たちは立ち上がり微笑む。その先に新しい未来を見据えていた。
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