1 / 3
前編
しおりを挟む
「私はずっとこの日が来ることを恐れてきた」
と、国王は語る。国王の言葉の通り、王太子はヒロインをいじめるだけでは飽き足らず、彼女の生家である侯爵家を取り潰しにかかった。それが……全ての始まりとなったのだ。
「そんな……!」
ヒロインが悲痛な声を上げる。しかし、それに構わず国王は続ける。
「本来なら貴様の家は取り潰されるはずだったのだ。だが、私はそれができなかった」
「それはどうして?」
「貴様に一目惚れしたからだ! 愛してしまったから、自分のものにしたいと思ったからだ!!」
……はああああああああああああああっ?
「あの夜、私のもとにお前が現れたとき、どれほど嬉しかったことか……。一目で恋に落ちた」
……………………ええええええええええええっ??????????????
「あの夜のことは一生忘れん。あの美しい満月の夜を……」
「ちょっと待ってください陛下! その話はまだ続きますよね!?」
思わずツッコミを入れる。いやだってこんなところで終わるわけないだろ!? なんなんだ急に!!
……という私の心の声が届いたのか、国王は再び口を開く。
「だから私は考えた。どうすれば、どうやってお前を手に入れられるかを」
そうして考えついたのが、あの断罪劇だったという。
「ああすることで、私と結婚せざるを得ない状況を作ったのだ。そして、婚約破棄を突きつけることで、周りの貴族たちにも『私の方が貴様より強い』ことを知らしめた。これで誰も文句は言えんだろう?」
……いいいいいいいいいいっ????????
「ではなぜ婚約破棄などと言い出したんですか!? 別に婚約破棄なんてする必要はなかったじゃないですか!!」
「そっそれはだな……」
私が指摘すると、なぜか国王は顔を赤らめながら目を逸らす。
「お前を手に入れるためとはいえ、あれだけの衆人環視の中で求婚するのは恥ずかしかったんだ」
……はあああああああああああああああぁっ?
「周りに見せつけることで『婚約者がいる身でありながら別の女に手を出すほどお前を愛している』ということを見せつけたかったんだ! あんな公衆の面前でプロポーズするなど私には無理だった!!」
「じゃあ、どうして??????なぜさっきの謁見の間で言わなかったんですか!? あの場には貴族だけじゃなく国民もいたんですよね!?」
「言ったら逃げられてしまうかもしれないじゃないか!」
……つまりこういうことだ。国王は初めからヒロインと結婚する気はなく、ただ周りに自分の気持ちを示して見せつけるために、あんなバカげたことを言い出して悪役令嬢である私のことを……。
「ちょっと待ってください! じゃあ今までの私の努力は何だったんですか!? 必死になって頑張ったのに全部無駄になったっていうんですか!?」
「うむ、そうだ」
「うわあああんっ!」
私はその場で崩れ落ちた。今までの努力が水の泡だと思ったのだ。
「もうヤダこの国! みんな頭おかしいよ!!」
「そう言うな。こうしてお前を手に入れたのだから」
「うるさいですよ国王陛下!! 私は何も望んでません!! あなたなんか大ッキライです!!」
「照れるな!!!!まあ、そんなお前が可愛いがな!!!!!!!」
「照れてない!!」
「ふぅんんん?」
国王は私の顎を掴むと、そのまま持ち上げる。
「きゃあっ!?」
「今更何を言う。この期に及んでまだそんなことを言うとはな。だが安心しろ。これから嫌と言うほど分からせてやる」
……その言葉の意味を理解するまで、あと数分くらいしかかからなかった。ああ、怖い。正直。
「お待ちなさい!!!!!」
「ひいいいいいいっ……」
私は目の前の男にしがみつく。それを見た国王は、私の体を乱暴に引き剥がす。
「邪魔をするでない。今は大事なところなのだ」
「それはこっちのセリフです!! 離してください!!」
私は何とか男の前から消えようと試みた。
「貴様は黙っていろ。これは私たちの問題だ」
「いいえ違います!! あなたの相手はこの私です!!」
私は渾身の力を込めて男の胸板を押す。しかし、男はビクともしない。
「お願いします。どうかやめてくださいいいっ……」
「うるさい。お前は少し静かにしておれ」
「ひいいいいいいいいいっ!!!!!!!」
再び顎を持ち上げられる。怖い。でもここで引いたら負けだ。私は国王の目を見つめる。そして叫ぶ。
「やめろおおおおおおおおおおっ!!」
その瞬間、体の中に何かが流れ込んでくるような感覚がした
「………………?」
私は恐る恐る目を開けた。
「……な、なんだこれは!?」
私の目に映ったのは、驚きで目を見開く国王の姿だった。
「まさか……魔法……?」
そう呟いた国王の視線が、私の手元に向けられる。
「……これは……指輪?」
そう、私の指には先ほどの光で現れた指輪が嵌っていた。
「一体なんのつもりだ……?」
国王が眉間にシワを寄せながら、私を見下ろす。
「…………どうやら私、あなたより強いみたいですね」
「…………何を言っている?」
「私、思ったんです。本当に愛しているなら、こんな手段を取らなくてもよかったんじゃないかなって」
「……なんだと?」
「だって、そうでしょう? 私、ずっと考えてたんです。どうしたらあなたは私のことを見てくれるんだろう、私と結婚したいと思ってもらえるのかなって」
「……だから、こうしてお前を手に入れ
「それが間違ってたんです。あなたはもっと、他の方法を取るべきだった」
「……どういう意味だ?」
「それは、こうすることです」
私は男の腕に抱きついた。それが……いや、その方が正しい選択だと思ったのだ。
と、国王は語る。国王の言葉の通り、王太子はヒロインをいじめるだけでは飽き足らず、彼女の生家である侯爵家を取り潰しにかかった。それが……全ての始まりとなったのだ。
「そんな……!」
ヒロインが悲痛な声を上げる。しかし、それに構わず国王は続ける。
「本来なら貴様の家は取り潰されるはずだったのだ。だが、私はそれができなかった」
「それはどうして?」
「貴様に一目惚れしたからだ! 愛してしまったから、自分のものにしたいと思ったからだ!!」
……はああああああああああああああっ?
「あの夜、私のもとにお前が現れたとき、どれほど嬉しかったことか……。一目で恋に落ちた」
……………………ええええええええええええっ??????????????
「あの夜のことは一生忘れん。あの美しい満月の夜を……」
「ちょっと待ってください陛下! その話はまだ続きますよね!?」
思わずツッコミを入れる。いやだってこんなところで終わるわけないだろ!? なんなんだ急に!!
……という私の心の声が届いたのか、国王は再び口を開く。
「だから私は考えた。どうすれば、どうやってお前を手に入れられるかを」
そうして考えついたのが、あの断罪劇だったという。
「ああすることで、私と結婚せざるを得ない状況を作ったのだ。そして、婚約破棄を突きつけることで、周りの貴族たちにも『私の方が貴様より強い』ことを知らしめた。これで誰も文句は言えんだろう?」
……いいいいいいいいいいっ????????
「ではなぜ婚約破棄などと言い出したんですか!? 別に婚約破棄なんてする必要はなかったじゃないですか!!」
「そっそれはだな……」
私が指摘すると、なぜか国王は顔を赤らめながら目を逸らす。
「お前を手に入れるためとはいえ、あれだけの衆人環視の中で求婚するのは恥ずかしかったんだ」
……はあああああああああああああああぁっ?
「周りに見せつけることで『婚約者がいる身でありながら別の女に手を出すほどお前を愛している』ということを見せつけたかったんだ! あんな公衆の面前でプロポーズするなど私には無理だった!!」
「じゃあ、どうして??????なぜさっきの謁見の間で言わなかったんですか!? あの場には貴族だけじゃなく国民もいたんですよね!?」
「言ったら逃げられてしまうかもしれないじゃないか!」
……つまりこういうことだ。国王は初めからヒロインと結婚する気はなく、ただ周りに自分の気持ちを示して見せつけるために、あんなバカげたことを言い出して悪役令嬢である私のことを……。
「ちょっと待ってください! じゃあ今までの私の努力は何だったんですか!? 必死になって頑張ったのに全部無駄になったっていうんですか!?」
「うむ、そうだ」
「うわあああんっ!」
私はその場で崩れ落ちた。今までの努力が水の泡だと思ったのだ。
「もうヤダこの国! みんな頭おかしいよ!!」
「そう言うな。こうしてお前を手に入れたのだから」
「うるさいですよ国王陛下!! 私は何も望んでません!! あなたなんか大ッキライです!!」
「照れるな!!!!まあ、そんなお前が可愛いがな!!!!!!!」
「照れてない!!」
「ふぅんんん?」
国王は私の顎を掴むと、そのまま持ち上げる。
「きゃあっ!?」
「今更何を言う。この期に及んでまだそんなことを言うとはな。だが安心しろ。これから嫌と言うほど分からせてやる」
……その言葉の意味を理解するまで、あと数分くらいしかかからなかった。ああ、怖い。正直。
「お待ちなさい!!!!!」
「ひいいいいいいっ……」
私は目の前の男にしがみつく。それを見た国王は、私の体を乱暴に引き剥がす。
「邪魔をするでない。今は大事なところなのだ」
「それはこっちのセリフです!! 離してください!!」
私は何とか男の前から消えようと試みた。
「貴様は黙っていろ。これは私たちの問題だ」
「いいえ違います!! あなたの相手はこの私です!!」
私は渾身の力を込めて男の胸板を押す。しかし、男はビクともしない。
「お願いします。どうかやめてくださいいいっ……」
「うるさい。お前は少し静かにしておれ」
「ひいいいいいいいいいっ!!!!!!!」
再び顎を持ち上げられる。怖い。でもここで引いたら負けだ。私は国王の目を見つめる。そして叫ぶ。
「やめろおおおおおおおおおおっ!!」
その瞬間、体の中に何かが流れ込んでくるような感覚がした
「………………?」
私は恐る恐る目を開けた。
「……な、なんだこれは!?」
私の目に映ったのは、驚きで目を見開く国王の姿だった。
「まさか……魔法……?」
そう呟いた国王の視線が、私の手元に向けられる。
「……これは……指輪?」
そう、私の指には先ほどの光で現れた指輪が嵌っていた。
「一体なんのつもりだ……?」
国王が眉間にシワを寄せながら、私を見下ろす。
「…………どうやら私、あなたより強いみたいですね」
「…………何を言っている?」
「私、思ったんです。本当に愛しているなら、こんな手段を取らなくてもよかったんじゃないかなって」
「……なんだと?」
「だって、そうでしょう? 私、ずっと考えてたんです。どうしたらあなたは私のことを見てくれるんだろう、私と結婚したいと思ってもらえるのかなって」
「……だから、こうしてお前を手に入れ
「それが間違ってたんです。あなたはもっと、他の方法を取るべきだった」
「……どういう意味だ?」
「それは、こうすることです」
私は男の腕に抱きついた。それが……いや、その方が正しい選択だと思ったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです
しーしび
恋愛
「結婚しよう」
アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。
しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。
それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・
姉妹同然に育った幼馴染に裏切られて悪役令嬢にされた私、地方領主の嫁からやり直します
しろいるか
恋愛
第一王子との婚約が決まり、王室で暮らしていた私。でも、幼馴染で姉妹同然に育ってきた使用人に裏切られ、私は王子から婚約解消を叩きつけられ、王室からも追い出されてしまった。
失意のうち、私は遠い縁戚の地方領主に引き取られる。
そこで知らされたのは、裏切った使用人についての真実だった……!
悪役令嬢にされた少女が挑む、やり直しストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
完【恋愛】婚約破棄をされた瞬間聖女として顕現した令嬢は竜の伴侶となりました。
梅花
恋愛
侯爵令嬢であるフェンリエッタはこの国の第2王子であるフェルディナンドの婚約者であった。
16歳の春、王立学院を卒業後に正式に結婚をして王室に入る事となっていたが、それをぶち壊したのは誰でもないフェルディナンド彼の人だった。
卒業前の舞踏会で、惨事は起こった。
破り捨てられた婚約証書。
破られたことで切れてしまった絆。
それと同時に手の甲に浮かび上がった痣は、聖痕と呼ばれるもの。
痣が浮き出る直前に告白をしてきたのは隣国からの留学生であるベルナルド。
フェンリエッタの行方は…
王道ざまぁ予定です
傷物の大聖女は盲目の皇子に見染められ祖国を捨てる~失ったことで滅びに瀕する祖国。今更求められても遅すぎです~
たらふくごん
恋愛
聖女の力に目覚めたフィアリーナ。
彼女には人に言えない過去があった。
淑女としてのデビューを祝うデビュタントの日、そこはまさに断罪の場へと様相を変えてしまう。
実父がいきなり暴露するフィアリーナの過去。
彼女いきなり不幸のどん底へと落とされる。
やがて絶望し命を自ら断つ彼女。
しかし運命の出会いにより彼女は命を取り留めた。
そして出会う盲目の皇子アレリッド。
心を通わせ二人は恋に落ちていく。
結婚するので姉様は出ていってもらえますか?
基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。
気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。
そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。
家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。
そして妹の婚約まで決まった。
特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。
※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。
※えろが追加される場合はr−18に変更します。
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる