婚約者の不倫相手は妹で？

20（アンナ視点）

　エルヴィン様から離縁を言い出されるんじゃないか……ずっと考えていた。実際は違くて、エルヴィン様と話をすることも少なくなった。あれほど子供を求めて夜の営みを続けていたと言うのに……エルヴィン様は諦めてしまったのか。夜も1人で寝るようになった。

　次第にエルヴィン様は痩せていった。食事を摂る量がだんだん減っていったと言うか。若いのに病気が心配された。薬師が診察を行なっても、大きな異常はなくて……そうなると精神的な問題ということになるのだった。

「エルヴィンはどんどん弱っていくな……」

　皇帝陛下も心配していた。でも、どうにもならなかった。1ヶ月も経つと、エルヴィン様は歩けなくなるほど弱くなってしまった。皇帝陛下はやはり私を目の敵にした。

「君が何か毒のようなものを盛ったんじゃないのか？」

　もちろん、そんなことはしていない。でもね、皇帝陛下がそんなことを言い出すと、噂はやはりすぐさま広がってしまうのもだから……。私は悪役と認定されたのだ。