婚約者の不倫相手は妹で？

22（マリー視点）

　第一王子エルヴィン様が死んだと世間が噂をする。アンナが関わってからまだ数ヶ月も経っていないのに。

　アンナの仕業なのか？2人の不仲説もあったことだし。でも、アンナが人殺しをするとは考えにくいし……。みんな消えていく……ずっと独りぼっち。

　エルヴィン様の噂が流れ始めて1週間くらい経った頃、ようやく元の住人が帰ってきた。

「ただいま、マリー。元気にしていたか？」

　私は返す言葉がなかなか見つからなかった。

「随分と長かったじゃない。不安になっちゃった……」

「ごめんよ。大きな仕事を達成することが出来たから、許してくれ。この仕事を終えて、僕はやっと君にプロポーズすることが出来る。僕と婚約してくれないか？」



　アランの言葉の意味が分かったのはだいぶ後のことだった。不思議なもので、アランが追求されることはなかった。私は……アランに引き取られて、愛を育んでいる。これが一番幸せな形……なのかもしれない。

　本当に愛してくれる人に巡り会えて、私は今日も幸せを噛み締めている。