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その2
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風が静かに吹いております。そして、私のことを無視してどこか遠くへ行ってしまいます。婚約破棄されてから、私はいろんな人から注目されるようになりました。そして、それとほぼ同時に、いろんな人から白い目で見られるようになりました。確かに、王子様から婚約破棄されると言う事は、非常に重大な問題のように考えられるわけではございますから、仕方がないと言えば仕方がないわけでございます。
「どうして、だったら最初から婚約しなければよかったのに」
「あのようなお嬢様には、きっとそういうことがわからないんだろうさ。だって、もともとプライドの高いお方であるわけだから、そーゆープライドを傷つけるような出来事が出て遭遇したことがないんだろうよ。だからこそ、こういうことになってしまったら大変なんだろうな」
その一つ一つの声に、私はそれとなく耳を傾けているわけでございました。やはり、その責任の所在は、私であると誰もが思っているようでございました。当たり前の話です。王子様が悪いとは誰も思いません。すべて、婚約者が悪いと考えられてしまうわけでございます。
「あのお嬢様は、一体これからどうなるんだろうな。いちど婚約破棄されてしまったお嬢様っていうのは、なかなか扱いがめんどくさいだろうから」
「行き場を失ったお嬢様っていうのは、本当に惨めなものだろうからな。無事に誰かに拾ってもらえればそれでいいのかもしれないが。ここまで来てしまったら、それも非常に難しいんだろうね」
今更、何かを考えるなんて事はありませんでした。考えたとしても、私はもはや何もわかりませんでした。これからどうすればいいのか、誰も教えてないのです。
そもそも、こんな私と関わろうとする人間がいるわけありません。興味本位で話してくる人がいるかもしれませんが、私のようなめんどくさい人間に関わってしまったら、それこそ自分の出世に響いたりするわけでございますから。
「何かお困りのようですね。お嬢様」
そうそう、こんなふうに優しく声をかけてくれる人は、本来だったらいないと思っておりました。ですが、ときには例外と言うものもあるわけでございます。そして、それがもともと私の古い知り合いだったとしたら、こういうようなことになったとしても、それはそれでアリだと思いました。
「随分と痩せこけてしまいましたね。昔はもっともっと元気だったのに。かけっこだって私より全然早かった。今となってはその面影がありませんね」
「久しぶりね。リチャード様」
「おやおや、てっきり私のことなんて忘れてしまったと思っていたけど。ちゃんと名前を覚えていてくれたんですね。ありがとうございます」
別に、そんな大した事でお礼を言われる筋合いなんてないと思いましたが、リチャード様と言うのはもともとそういう人だったんです。
私の心の支え、と言ってしまったら少し大げさになるかもしれません。ですが、私にとってはかけがえのない味方なのでした。
「どうして、だったら最初から婚約しなければよかったのに」
「あのようなお嬢様には、きっとそういうことがわからないんだろうさ。だって、もともとプライドの高いお方であるわけだから、そーゆープライドを傷つけるような出来事が出て遭遇したことがないんだろうよ。だからこそ、こういうことになってしまったら大変なんだろうな」
その一つ一つの声に、私はそれとなく耳を傾けているわけでございました。やはり、その責任の所在は、私であると誰もが思っているようでございました。当たり前の話です。王子様が悪いとは誰も思いません。すべて、婚約者が悪いと考えられてしまうわけでございます。
「あのお嬢様は、一体これからどうなるんだろうな。いちど婚約破棄されてしまったお嬢様っていうのは、なかなか扱いがめんどくさいだろうから」
「行き場を失ったお嬢様っていうのは、本当に惨めなものだろうからな。無事に誰かに拾ってもらえればそれでいいのかもしれないが。ここまで来てしまったら、それも非常に難しいんだろうね」
今更、何かを考えるなんて事はありませんでした。考えたとしても、私はもはや何もわかりませんでした。これからどうすればいいのか、誰も教えてないのです。
そもそも、こんな私と関わろうとする人間がいるわけありません。興味本位で話してくる人がいるかもしれませんが、私のようなめんどくさい人間に関わってしまったら、それこそ自分の出世に響いたりするわけでございますから。
「何かお困りのようですね。お嬢様」
そうそう、こんなふうに優しく声をかけてくれる人は、本来だったらいないと思っておりました。ですが、ときには例外と言うものもあるわけでございます。そして、それがもともと私の古い知り合いだったとしたら、こういうようなことになったとしても、それはそれでアリだと思いました。
「随分と痩せこけてしまいましたね。昔はもっともっと元気だったのに。かけっこだって私より全然早かった。今となってはその面影がありませんね」
「久しぶりね。リチャード様」
「おやおや、てっきり私のことなんて忘れてしまったと思っていたけど。ちゃんと名前を覚えていてくれたんですね。ありがとうございます」
別に、そんな大した事でお礼を言われる筋合いなんてないと思いましたが、リチャード様と言うのはもともとそういう人だったんです。
私の心の支え、と言ってしまったら少し大げさになるかもしれません。ですが、私にとってはかけがえのない味方なのでした。
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