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その1
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ビッキーはケリー第一公爵の長女として産まれた。公爵は皇帝と非常に親交の深い人であり、ビッキーは将来、皇帝の子息と婚約することを、半ば運命づけられていた。このため、公爵はビッキーに様々な教育を施した。王家に嫁ぐ令嬢として恥をかかないように、そして、社交界の中心に立つ令嬢として誇り高く振る舞えるように、教育を続けた。
ちょうど一年前のことだった。公爵が皇帝の元を尋ね、ビッキーと第一王子であるネロの婚約が、内内に決まった。ネロには知らされていなかったが、公爵はビッキーにこのことを伝え、この一年間はより多くのことを教え込んだ。
そして、問題のあの日を迎えることになった。それは、第一王子ネロが自分の意志で婚約相手を選ぶという、形式的な披露宴だった。皇帝はネロに伝えてあるはずだった。何があっても、婚約者はビッキーであると宣言するように、と。
披露宴には、ビッキー以外にも令嬢が招かれていた。ケリー公爵とビッキーには及ばないが、それでも、有数の貴族令嬢たちがネロの前に並んでいた。
ビッキーは群を抜いて美しかった。それは、単に容姿が優れているということだけでなく、立ち居振る舞いまでも完璧であるということだった。他の令嬢が悪いというわけではなかったが、ビッキーがあまりにも華やかすぎるので、彼女たちは美しい花の周りの雑草のようだった。
皇帝陛下も、すっかり成長したビッキーを好意的に見ていた。そして、ケリー公爵も、婚約は確実だと確信した。ビッキーも、精一杯ネロにアピールした。
全員の紹介が一通り済んで、皇帝陛下がネロに問いただした。
「それでは、第一王子ネロの婚約者を、本人の口から聞くことにしよう」
ネロは、ビッキーたちの方を向いて、
「それでは発表します」
と、一呼吸おいた。
「婚約者は……ロバート伯爵令嬢のレイチェルです……」
皇帝陛下、ケリー公爵、そして、発表を終えたネロの目が皆一様に凍っていた。ビッキーは、自分の名前が呼ばれなかったことを、最初理解できなかった。
ちょうど一年前のことだった。公爵が皇帝の元を尋ね、ビッキーと第一王子であるネロの婚約が、内内に決まった。ネロには知らされていなかったが、公爵はビッキーにこのことを伝え、この一年間はより多くのことを教え込んだ。
そして、問題のあの日を迎えることになった。それは、第一王子ネロが自分の意志で婚約相手を選ぶという、形式的な披露宴だった。皇帝はネロに伝えてあるはずだった。何があっても、婚約者はビッキーであると宣言するように、と。
披露宴には、ビッキー以外にも令嬢が招かれていた。ケリー公爵とビッキーには及ばないが、それでも、有数の貴族令嬢たちがネロの前に並んでいた。
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「それでは発表します」
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