王子の婚約破棄に対抗する令嬢はお好きですか?~妹ってうるさいですね。そこまでおっしゃるのでしたら別れましょう~

岡暁舟

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その5

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私もお互い様だったと思います。

流れに乗っかって、あの日のことを告げてみますと、コッホ様も驚いて、

「まあ、そんなこともあるんだろうなあ……」

と言いました。

そうなんです。この世界では、こういった現象はほとんど日常のように推移しているのです。

「それは辛かっただろうねえ……」

「別に辛くはないんですよ。だって……それであの可愛い妹のタバチエールが幸せになれるんだとしたら……それは決して悪いことではないと思いますから……」

「なるほど……君は優しいねえ。でもさ、それで君自身は傷つくわけだろう???それでいいのかね???」

「仕方がないことだと思いますよ。別に好きで傷ついているわけではありませんけれども……」

「そうかそうか……いやいや、実に見上げた根性をしていると思うのだが……でも、それでもやっぱり寂しくなるんじゃないのかね???こんなことがずっと繰り返される世界っていうのは……あまり好ましくないと個人的には思うのだが……」

なるほど、そうなのかもしれません。ですが……いまさら仕方のないことなんだと思いました。

そう割り切って次の人生を考えるほうが幸せ……こういう話をして、例えば少しずつコッホ様が悲しそうに私の顔を見つめているのが印象的ではありました。そんなに同情してくれたのでしょうか???だとしたら、非常にありがたいことだと思いました。この世界もまだまだ捨てたものではない……少しだけ期待してこれからの人生を過ごしていけるような心地がするわけでございました。
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