悪役の妹は姉の婚約者候補を葬り去る

岡暁舟

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「フンボルト?フンボルト?」

 私はずっと目を閉じていた。死んだはず…なのに、どうして声が聞こえてくるのか?お姉様の声が。

「フンボルト!しっかりしてよ!」

 お姉様がフンボルトのことを呼んでいる。悲しそうな声で…これは演技なのか?

「どうして…あなたが死んでしまうの?ねえ、戻ってきて!」

 銃声は覚えている。でも…痛みを感じなかった。銃弾が貫通するのは一瞬だろうけどそれでも痛いものだろう。初めての経験だから分からないけど。

 怖かった。目を開けるのが。でも、目を開けて現実を見てみようと思った。お姉様がこれほど取り乱すなんて、ただ事ではないと思ったから。

「フンボルト!」

 お姉様は泣いていた。でも、私が目を開けて身体を動かすと、その泣き声は終わった。


「どうして?」と、私は呟いた。私を殺したはずのフンボルトが…胸から血を流して死んでいるのだから!


「暴発じゃないの…?」

 お姉様は素っ気ない態度で言った。

「はあ、本当にバカな男…。それにしても、あなたって本当に運がいいわね…」

 お姉様は言った。まあ確かにそうだった。暴発のおかげで命拾いをしたわけだし。

「家の中で死ぬとか…最悪なんですけど…。ねえ、ローズ?あなたはこの私のために生きているのよね?」

 いつもの嫌味ったらしい調子に戻ってきた…そして、お姉様は不気味にほほ笑んだ。

「このクズ男の処理をしておいてくれる?ああ、庭に埋めておけばばれないでしょう。あるいは…池に捨てて鳥の餌にしてもいいけど…任せるわ。私は疲れたから、もう寝るわね!」

 そう言って、お姉様は寝室のベッドにダイブした。また私が…お姉様の尻ぬぐいをするなんて。本当は嫌なんだけど、仕方がないよね。この家の主は間違いなくお姉様なのだから。

「承知いたしました…」

 私は深々とお辞儀した。その時だった。頭の中に妙な電流が走ったのは。



 これって…ひょっとしてお姉様に対する仕返しになるんじゃないか?



 根拠はない…それでも、お姉様を愛した人間、婚約者候補になる人間を消していけば…最終的にはお姉様の精神を壊すことが出来るんじゃないか…。それは、新しい遊びを覚えた子供のようだった。



 ローズ、覚醒?

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