8 / 30
8
しおりを挟む
「とにかくたくさん愛し合うこと……それしか私たちの生き残る道はないのだ……」
そうすることで、世界が変わるのだろうか……そんなことを考えてみる。まあ、いいさ。別にこれは快楽のためにやっているわけじゃないんだ。これは……サンダー様が望む世界のためにやっているのだから。
「さあさあ、もっともっと私に愛を注いでくれたまえ……」
本来は男が女に愛を注ぐのだが……まあ、深いことは考えない。
「イイ感じだった……」
サンダー様はこう言って、全てを終えようとした。
「私も……良かったですよ……」
行為を終えた男女は裸のまま抱き合う……ものだと思っていた。余韻に浸るとでも言えばいいのだろうか。でも、サンダー様はすぐさま立ち上がって、
「明日もよろしく頼むよ」
と言って、そのまま現実の世界に戻ろうとした。
「あれ……もう終わりですか???というか、どうやって戻るの???」
どう考えても、現実から離れたこの世界に閉じ込められたら……なんだか知らないが、ソフィアと同じ運命を辿りそうな感じがした。
「ああ、もちろん外に出てもいいけど……ここのほうが安全だと思うんだ。どうだろうか???」
サンダー様はどうやら、私をこの世界に閉じ込めたがっているようだった。理由は分からない。その方が彼にとって都合がいいのだろうか。
まあ、確かにあの世界に戻ったとして特にやることはない。だったら、この世界に留まっても同じこと。人はいないが、生活には困らなさそうだった。私のために様々なものが準備されているようだった。食事だったり、衣装だったり……これも全て魔法の産物なのだろか???
そんなことを考えているうちに、サンダー様の声が消えた。
「あれ……もういなくなったのか。まあいいや……」
この世界にいれば、何も心配はいらない。自分の思い通りになんでもできる。まずは……令嬢が生きる意味である、貴族のお相手……これはサンダー様を考えれば十分だった。そして……令嬢として女に磨きをかける……そう言えば、この世界に入ってから、私は少し美しくなったような感じがした。どちらかと言えば……ソフィアのような美しさに近づいているってことだろうか???
とにかく、私はこのままでいようと思った。時間と空間が流れるほど、私にとっては最も幸せな場所になると感じたから。
そうすることで、世界が変わるのだろうか……そんなことを考えてみる。まあ、いいさ。別にこれは快楽のためにやっているわけじゃないんだ。これは……サンダー様が望む世界のためにやっているのだから。
「さあさあ、もっともっと私に愛を注いでくれたまえ……」
本来は男が女に愛を注ぐのだが……まあ、深いことは考えない。
「イイ感じだった……」
サンダー様はこう言って、全てを終えようとした。
「私も……良かったですよ……」
行為を終えた男女は裸のまま抱き合う……ものだと思っていた。余韻に浸るとでも言えばいいのだろうか。でも、サンダー様はすぐさま立ち上がって、
「明日もよろしく頼むよ」
と言って、そのまま現実の世界に戻ろうとした。
「あれ……もう終わりですか???というか、どうやって戻るの???」
どう考えても、現実から離れたこの世界に閉じ込められたら……なんだか知らないが、ソフィアと同じ運命を辿りそうな感じがした。
「ああ、もちろん外に出てもいいけど……ここのほうが安全だと思うんだ。どうだろうか???」
サンダー様はどうやら、私をこの世界に閉じ込めたがっているようだった。理由は分からない。その方が彼にとって都合がいいのだろうか。
まあ、確かにあの世界に戻ったとして特にやることはない。だったら、この世界に留まっても同じこと。人はいないが、生活には困らなさそうだった。私のために様々なものが準備されているようだった。食事だったり、衣装だったり……これも全て魔法の産物なのだろか???
そんなことを考えているうちに、サンダー様の声が消えた。
「あれ……もういなくなったのか。まあいいや……」
この世界にいれば、何も心配はいらない。自分の思い通りになんでもできる。まずは……令嬢が生きる意味である、貴族のお相手……これはサンダー様を考えれば十分だった。そして……令嬢として女に磨きをかける……そう言えば、この世界に入ってから、私は少し美しくなったような感じがした。どちらかと言えば……ソフィアのような美しさに近づいているってことだろうか???
とにかく、私はこのままでいようと思った。時間と空間が流れるほど、私にとっては最も幸せな場所になると感じたから。
0
あなたにおすすめの小説
メイド令嬢は毎日磨いていた石像(救国の英雄)に求婚されていますが、粗大ゴミの回収は明日です
有沢楓花
恋愛
エセル・エヴァット男爵令嬢は、二つの意味で名が知られている。
ひとつめは、金遣いの荒い実家から追い出された可哀想な令嬢として。ふたつめは、何でも綺麗にしてしまう凄腕メイドとして。
高給を求めるエセルの次の職場は、郊外にある老伯爵の汚屋敷。
モノに溢れる家の終活を手伝って欲しいとの依頼だが――彼の偉大な魔法使いのご先祖様が残した、屋敷のガラクタは一筋縄ではいかないものばかり。
高価な絵画は勝手に話し出し、鎧はくすぐったがって身よじるし……ご先祖様の石像は、エセルに求婚までしてくるのだ。
「毎日磨いてくれてありがとう。結婚してほしい」
「石像と結婚できません。それに伯爵は、あなたを魔法資源局の粗大ゴミに申し込み済みです」
そんな時、エセルを後妻に貰いにきた、という男たちが現れて連れ去ろうとし……。
――かつての救国の英雄は、埃まみれでひとりぼっちなのでした。
この作品は他サイトにも掲載しています。
侯爵令嬢セリーナ・マクギリウスは冷徹な鬼公爵に溺愛される。 わたくしが古の大聖女の生まれ変わり? そんなの聞いてません!!
友坂 悠
恋愛
「セリーナ・マクギリウス。貴女の魔法省への入省を許可します」
婚約破棄され修道院に入れられかけたあたしがなんとか採用されたのは国家の魔法を一手に司る魔法省。
そこであたしの前に現れたのは冷徹公爵と噂のオルファリド・グラキエスト様でした。
「君はバカか?」
あたしの話を聞いてくれた彼は開口一番そうのたまって。
ってちょっと待って。
いくらなんでもそれは言い過ぎじゃないですか!!?
⭐︎⭐︎⭐︎
「セリーナ嬢、君のこれまでの悪行、これ以上は見過ごすことはできない!」
貴族院の卒業記念パーティの会場で、茶番は起きました。
あたしの婚約者であったコーネリアス殿下。会場の真ん中をスタスタと進みあたしの前に立つと、彼はそう言い放ったのです。
「レミリア・マーベル男爵令嬢に対する数々の陰湿ないじめ。とても君は国母となるに相応しいとは思えない!」
「私、コーネリアス・ライネックの名においてここに宣言する! セリーナ・マクギリウス侯爵令嬢との婚約を破棄することを!!」
と、声を張り上げたのです。
「殿下! 待ってください! わたくしには何がなんだか。身に覚えがありません!」
周囲を見渡してみると、今まで仲良くしてくれていたはずのお友達たちも、良くしてくれていたコーネリアス殿下のお付きの人たちも、仲が良かった従兄弟のマクリアンまでもが殿下の横に立ち、あたしに非難めいた視線を送ってきているのに気がついて。
「言い逃れなど見苦しい! 証拠があるのだ。そして、ここにいる皆がそう証言をしているのだぞ!」
え?
どういうこと?
二人っきりの時に嫌味を言っただの、お茶会の場で彼女のドレスに飲み物をわざとかけただの。
彼女の私物を隠しただの、人を使って階段の踊り場から彼女を突き落とそうとしただの。
とそんな濡れ衣を着せられたあたし。
漂う黒い陰湿な気配。
そんな黒いもやが見え。
ふんわり歩いてきて殿下の横に縋り付くようにくっついて、そしてこちらを見て笑うレミリア。
「私は真実の愛を見つけた。これからはこのレミリア嬢と添い遂げてゆこうと思う」
あたしのことなんかもう忘れたかのようにレミリアに微笑むコーネリアス殿下。
背中にじっとりとつめたいものが走り、尋常でない様子に気分が悪くなったあたし。
ほんと、この先どうなっちゃうの?
結婚を前提にお付き合いを申し込まれたので了承したらなぜか説教されています。え、本当にどうして??
新高
恋愛
社交界で浮き名を流す侯爵家次男のレオン・ファン・リートフェルトはとある夜会で突然結婚を前提の告白をされる。初対面ではあるけれど、今は恋人もいないし結婚も急かされている年頃。これも縁かと軽く了承をすれば、そこからまさかの説教が始まった。
「いくら貴方様が噂に違わぬ社交界の花であったとしても、こんなにも気軽に女性の気持ちを受け入れてはなりません!」
「なぜ?」
「……なぜ?」
私生活においてはのらりくらり生きてきた色男が、ツッコミスキルの高い令嬢にまんまと嵌まって捕まえにいく話。もしくは、淡い初恋の思い出にと断られる前提で告白をしたら軽く了承され、つい全力で突っ込みをいれてしまったためにおもしれー女認定されて捕獲される乙女の話。
※会話文多めのテンション高いボケとツッコミのラブコメです。
※ツッコミ処多いかと思いますが、この世界ではこうなんだなあ、と軽く流していただけると嬉しいです。
※※他サイト様にも投稿しています
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
モンスターを癒やす森暮らしの薬師姫、騎士と出会う
甘塩ます☆
恋愛
冷たい地下牢で育った少女リラは、自身の出自を知らぬまま、ある日訪れた混乱に乗じて森へと逃げ出す。そこで彼女は、凶暴な瘴気に覆われた狼と出会うが、触れるだけでその瘴気を浄化する不思議な力があることに気づく。リラは狼を癒し、共に森で暮らすうち、他のモンスターたちとも心を通わせ、彼らの怪我や病を癒していく。モンスターたちは感謝の印に、彼女の知らない貴重な品々や硬貨を贈るのだった。
そんなある日、森に薬草採取に訪れた騎士アルベールと遭遇する。彼は、最近異常なほど穏やかな森のモンスターたちに違和感を覚えていた。世間知らずのリラは、自分を捕らえに来たのかと怯えるが、アルベールの差し出す「食料」と「服」に警戒を解き、彼を「飯をくれる仲間」と認識する。リラが彼に見せた、モンスターから贈られた膨大な量の希少な品々に、アルベールは度肝を抜かれる。リラの無垢さと、秘められた能力に気づき始めたアルベールは……
陰謀渦巻く世界で二人の運命はどうなるのか
駄作ラノベのヒロインに転生したようです
きゃる
恋愛
真面目な私がふしだらに――!?
『白銀の聖女』と呼ばれるシルヴィエラは、修道院の庭を掃除しながら何げなく呟いた。「はあ~。温かいお茶といちご大福がセットで欲しい」。その途端、彼女は前世の記憶を思い出す……だけでは済まず、ショックを受けて青ざめてしまう。
なぜならここは『聖女はロマンスがお好き』という、ライトノベルの世界だったから。絵だけが素晴らしく内容は駄作で、自分はその、最低ヒロインに生まれ変わっている!
それは、ヒロインのシルヴィエラが気絶と嘘泣きを駆使して、男性を次々取り替えのし上がっていくストーリーだ。まったく面白くなかったため、主人公や作者への評価は最悪だった。
『腹黒女、節操なし、まれに見る駄作、聖女と言うより性女』ああ、思い出すのも嫌。
ラノベのような生き方はしたくないと、修道院を逃げ出したシルヴィエラは……?
一生懸命に生きるヒロインの、ドタバタコメディ。ゆる~く更新する予定です。
聖女だと呼び出しておいて無能ですか?〜捨てられた私は魔王様に溺愛される〜
みおな
恋愛
学校帰りにいきなり眩い光に包まれて連れて来られたのは異世界でした。
王子はこんなちんちくりんは聖女ではないと言い放ち、私を王宮から追い出しました。
元の世界に帰る方法は、魔王の持つ帰還の指輪が必要と言われ、途方にくれた私の前に現れたのは、美形の魔王でした。
【完結】ストーカーに召喚されて溺愛されてます!?
かずきりり
恋愛
周囲に合わせ周囲の言う通りに生きてるだけだった。
十年に一度、世界の歪みを正す舞を披露する舞台でいきなり光に包まれたかと思うと、全く知らない世界へ降り立った小林美緒。
ロドの呪いを解く為に召喚されたと言われるが……
それは……
-----------------------------
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる