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その2
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聖女ケインがやってくることは、大方予想がついていた。
それにしても……これだけすぐやってくるとは……まあ、想定外と言えば想定外だったのかもしれないが。
「ミカエリス殿……私の申し上げたいことがわかりますか???」
ミカエリスは一度頭を下げて、丁重にケインの前に歩み寄った。
「申し上げます。正直には、私にはわかりかねますが……」
ミカエリスはとことん、とぼけようと思った。まあ、そんなのが通じないことなんて百も承知ではあったわけだが、やってみる価値はあると思った。
「なるほど……それでは、この私に対する背徳を続けると申されるのですね???」
「背徳……それはいったい、何のことでしょうか???」
「あらまあ……仕方ないわねえ……。でもね、私は聖女なのですよ。あなた、そのことを忘れてはいませんか」
「……そうでしたっけ???」
「情けない……というか、何をとぼけているのかしら???そこにいらっしゃる少女だって、きっとおびえているのではないかしら???」
「少女……そんなのはこの部屋にはいませんよ???」
「あなた、本気で私の目を欺けるとでも思っているのかしら???はあっ……全くどこまで愚かな王子なのか知らねえ……。おまけに、あなたが名前まで付けてあげたって……ミカっていうんでしょう、そこの女の子は???」
どうやら、聖女ケインには全てお見通しのようだった。恐るべし聖女の力……ミカエリスはもうだめだと思った。
「私の旦那様をいじめないで!!!!」
突如声がした。
「うんっ???誰か私に語り掛けたかしら???」
「私の旦那様をいじめないで!!!!」
「あなたね、人の批判をするのは結構だけど、顔も出さずにだなんて、なんて陰鬱なのかしら???そこに控えているのは分かっております。さあ、早くこちらに来なさい!!!」
ミカエリスは不思議に思った。例の少女ミカをこの部屋に招き入れた覚えはない。一体、どこから入って来たというのか……謎が深まった。
それにしても……これだけすぐやってくるとは……まあ、想定外と言えば想定外だったのかもしれないが。
「ミカエリス殿……私の申し上げたいことがわかりますか???」
ミカエリスは一度頭を下げて、丁重にケインの前に歩み寄った。
「申し上げます。正直には、私にはわかりかねますが……」
ミカエリスはとことん、とぼけようと思った。まあ、そんなのが通じないことなんて百も承知ではあったわけだが、やってみる価値はあると思った。
「なるほど……それでは、この私に対する背徳を続けると申されるのですね???」
「背徳……それはいったい、何のことでしょうか???」
「あらまあ……仕方ないわねえ……。でもね、私は聖女なのですよ。あなた、そのことを忘れてはいませんか」
「……そうでしたっけ???」
「情けない……というか、何をとぼけているのかしら???そこにいらっしゃる少女だって、きっとおびえているのではないかしら???」
「少女……そんなのはこの部屋にはいませんよ???」
「あなた、本気で私の目を欺けるとでも思っているのかしら???はあっ……全くどこまで愚かな王子なのか知らねえ……。おまけに、あなたが名前まで付けてあげたって……ミカっていうんでしょう、そこの女の子は???」
どうやら、聖女ケインには全てお見通しのようだった。恐るべし聖女の力……ミカエリスはもうだめだと思った。
「私の旦那様をいじめないで!!!!」
突如声がした。
「うんっ???誰か私に語り掛けたかしら???」
「私の旦那様をいじめないで!!!!」
「あなたね、人の批判をするのは結構だけど、顔も出さずにだなんて、なんて陰鬱なのかしら???そこに控えているのは分かっております。さあ、早くこちらに来なさい!!!」
ミカエリスは不思議に思った。例の少女ミカをこの部屋に招き入れた覚えはない。一体、どこから入って来たというのか……謎が深まった。
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