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それはあの時、つまり私が婚約破棄された時、すぐさま第一王子クロビッツ様に駆け寄った令嬢であった。名前は知らないが、私よりも美しいことは確かであり、少し羨ましいと思った。令嬢は私を一度視認して、「私を見るな!」と叫んだ。正直私はどうでも良かったんだけど、私に引っ付く男は黙っていられなかった。
「お前みたいな罪人が気安く話しかけるんじゃねえよっ!」
そう言って、シュトルツは石を投げつけた。令嬢にクリーンヒットして顔に傷がついた。王宮であれば問題になるだろうが、所詮は囚人扱いであり大した問題にはならなかった。
「ああ、痛いいいっ!お父様、お母様!世間はあまりにも惨すぎますっ!」
令嬢は叫んだ。
「ふざけるな。公爵令嬢カナエ様に悪態をつく人間は誰といえど、容赦しないのだ!」
公爵令嬢、と聞いてその令嬢は一瞬凍りついた。
「公爵令嬢・・・ですって?まさか、そんな高貴なお方がこんなところにいるわけないでしょう。それに・・・そんな不細工な女が公爵令嬢なわけ・・・」
ここで令嬢は気がついてしまったようであった。そして、私に指差して言った。
「ひょっとして・・・あの時いらっしゃったカナエ様?」
「最初からそう言っているだろう!」
シュトルツはブチギレて、もう一度石を投げた。令嬢は頭を下げて跪いたので、今回は石が当たらなかった。
「これはこれは失礼いたしましたあっ!カナエ様とは知らず、いや、確かにこうしてお近くで拝見いたしますと、なんとも複雑な構造をされておりますようで・・・」
「それは私を貶しているのかしら?」
令嬢はしまった、というような顔をした。
「いいえ、決してそのようなことはございませんっ!」
令嬢は再び頭を下げた。そして、こう言った。
「あの、カナエ様?ひょっとしてカナエ様のお力を持ってすれば、私の無実を証明していただき、貴族社会に戻ることが出来ますでしょうか?」
結局は利用されるだけの立場・・・知っている。私はどのみちそういう存在だから。
「まあ、わからないけど・・・」
「そんなことおっしゃらずに。さあ、どうか無実の私をその寛大なる御慈悲を持ってお救いくださいませっ!」
こんな感じで言われてしまうと、断ることも出来ないと感じた。
「まあ、行く宛先もないし付き合うか・・・」
「おいおい、いいのかよ。あのへっぽこ王子の関係者なんだろ?まずくないのか?」
シュトルツは言った。
「まあまあ、そんなことおっしゃらずに。さあさあ、愛しのカナエ様!お疲れのようですから、肩でもお揉みしましょうか?」
「・・・そう言うのはいいから。本当にどいつもこいつも・・・」
令嬢の名前はカレンと言った。とある伯爵家の長女であり、美しさだけが売りであり、性格はご覧の通り破綻していた。
「お前みたいな罪人が気安く話しかけるんじゃねえよっ!」
そう言って、シュトルツは石を投げつけた。令嬢にクリーンヒットして顔に傷がついた。王宮であれば問題になるだろうが、所詮は囚人扱いであり大した問題にはならなかった。
「ああ、痛いいいっ!お父様、お母様!世間はあまりにも惨すぎますっ!」
令嬢は叫んだ。
「ふざけるな。公爵令嬢カナエ様に悪態をつく人間は誰といえど、容赦しないのだ!」
公爵令嬢、と聞いてその令嬢は一瞬凍りついた。
「公爵令嬢・・・ですって?まさか、そんな高貴なお方がこんなところにいるわけないでしょう。それに・・・そんな不細工な女が公爵令嬢なわけ・・・」
ここで令嬢は気がついてしまったようであった。そして、私に指差して言った。
「ひょっとして・・・あの時いらっしゃったカナエ様?」
「最初からそう言っているだろう!」
シュトルツはブチギレて、もう一度石を投げた。令嬢は頭を下げて跪いたので、今回は石が当たらなかった。
「これはこれは失礼いたしましたあっ!カナエ様とは知らず、いや、確かにこうしてお近くで拝見いたしますと、なんとも複雑な構造をされておりますようで・・・」
「それは私を貶しているのかしら?」
令嬢はしまった、というような顔をした。
「いいえ、決してそのようなことはございませんっ!」
令嬢は再び頭を下げた。そして、こう言った。
「あの、カナエ様?ひょっとしてカナエ様のお力を持ってすれば、私の無実を証明していただき、貴族社会に戻ることが出来ますでしょうか?」
結局は利用されるだけの立場・・・知っている。私はどのみちそういう存在だから。
「まあ、わからないけど・・・」
「そんなことおっしゃらずに。さあ、どうか無実の私をその寛大なる御慈悲を持ってお救いくださいませっ!」
こんな感じで言われてしまうと、断ることも出来ないと感じた。
「まあ、行く宛先もないし付き合うか・・・」
「おいおい、いいのかよ。あのへっぽこ王子の関係者なんだろ?まずくないのか?」
シュトルツは言った。
「まあまあ、そんなことおっしゃらずに。さあさあ、愛しのカナエ様!お疲れのようですから、肩でもお揉みしましょうか?」
「・・・そう言うのはいいから。本当にどいつもこいつも・・・」
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