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「エカテリーナ様…エカテリーナ様!!!」
目を覚ますと、そこは見覚えのある天井。ああそうだ、第一王子アイントフォーヘン様と過ごした初夜。緊張して天井のしみを数えていた…あれっ、それってゲームの話じゃなかったっけ?
「エカテリーナ様???返事をしてください!!!どうしたのですか???身体の具合でも悪いのですか???」
聞き覚えのある声…ああ、そうか。メイドの声だ。最終的には宿敵に寝返ることになるスカーレットか。今はまだ私の味方のふりをしているメイド。
「エカテリーナ様???失礼しますよ」
最後は段々苛ついているようで、ドカンと大きな音を立てて扉が開く。足で蹴ったのだろうか。スカーレットは大分野蛮なのだ。メイドとしての落ち着きがない…まあ、無理もないだろう。ゲームの筋書きに基づけば、彼女は宿敵である伯爵令嬢アンナの手下となり、公爵令嬢エカテリーナの抹殺を企てることになる。もちろん、最終的にはハッピーエンドで、主人公エカテリーナが第一王子アイントフォーヘン様と結ばれる結末になるのだが、そこには紆余曲折があって……。
「てっ、違うでしょ。どうして、淡々と説明しているのよ!!!」
可笑しい……今の話は全てゲームの話なのだ。私は貝原鈴子という名の23歳だ。閉塞した現実世界の片隅でゲームに奔走する末期女子なのだ。ああ、そうなのだ。だから……ここはゲームの世界なのか???
「エカテリーナ様が狂ったわ!!!」
スカーレットが部屋に入って来るなり叫んだ。さも嬉しそうに。
「ああ、どうしましょう!!!アイントフォーヘン様との激しい初夜を過ごされて、ああ、狂ってしまったのですね!!!無理もありませんわ。エカテリーナ様は公爵令嬢とは言え、成り上がりの分際ですからね!!!ご両親から貴族としての教育をきちんと受けていらっしゃらないのでしょう!!!」
一々腹の立つ言い方だな……でも、スカーレットが言っていることは大方正しいのだ。私の父に当たる公爵は仰せの通り、一代で財産を築き、王家に認められて公爵の称号を授かった、いわゆる成り上がりなのだから。
「それに変わり、ご学友のアンナ様は立派と言いますか……」
スカーレットの欠点はウソが下手なこと。メイドであれば、ウソでもいいから主人に気を使いおだてるものだろう。でも、彼女の場合は違うのだ。平気で私の悪口を漏らしてしまい、宿敵であるアンナのことを主人の前で褒める始末なのだ。まあ、気にはしない。それは大した問題ではない。ゲームの主人公として生きているだけなら、彼女たちの策略に気付かずバッドエンドまっしぐらの可能性もある。だがしかし、ゲームを10周やりこんだこの私にしてみれば、なんてことはないのだ。彼女たちがどんな罠を仕掛けているのか、手の内は基本的に把握しているのだから……あれっ、そういう問題じゃなくて。私はどうして乙女ゲームの世界にこうして存在しているの?
「ああ、嘆かわしいですわ。ああ、いっそのこと、第一王子アイントフォーヘン様の婚約者はエカテリーナ様ではなくて、アンナ様の方がいいのでは……」
どうして???私が乙女ゲームの主人公になっているの???
これは、現実世界から転生した23歳女子が乙女ゲームの主人公として、やはり殺伐としたゲームを生き抜く世界である。ところで、このゲームの結末は?それは誰にも分からない。
目を覚ますと、そこは見覚えのある天井。ああそうだ、第一王子アイントフォーヘン様と過ごした初夜。緊張して天井のしみを数えていた…あれっ、それってゲームの話じゃなかったっけ?
「エカテリーナ様???返事をしてください!!!どうしたのですか???身体の具合でも悪いのですか???」
聞き覚えのある声…ああ、そうか。メイドの声だ。最終的には宿敵に寝返ることになるスカーレットか。今はまだ私の味方のふりをしているメイド。
「エカテリーナ様???失礼しますよ」
最後は段々苛ついているようで、ドカンと大きな音を立てて扉が開く。足で蹴ったのだろうか。スカーレットは大分野蛮なのだ。メイドとしての落ち着きがない…まあ、無理もないだろう。ゲームの筋書きに基づけば、彼女は宿敵である伯爵令嬢アンナの手下となり、公爵令嬢エカテリーナの抹殺を企てることになる。もちろん、最終的にはハッピーエンドで、主人公エカテリーナが第一王子アイントフォーヘン様と結ばれる結末になるのだが、そこには紆余曲折があって……。
「てっ、違うでしょ。どうして、淡々と説明しているのよ!!!」
可笑しい……今の話は全てゲームの話なのだ。私は貝原鈴子という名の23歳だ。閉塞した現実世界の片隅でゲームに奔走する末期女子なのだ。ああ、そうなのだ。だから……ここはゲームの世界なのか???
「エカテリーナ様が狂ったわ!!!」
スカーレットが部屋に入って来るなり叫んだ。さも嬉しそうに。
「ああ、どうしましょう!!!アイントフォーヘン様との激しい初夜を過ごされて、ああ、狂ってしまったのですね!!!無理もありませんわ。エカテリーナ様は公爵令嬢とは言え、成り上がりの分際ですからね!!!ご両親から貴族としての教育をきちんと受けていらっしゃらないのでしょう!!!」
一々腹の立つ言い方だな……でも、スカーレットが言っていることは大方正しいのだ。私の父に当たる公爵は仰せの通り、一代で財産を築き、王家に認められて公爵の称号を授かった、いわゆる成り上がりなのだから。
「それに変わり、ご学友のアンナ様は立派と言いますか……」
スカーレットの欠点はウソが下手なこと。メイドであれば、ウソでもいいから主人に気を使いおだてるものだろう。でも、彼女の場合は違うのだ。平気で私の悪口を漏らしてしまい、宿敵であるアンナのことを主人の前で褒める始末なのだ。まあ、気にはしない。それは大した問題ではない。ゲームの主人公として生きているだけなら、彼女たちの策略に気付かずバッドエンドまっしぐらの可能性もある。だがしかし、ゲームを10周やりこんだこの私にしてみれば、なんてことはないのだ。彼女たちがどんな罠を仕掛けているのか、手の内は基本的に把握しているのだから……あれっ、そういう問題じゃなくて。私はどうして乙女ゲームの世界にこうして存在しているの?
「ああ、嘆かわしいですわ。ああ、いっそのこと、第一王子アイントフォーヘン様の婚約者はエカテリーナ様ではなくて、アンナ様の方がいいのでは……」
どうして???私が乙女ゲームの主人公になっているの???
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