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気が付くと少女の唇が口元を覆っていた。がっしりとか弱くも強い力で僕にしがみ付いていた。
「お怪我はありませんか!!!」
周囲の兵隊たちが駆け出して少女を引き離す…少女の正体は第一王女のアンナ様であった。
「ええ、このお方のおかげで…それよりもこちらのお方を先に…手当てして差し上げて!!!」
アンナ様は兵隊たちの手で一度僕から引きはがされた。それでも、すぐに僕の近くに戻って来た。どうやら何発か縦断をくらったようだった。先ほどはしっかりとアンナ様の美しい姿を見ることが出来たというのに、今となってはしっかり見ることが出来ない…別にいいか。それよりも…こうして王女様を守り抜くことが出来たのだから、何の取り柄もない僕にとってこれ以上名誉なことはないだろう。死んでもなお名声は語り継がれる…今となっては盗賊たちにも感謝をしないといけないか…。
「ロビンソン!!!起きて、目を覚まして!!!ロビンソン!!!」
アンナ様とはまた別の声で…そうか、大切な記憶に生き続けるメリーか。僕はたぶんにっこりとほほ笑んだのだ。声だけは分かるが、もうメリーの顔を見ることは出来なかった。視界が段々ぼやけてきて、それでもメリーが手を握ってくれているのは、その温もりから感じ取ることが出来た。
「ありがとう…こんな僕でも何か役に立てて幸せだった…」
そう言い残してから暫く記憶がなかった。次に目を覚ましたのは病室らしき部屋だった。多分病室だと思ったのだが、病室にしては随分と煌びやかであり、僕のような下級貴族が入院する病院にしては豪華絢爛だと思った。
ひょっとして…いや、そんなことはないよね。まさか、アンナ様が…。
「ロビンソン殿!!!やっと目を覚ましたのですね!!!」
メリーの声ではなかった。とすると…アンナ様?
「あのぉ…ここはどこですか?」
「ええ、ここは王宮の中にある病院ですよ。腹部を銃弾が貫通していましたから、普通の病院では絶対に対応出来ないと思いまして、私の命令でこちらまで搬送したんですよ。手術は無事に成功したのですが、中々目を覚まされないので心配しておりました…」
アンナ様は安堵したのか、急に泣き出した。
「私を一人にしないで…救世主様…」
泣きながら、確かにアンナ様はこう言った。まあ、実際のところ僕がアンナ様をガードしなかったら間違いなくアンナ様が重篤な事態となっていたはずだ。だから、救世主と呼ばれるのはあながち間違ってはいない。
「あのぉ、捨て駒みたいなこの僕を…どうして救ってくださったのですか?」
「捨て駒ですって?とんでもないですわ!」
アンナ様は元気に反論した。
「私の新しい婚約者様に誠意を尽くすのは…当然のことではないですか?」
顔を赤らめて…アンナ様は完全に乙女だった。婚約者…この僕が?
「ええ、あなた様こそが私の婚約者様に最も相応しいお方ですわ!」
これは、ひょんなことから第一王女の婚約者(?)認定されてしまった僕、下級貴族ロビンソンのてんやわんやな物語である。
「お怪我はありませんか!!!」
周囲の兵隊たちが駆け出して少女を引き離す…少女の正体は第一王女のアンナ様であった。
「ええ、このお方のおかげで…それよりもこちらのお方を先に…手当てして差し上げて!!!」
アンナ様は兵隊たちの手で一度僕から引きはがされた。それでも、すぐに僕の近くに戻って来た。どうやら何発か縦断をくらったようだった。先ほどはしっかりとアンナ様の美しい姿を見ることが出来たというのに、今となってはしっかり見ることが出来ない…別にいいか。それよりも…こうして王女様を守り抜くことが出来たのだから、何の取り柄もない僕にとってこれ以上名誉なことはないだろう。死んでもなお名声は語り継がれる…今となっては盗賊たちにも感謝をしないといけないか…。
「ロビンソン!!!起きて、目を覚まして!!!ロビンソン!!!」
アンナ様とはまた別の声で…そうか、大切な記憶に生き続けるメリーか。僕はたぶんにっこりとほほ笑んだのだ。声だけは分かるが、もうメリーの顔を見ることは出来なかった。視界が段々ぼやけてきて、それでもメリーが手を握ってくれているのは、その温もりから感じ取ることが出来た。
「ありがとう…こんな僕でも何か役に立てて幸せだった…」
そう言い残してから暫く記憶がなかった。次に目を覚ましたのは病室らしき部屋だった。多分病室だと思ったのだが、病室にしては随分と煌びやかであり、僕のような下級貴族が入院する病院にしては豪華絢爛だと思った。
ひょっとして…いや、そんなことはないよね。まさか、アンナ様が…。
「ロビンソン殿!!!やっと目を覚ましたのですね!!!」
メリーの声ではなかった。とすると…アンナ様?
「あのぉ…ここはどこですか?」
「ええ、ここは王宮の中にある病院ですよ。腹部を銃弾が貫通していましたから、普通の病院では絶対に対応出来ないと思いまして、私の命令でこちらまで搬送したんですよ。手術は無事に成功したのですが、中々目を覚まされないので心配しておりました…」
アンナ様は安堵したのか、急に泣き出した。
「私を一人にしないで…救世主様…」
泣きながら、確かにアンナ様はこう言った。まあ、実際のところ僕がアンナ様をガードしなかったら間違いなくアンナ様が重篤な事態となっていたはずだ。だから、救世主と呼ばれるのはあながち間違ってはいない。
「あのぉ、捨て駒みたいなこの僕を…どうして救ってくださったのですか?」
「捨て駒ですって?とんでもないですわ!」
アンナ様は元気に反論した。
「私の新しい婚約者様に誠意を尽くすのは…当然のことではないですか?」
顔を赤らめて…アンナ様は完全に乙女だった。婚約者…この僕が?
「ええ、あなた様こそが私の婚約者様に最も相応しいお方ですわ!」
これは、ひょんなことから第一王女の婚約者(?)認定されてしまった僕、下級貴族ロビンソンのてんやわんやな物語である。
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