婚約破棄の原因は婚約者が妹を気に入ったから ~偽聖女と認定するのは結構ですが、どうなっても知りませんよ?~

岡暁舟

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その9

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「久しぶりだね。私のことを覚えているかね???」

「覚えているか……その問いは私には無意味だと思いますが……」

「そうか。君には無意味か???失礼したな……」

「いいえ、問題ありません。私がこうして人間をやっている以上、色々と問題があることは十分承知しておりますから……」

エランは空を飛んだ。そして、気が付けば天上まで届いていた。

それは無意識だった。エランの話し相手は人間なのか、それとも神なのか???エランにもわからなかった。

「私はこれからどうなるのでしょうか???」

「さあ、どうするのかね。少なくとも、寿命が尽きるまでは聖女でいてもらおうと考えるのだが……」

「願わくば、この場で殺していただければ幸いでございます……」

「その心は???」

「特に意味はありません。ですが……私がこれ以上人間を守る意味が分からなくなりました」

「そんなことはどうでもいい。君が聖女である以上、私が与えた仕事をそのまま遂行すればいいだけのことだ……」

「ええ、それは分かっております。ですが……私にはその価値がわかりません」

「君が何かを考える必要はないんだ。ただ、遂行するだけでいいんだ……」

「ええ、そうですね……」

エランは頷いた。そして、今この瞬間、人間世界に魔物が現れていることを知らされた。

「君が次にとるべき行動……わかるかね???」

「ええ、わかります。魔物退治ですよね???」

「そうだ。早く行きなさい。これ以上、人間に犠牲が出ないように……。ああ、そうか、君も人間を殺したのか???そういえば。ああ、でもその点については目をつむることにしよう……。今度はそういうことはないようにね……」

「はい、承知しました……」

そう言って、エランは再び人間世界に降り立って行った。

「悪魔か……でも、彼女は聖女なんだ。人間世界を守るための……」
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