幼馴染のヤンデレ令嬢に愛されすぎて?~生きる僕と死ぬ彼女の永久~

岡暁舟

文字の大きさ
1 / 8

その1

しおりを挟む
「フッド様!!!」

僕のもとに駆け寄ってくる少女の名前はレニンと言う。その名前を聞くだけでも、少し驚いてしまうものだ。

なぜかって、彼女は有数の令嬢であるから。そして、運命とは奇妙なものであることを先に伝えておく必要があるのだが、僕は平民にも関わらず、彼女とは幼馴染という関係にある。

その詳細について語る暇はない……というか、今現在、僕は彼女に拘束されているのだ。

「もう……どうして、私のもとから離れようとするのですか???ねえ、フッド様???聞いてますか???」

聞いてない聞いてない……断じて聞くつもりもない。

だいたい、幼馴染っていう理由だけで拘束するだなんて、一体どんな考えをしているんだよ、って思ってしまうのだ。そもそも、僕にどういう興味を持っているのかよくわからないが、とにかく普通に迷惑なのだ。

だから、僕はこう言ってやろうと思う。

「いい加減にしてくれ。君は一体何を考えているんだ???迷惑なんだよ。君という存在が。こうして、いつも僕のことを追いかけてきて……それで、どうして僕を拘束するんだ???ええっ???一体、僕に何か恨みでもあるというのかね???」

と、こんな具合に聞いてみたいわけだ。

でもね、世の中そう簡単にはうまくいかないのだ。

なぜかって、レニンはいま、ものすごい形相で、僕のことをにらみつけている。

そして、左手にはどこから持ってきたのか知らないが、小さなハサミが!!!

ああ、怖くて口なんて聞けたものじゃない。レニンはその刃先を僕のほうにまっすぐ向けているわけだ。

「ねえ、フッド様???あなた様はどうして、私の気持ちに気が付かないのでしょう???まあ、大方の殿方はそういうものに疎いとお聞きするのですが……ああ、やっぱり、フッド様もその例外ではないのですね???」

「おいおい、ちょっと待ちなさいよ……そもそも、どうしてそんな物騒なものを喜んで僕のほうに向けているんだ???まずは、その件について説明してもらわないと困るさ……」

僕は何とかして、その理由を聞き出そうとした。

いいや、正確に言えば少し違うかもしれない。僕はつまり、時間を引き延ばそうとしたんだ。何を引き延ばすかって、このまま彼女が冷静さを欠いた状況がしばらく続くとしたら、間違いなく僕はこの場で死にそうだと思った。まあ、僕は彼女と違って平民であるわけだし、万が一戦争にでもなれば、真っ先に僕は死ぬ運命にある人間であることは確かなのだ。

平民っていうのは、無駄死にすることを運命づけあれた多数の人種なのだ。まあ、そういう意味で、貴族階級であるレニンを憎むというか、妬むってことはあるかもしれない。

そんなレニンが、僕のことを殺そうとしている……ああ、全くもって理解できない状況なのだ……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

【完結】少年の懺悔、少女の願い

干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。 そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい―― なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。 後悔しても、もう遅いのだ。 ※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

婚約者が番を見つけました

梨花
恋愛
 婚約者とのピクニックに出かけた主人公。でも、そこで婚約者が番を見つけて…………  2019年07月24日恋愛で38位になりました(*´▽`*)

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜ ※AI不使用です。

【完結】小さなマリーは僕の物

miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。 彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。 しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。 ※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)

処理中です...