1 / 2
前編
しおりを挟む
「ああ、美しきユフィーよ!私は今まで君のことを愛してきた。そんな日々を一生忘れないだろう!」
帝国の王子であり、私の婚約者であったハンフリー様がそう言いました。
私のことを愛していた、これは確かにそうなのでしょう。しかしながら、今は違います。ハンフリー様のお隣には、私よりも格段と美しいお嬢様がいらっしゃいます。そして、ハンフリー様にしがみついて、
「かっこいいですわ!」
なんて、言っちゃっています。私ユフィーがハンフリー様の元に嫁ぐと決まったのは、今から五年くらい前のことです。私はとりあえず、名もない普通の令嬢だったんですが、確か、パーティーで出会ったのが最初でしたね。ハンフリー様が私の姿を見るなり、
「どうか、私の妻になってください」
といきなりプロポーズしてきました。私はもちろん断ったのですが、ハンフリー様はずっとずっと私の側を付きまとっていました。そして、鬱陶しくなった私はちょうど一か月くらい前に、
「分かりました」
と言って承諾しました。ハンフリー様は大層喜んでおられました。私もそれまでは人間の恋という感情がいまいちよく分からなかったのですけれども、その時分かりました。
そんな恋が、このような形で終わってしまうとは……人間の恋なんて、一瞬の産物であり、簡単に崩壊してしまうんだなと思いました。
「だが、君は私のことをちっとも愛してくれなかった!」
まあ確かに、ほぼ五年間素っ気ない態度を取り続けてきましたから?それはそうです。
でも、先に婚約の意志を表明したのは、ハンフリー様の方じゃないですか?ストーカーみたいにつきまとって、でも、なんとなく愛してくれる気がして、それで婚約に合意した途端、今度は掌を返すように婚約破棄ですか?冗談じゃありませんよ。
「さあ、婚約破棄することにしよう!」
「承知いたしました」
「なにぃ…………?」
ハンフリー様は驚きました。逆に私も驚きました。
「ユフィー……本当に婚約破棄するのか?」
「はい?しないんですか?」
「する?ああっ……まあ、するんだけどさ……そんなに簡単に納得しちゃうわけ?」
「何が言いたいんですか?」
段々腹が立ってきて、つい怒鳴ってしまいました。ひょっとして、本当は婚約破棄なんてしたくないのでしょうか?
「ハンフリー様!」
可愛いお嬢様が、ハンフリー様のシャツの裾をしきりに引っぱりました。お嬢様、きっとその男と婚約しても幸せにはなれませんよ……なんて言いたかったです。余計なお世話ですか?
帝国の王子であり、私の婚約者であったハンフリー様がそう言いました。
私のことを愛していた、これは確かにそうなのでしょう。しかしながら、今は違います。ハンフリー様のお隣には、私よりも格段と美しいお嬢様がいらっしゃいます。そして、ハンフリー様にしがみついて、
「かっこいいですわ!」
なんて、言っちゃっています。私ユフィーがハンフリー様の元に嫁ぐと決まったのは、今から五年くらい前のことです。私はとりあえず、名もない普通の令嬢だったんですが、確か、パーティーで出会ったのが最初でしたね。ハンフリー様が私の姿を見るなり、
「どうか、私の妻になってください」
といきなりプロポーズしてきました。私はもちろん断ったのですが、ハンフリー様はずっとずっと私の側を付きまとっていました。そして、鬱陶しくなった私はちょうど一か月くらい前に、
「分かりました」
と言って承諾しました。ハンフリー様は大層喜んでおられました。私もそれまでは人間の恋という感情がいまいちよく分からなかったのですけれども、その時分かりました。
そんな恋が、このような形で終わってしまうとは……人間の恋なんて、一瞬の産物であり、簡単に崩壊してしまうんだなと思いました。
「だが、君は私のことをちっとも愛してくれなかった!」
まあ確かに、ほぼ五年間素っ気ない態度を取り続けてきましたから?それはそうです。
でも、先に婚約の意志を表明したのは、ハンフリー様の方じゃないですか?ストーカーみたいにつきまとって、でも、なんとなく愛してくれる気がして、それで婚約に合意した途端、今度は掌を返すように婚約破棄ですか?冗談じゃありませんよ。
「さあ、婚約破棄することにしよう!」
「承知いたしました」
「なにぃ…………?」
ハンフリー様は驚きました。逆に私も驚きました。
「ユフィー……本当に婚約破棄するのか?」
「はい?しないんですか?」
「する?ああっ……まあ、するんだけどさ……そんなに簡単に納得しちゃうわけ?」
「何が言いたいんですか?」
段々腹が立ってきて、つい怒鳴ってしまいました。ひょっとして、本当は婚約破棄なんてしたくないのでしょうか?
「ハンフリー様!」
可愛いお嬢様が、ハンフリー様のシャツの裾をしきりに引っぱりました。お嬢様、きっとその男と婚約しても幸せにはなれませんよ……なんて言いたかったです。余計なお世話ですか?
94
あなたにおすすめの小説
【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜
彩華(あやはな)
恋愛
一つの密約を交わし聖女になったわたし。
わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。
王太子はわたしの大事な人をー。
わたしは、大事な人の側にいきます。
そして、この国不幸になる事を祈ります。
*わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。
*ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。
ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。
ざまぁをご所望でしょうか?
はなまる
恋愛
「ざまぁをご所望でしょうか?」
悪役令嬢 ルナシオンに 転生してしまった私は、魔女ラブリナを 頼ることにしたところ、そう 質問された。
このままでは私は、 乙女ゲームの展開通りに 第2王子 クリシュマルドから 婚約破棄を言い渡されて、 公開処刑にさらされてしまう。
私は、こくりと 頷いた。
「はい!」
「では、 そのための魔法をかけてあげよう」
まさかこの魔法のせいで、あんなことになるとは思わなかった。
「ざまぁをご所望でしょうか?」
あの頃に戻れるなら私はこう答えるだろう。
「いいえ」
と。
私は選択肢を間違ってしまったのだ。
だから私は、今度こそ・・・・・・!
* 今までの作品と違って残酷描写があります。 苦手な方はご注意ください。
一応 、バッドエンド にはしないつもりです。
大好きな第一王子様、私の正体を知りたいですか? 本当に知りたいんですか?
サイコちゃん
恋愛
第一王子クライドは聖女アレクサンドラに婚約破棄を言い渡す。すると彼女はお腹にあなたの子がいると訴えた。しかしクライドは彼女と寝た覚えはない。狂言だと断じて、妹のカサンドラとの婚約を告げた。ショックを受けたアレクサンドラは消えてしまい、そのまま行方知れずとなる。その頃、クライドは我が儘なカサンドラを重たく感じていた。やがて新しい聖女レイラと恋に落ちた彼はカサンドラと別れることにする。その時、カサンドラが言った。「私……あなたに隠していたことがあるの……! 実は私の正体は……――」
彼女(ヒロイン)は、バッドエンドが確定している
基本二度寝
恋愛
おそらく彼女(ヒロイン)は記憶持ちだった。
王族が認め、発表した「稀有な能力を覚醒させた」と、『選ばれた平民』。
彼女は侯爵令嬢の婚約者の第二王子と距離が近くなり、噂を立てられるほどになっていた。
しかし、侯爵令嬢はそれに構う余裕はなかった。
侯爵令嬢は、第二王子から急遽開催される夜会に呼び出しを受けた。
とうとう婚約破棄を言い渡されるのだろう。
平民の彼女は第二王子の婚約者から彼を奪いたいのだ。
それが、運命だと信じている。
…穏便に済めば、大事にならないかもしれない。
会場へ向かう馬車の中で侯爵令嬢は息を吐いた。
侯爵令嬢もまた記憶持ちだった。
お花畑聖女は願う
mios
恋愛
頭の中がお花畑の召喚聖女は願う。
「私のことを心から愛し、一番に考えてくれる人と一緒になりたい。」
逆ハーをすでに完成し、誰もに愛された故の贅沢な悩み。
女神は了承し、彼女を一番に考えている人の元に送った。
追放された令嬢は英雄となって帰還する
影茸
恋愛
代々聖女を輩出して来た家系、リースブルク家。
だがその1人娘であるラストは聖女と認められるだけの才能が無く、彼女は冤罪を被せられ、婚約者である王子にも婚約破棄されて国を追放されることになる。
ーーー そしてその時彼女はその国で唯一自分を助けようとしてくれた青年に恋をした。
そしてそれから数年後、最強と呼ばれる魔女に弟子入りして英雄と呼ばれるようになったラストは、恋心を胸に国へと帰還する……
※この作品は最初のプロローグだけを現段階だけで短編として投稿する予定です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる