婚約破棄は無効ですか?

岡暁舟

文字の大きさ
1 / 1

婚約破棄

しおりを挟む
「クリスティーナ。君は私の知らない合間に、不倫をしていたそうじゃないか!!!ああ、私にはそう言うのは許せないのだ!!!よって、婚約を破棄したいと思っているのだ!!!」

と雄弁に、私の旦那様になる予定の公爵であられるリットマン様が言いました。

別に、私は何もしていなくて、本当に悪いのはむしろリットマン様……と言うのは私の言い訳に聞こえてしまいそうですから、止めておきましょう。

「そうですか。分かりました。少々残念ではありますが……まあ、仕方ないですわね……」

「おお、分かってくれるのか???随分と物わかりがいいじゃないか???」

「ええ、まあ。ありがとうございます……」

こんなにすんなり婚約破棄ができるって言うのは、私にとっては案外ありがたい話だったのです。

「ああ、なんてことでしょう!!!」

私が嘆く……いえいえ、嘆く必要なんて全くないのです。むしろ、このわけのわからない関係をもう少し持続してもいいくらいだと思いました。

そのうち、リットマン様が私のところに戻って来ることは目に見えておりました。

だって……リットマン様の爵位を握っているのはこの私なのですから……。

私のお父様が、この類の爵位を管理しているとてもえらーいお方であることは、恐らく誰も知らないのでしょうね。まあ、別に知らなくても何も問題はないわけでございますが……。

まあ、そんなこんなで、色々と時間ばかりは過ぎていきました。

その内になって……私の予想通りリットマン様がやって来ました。とても青ざめた表情をしておりました。

まあ、当たり前でしょうか???

「なあ、クリスティーナ!!!あれは……ひょっとして君の仕業なのか???」

「さあ、何のことでしょうか???」

「とぼけるな!!!」

リットマン様の爵位が失効……そりゃ、娘を溺愛する私のお父様に告げ口の一つしたら、こうなるのは明白では???もちろん、リットマン様には最初から何も話してはおりませんでしたが。まあ、その点は少し申し訳なくは思いますがね……。

「おい、クリスティーナ!!!」

「触らないで!!!」

リットマン様が私に触れることは、もはや許されません。

ああ、あのまま婚約を大人しくしていれば……リットマン様にとっては、このような結末は非常に後悔する結果となってしまったわけでしょう。

「さようなら。私はね、これからとある方と旅に出ます。あなたは……もう貴族ではない平民なのですから、もう私と会うことはありませんね???」

満面の笑みを浮かべて、彼の顔をふんずける……なんて下品なことはさすがにしませんが、まあなんとも滑稽な話ではありませんか!!!

しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

やり直しの王太子、全力で逃げる

雨野千潤
恋愛
婚約者が男爵令嬢を酷く苛めたという理由で婚約破棄宣言の途中だった。 僕は、気が付けば十歳に戻っていた。 婚約前に全力で逃げるアルフレッドと全力で追いかけるグレン嬢。 果たしてその結末は…

笑う令嬢は毒の杯を傾ける

無色
恋愛
 その笑顔は、甘い毒の味がした。  父親に虐げられ、義妹によって婚約者を奪われた令嬢は復讐のために毒を喰む。

元婚約者が修道院送りになった令嬢を呼び戻すとき

岡暁舟
恋愛
「もう一度やり直そう」 そんなに上手くいくのでしょうか???

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

罠に嵌められたのは一体誰?

チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。   誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。 そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。 しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。

婚約者の私より彼女のことが好きなのですね? なら、別れて差し上げますよ

四季
恋愛
それなりに資産のある家に生まれた一人娘リーネリア・フリューゲルには婚約者がいる。 その婚約者というのが、母親の友人の息子であるダイス・カイン。 容姿端麗な彼だが、認識が少々甘いところがあって、問題が多く……。

処理中です...