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その1

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私は迷った。いくら懺悔を繰り返しても、救われることはないのだ。

私は世界を敵に回しすぎた。その代償はあまりにも大きい。この世界から追放されることを受け入れるか、あるいは、すぐさま死ぬことになるのか。

「ホルン伯爵。私はあなたのことを甘く見ておりました。まさか、皇女であるこの私を差し置いて、あんな女と不倫していただなんて……」

だが、その原因が皇女であり、婚約者でもあるレイン様にあることを誰も知らない。これは、全て私の責任であると言われてしまうのだ。

「さあさあ、ホルン伯爵との婚約破棄については、今後審議することにしまして……やはり、ある程度の償いをしていただかないといけませんわねえっ」

「わかりました」

私はレイン様の命令によって、投獄されることになる。そして、何日も何日も拷問のような仕置きを受けるのだった。レイン様は、その一部始終を見守っていた。時々ニヤニヤと笑いながら。

「ああ、いいキミだわ!!!」

と言うのだった。そんなに私のことが憎いのか。聞いてみたかった。

このまま死んでもいいから、私はこの場でレイン様の件について、暴きたいとも思っていた。

でも、この時はそんな勇気がなかったのだ。

「さあさあ、続けなさい!!!!」

レイン様が頭にくる必要はなかったのだ。


「ああ、これで私を欺いたバカが死んでいくのねえ!!!」

バカ、と罵られ続けることも……私の怒りを爆発させるには十分だった。

だが、私はこれほどレイン様に比べると、理知的であると自負していた。だから、このへんてこりんな拷問は軽く受け流して、早く反撃するチャンスが来ないものか、と首を長くして待っているのだった。

この世界に残る一筋の光を探す旅……この人生のゴールを見つめて。

「バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ!!!」


バカはお前だ!!!!
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