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「あなたは……」
見覚えのある女性だった。
「離してください!!!」
女性は殺気立っていた。
「スパイの真似事かい???生憎だったな……。あまりにも私を見くびりすぎだよ……困ったお嬢さんだ……」
「こんな……こんなことをして平気だと思っているんですか!!!!」
「君は……一体誰に向かって説教をしているのかね???」
そう言って、ピーター将軍は女性の腹に蹴りを入れた。
「いたいいいいいっ!!!!」
「痛いか???ああ、少し力を入れすぎたようだな……お前、腹の中に子供はいないよな???」
女性はこくりと頷いた。それを確認したピーター将軍は三回ほど同じ強さで蹴りを入れた。
「どうだ……この痛みが分かるか???君は本当にバカな女……かっこつける必要なんてないんだからさ。はあ、本当にどうしようもないんだから……」
女性は気を失ってしまった。
「お待ちください……ピーター将軍。この女も殺すのですか???」
私はあまりにも驚いて、質問してしまった。
「いえいえ、そんなことはしませんよ。私もそこまで鬼ではない。まあ……私にとってはどっちでもいいですけどね……」
どっちでもいい……つまり、私がここで助けの選択肢を選べば、命だけはなんとか……そんなふうに考えた。
「命だけは……助けてあげてください……」
「懸命な判断です。あなたがそう言うのならば、命だけは助けましょう。ああ、でもね……」
ピーター将軍が何か言い出す前に、女性が私の方を見ていった。
「あなたなんかに……命乞いされたくない!!!!」
つまり、私もまた国を裏切ったと、彼女は考えているようだった。
「あなたが……こいつと共謀してこの世界を滅ぼすんだ……だとしたら、あなたも重罪だ!!!!」
女は喚き散らした。最後に残った力……ということになるのか???
「マリアのことを批判する人間は……有罪だ……」
突然、ピーター将軍の目の色が消えた。
「マリアの寛大な御心を聞き届けようと思ったが……君は生かしておけないな……」
ピーター将軍はそう言って、懐から薬を取り出した……。
見覚えのある女性だった。
「離してください!!!」
女性は殺気立っていた。
「スパイの真似事かい???生憎だったな……。あまりにも私を見くびりすぎだよ……困ったお嬢さんだ……」
「こんな……こんなことをして平気だと思っているんですか!!!!」
「君は……一体誰に向かって説教をしているのかね???」
そう言って、ピーター将軍は女性の腹に蹴りを入れた。
「いたいいいいいっ!!!!」
「痛いか???ああ、少し力を入れすぎたようだな……お前、腹の中に子供はいないよな???」
女性はこくりと頷いた。それを確認したピーター将軍は三回ほど同じ強さで蹴りを入れた。
「どうだ……この痛みが分かるか???君は本当にバカな女……かっこつける必要なんてないんだからさ。はあ、本当にどうしようもないんだから……」
女性は気を失ってしまった。
「お待ちください……ピーター将軍。この女も殺すのですか???」
私はあまりにも驚いて、質問してしまった。
「いえいえ、そんなことはしませんよ。私もそこまで鬼ではない。まあ……私にとってはどっちでもいいですけどね……」
どっちでもいい……つまり、私がここで助けの選択肢を選べば、命だけはなんとか……そんなふうに考えた。
「命だけは……助けてあげてください……」
「懸命な判断です。あなたがそう言うのならば、命だけは助けましょう。ああ、でもね……」
ピーター将軍が何か言い出す前に、女性が私の方を見ていった。
「あなたなんかに……命乞いされたくない!!!!」
つまり、私もまた国を裏切ったと、彼女は考えているようだった。
「あなたが……こいつと共謀してこの世界を滅ぼすんだ……だとしたら、あなたも重罪だ!!!!」
女は喚き散らした。最後に残った力……ということになるのか???
「マリアのことを批判する人間は……有罪だ……」
突然、ピーター将軍の目の色が消えた。
「マリアの寛大な御心を聞き届けようと思ったが……君は生かしておけないな……」
ピーター将軍はそう言って、懐から薬を取り出した……。
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