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「ああ、クレア。わたしの子供を孕んでくれええ!」

「分かりましたわ。全力ではらみますわ!!!!!」

なんてやりとりをしているうちに夜は更けていくのでした。結論から言うと、今回は結構うまくいったと思いました。このままだったら、本当に順調。後一ヶ月もすれば、子供ができたと感じるんじゃないか、そう思っていました。

まあ、そんなにすぐはできないと心配する人も多いことなので、念には念を入れて、何回も継続しました。

ですが……なかなかうまくいきませんでした。

「孫の顔を拝むことはできないのかな???」

皇帝陛下は、アンソニー様にプレッシャーをかけました。そして……わたしにプレッシャーをかけたのはメイドたちでした。

「クレア様。まだまだ時間がかかるようですねえ……」

一瞬だったかもしれません。最初は反発してそれから同情……と思いきや、今度はやはり反発。結局、子供を身篭ることができないとなると、反応は非常に冷ややかでした。

「わたしだったら……アンソニー様と上手くやれますのに……」

そんな声がどこからとなく聞こえてまいりました。

それは、古参のメイドたちから猫呼ばわりされたソーニャでした。

ほう、なかなか挑戦的だと思いました。でもね、わたしが無理だから彼女なら可能……というのは納得がいきませんでした。メイドたちの中でも、この際だから内密にソーニャとアンソニー様の交わりを認めようと言い出す者が出てきました。

「それは絶対に許されることではありません!」

古参のメイドたちは反発しました。ソーニャとアンソニー様は正式な婚約をしていないわけで、その二人が交わってしまうのは大問題だったのです。ですから、彼女たちはますますわたしを責め立てました。

「どうして、子供を産めないんですか???」

そんなことを言われても、分かりませんでした。

「それでは、役立たずのレッテルを貼られて終わりですよ!!!」

それは十分理解しておりました。でも……。

わたしの態度がなかなか決まらないことに痺れを切らしたメイドたちは、次第に二人の交わりを認めるようになっていきました。ですが、メイド長をはじめとした数名は、断固譲らない決意でした。

全てわたしが悪いの???

疑問がどんどん湧いて来ました。わたしがいなかったら……そもそも、最初から無理だったのかもしれません。成り行きで決まったアンソニー様との婚約……これ自体に。

無理だと思ったら潔く引き下がる……カッコ悪いですが、わたしは元々期待されていない。そう考えると、少しは気が楽になりました。

「アンソニー様。わたしに不満を感じるのでしたらすぐさま離縁してくださいね」

一言だけ申し上げておきました。幸い、アンソニー様の隣にまだソーニャはいませんでした。でも、彼は否定しませんでした。あの時……わたしを救い出してくれた日の瞳は消えていて……少しばかり黒ずんでいるようでした。
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