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その1
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「スミス公爵!」
どういうわけだか、僕の名前を呼ぶ声が宮殿に響き渡りました。
その特徴的な声の主が誰であるのか、これについては説明する必要はないでしょう。
「どうして返事をしないのですか」
「いや、別にあなたには関係ないと思いまして」
「関係ないなんて、そんなことあるわけないじゃないですか」
どうしてだか、彼女に絡まれてしまうといろいろ面倒なのです。別に、僕のことを追いかけなくたっていいと思いませんか。僕は単なる公爵なのですから。
「そういうわけにはいかないのですよ。だって、どうして私があなたから離れることができましょうか。そんな事は決してできないのですよ。なぜならば、私とあなたは運命共同体だからです。そうでしょう。これは全く以て、疑いのない事実なのでしょう。そう思いませんか」
そんな事はないと僕が答えてみたくもなります。いや、正確に申し上げますと、過去にはそのような返事をしたことがあるような気がいたします。ですが、僕がそのような返事をしますと、彼女はものすごく不機嫌になってしまうわけでございます。さてさて、どうしたものでしょうか。一体、僕と関わることで何かメリットがあるとでも言うのでしょうか。僕が彼女の立場だとしたら、つまり、僕が僕自身のことを1番よくわかっているわけでございますから、相手に何かしません。だって、僕ほどめんどくさい人間がこの世界にいると考えられないわけでございます。
「そんなに私のことを避けるのであれば、いっそこれまで私のことを殺してくださっても結構でございますよ」
またまた、彼女は非常に物騒なことを言っているわけでございます。そんなことを言われたら、それが非常にまずいと言うことなんて簡単に想像がつくでしょう。
なぜかって、彼女は王女様だからです。
どういうわけだか、僕の名前を呼ぶ声が宮殿に響き渡りました。
その特徴的な声の主が誰であるのか、これについては説明する必要はないでしょう。
「どうして返事をしないのですか」
「いや、別にあなたには関係ないと思いまして」
「関係ないなんて、そんなことあるわけないじゃないですか」
どうしてだか、彼女に絡まれてしまうといろいろ面倒なのです。別に、僕のことを追いかけなくたっていいと思いませんか。僕は単なる公爵なのですから。
「そういうわけにはいかないのですよ。だって、どうして私があなたから離れることができましょうか。そんな事は決してできないのですよ。なぜならば、私とあなたは運命共同体だからです。そうでしょう。これは全く以て、疑いのない事実なのでしょう。そう思いませんか」
そんな事はないと僕が答えてみたくもなります。いや、正確に申し上げますと、過去にはそのような返事をしたことがあるような気がいたします。ですが、僕がそのような返事をしますと、彼女はものすごく不機嫌になってしまうわけでございます。さてさて、どうしたものでしょうか。一体、僕と関わることで何かメリットがあるとでも言うのでしょうか。僕が彼女の立場だとしたら、つまり、僕が僕自身のことを1番よくわかっているわけでございますから、相手に何かしません。だって、僕ほどめんどくさい人間がこの世界にいると考えられないわけでございます。
「そんなに私のことを避けるのであれば、いっそこれまで私のことを殺してくださっても結構でございますよ」
またまた、彼女は非常に物騒なことを言っているわけでございます。そんなことを言われたら、それが非常にまずいと言うことなんて簡単に想像がつくでしょう。
なぜかって、彼女は王女様だからです。
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