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その2

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「私が誰であろうと、そんなのはどうでも良い問題じゃありませんか」

全然どうでも良い問題ではありません。僕は単なる公爵。そして彼女は王女様。そんなこと絶対にないとは思いますが、僕と彼女が婚約することになったとしたら、そこには非常に大きな壁が立ちはだかったりするわけでございます。もちろん、家庭の話でございますから、それ以上あるわけがないのですが。

「私があなたのことを気に留めている、いや、正直に申し上げれば、もっともっとすごい感情なのかもしれません。とにかく、私はあなたのことをものすごく好きなのです。好きで好きで仕方がない位好きなのです。これはどういった気持ちだったでしょうか」

そんなことを僕に言われたとしても、僕は本当に困ってしまうのです。だって、僕には本当にわからないのですから。わかるわけないじゃないですか。

「私のことをないがしろにするのですか」

別にないがしろにしているつもりはありません。と言うよりも、僕は最初から彼女とあまり関わりをしたくないと思っているだけなのです。だって、このような身分の方と付き合うと言うのは、非常にリスクを負うことになるわけです。そう思いませんか。

そういう面倒なことには正直申し上げると巻き込まれたくないわけでございます。
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