群れない僕らの単独記

ぼくと

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灰色狼のサンドル

狼と転移門

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 リベルテと俺は転移門の前まできた。リベルテは楽しげにしている。俺は見たことのない転移門の大きさに、足がすくんだ。転移門は常に開け放たれ、白い輝きを放っている。

「ここが転移門か!すげぇ大きいなっ」

「……そうだな」

 忌々しい人間の転移門。嫌な記憶を思い出す。ここから兵器が送られて、俺の故郷は燃えた。たくさんの狼が狩られたんだ。

「サンドル?大丈夫か」

「早くいこう」

 早く転移門を潜ってしまおう。この転移門をここで壊すことはできる。だが、リベルテを巻き込むのはダメだ。今の俺は一人じゃない。

「転移門って確か。門を触りながら、行きたいとこを考えるんだよな。行き先をを知らない場合、どうすんだ?」

「……知っているものに触れていれば、一緒に行くことができる」

「そうなのか!じゃ、サンドル頼む」

 リベルテが俺の肩に手を置く。

 リベルテは行き先を、つまりは帰る場所をわかっていないようだ。なんでも出来そうな顔して、案外抜けている。

「絶対に離すな」

 俺は転移門に触れた。視界が真っ白に染まる。眩しくて俺は目を閉じた。



「サンドル!面白いぜ」

 後ろからリベルテの声がする。俺が目を開けると、そこは広い平原だった。上手く転移門で移動できたようだ。

 後ろを振り向くと、リベルテが小さな転移門をつついていた。少し触れただけでは、他の転移門とはつながらない。しかし、見ていて冷や冷やする行為だ。

「リベルテ。危ないからよせ。何も考えずに触れていると、弾き返される」

「弾かれるとどうなるんだ?」

「最悪の場合は骨折する」

 リベルテが転移門から離れた。遊びたりなそうな顔をしているが、我慢してもらう。この平原から洞窟まで、俺たちは走って帰るのだから。
















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