43 / 88
あの日 ②
しおりを挟む
本来、雅樹は人に対しての興味が薄い。
いや、薄いと言うより興味がないし、別に誰がどうなったって気にしない。
だが智樹に関しては過保護すぎる。
智樹以外の人に興味がない、その気持ちの代わりの全て、智樹に向けられているような感じだ。
『智樹のためなら何でもできる』
それは言葉だけではなく、本当に何でもできるし、今までそうしてきた。
雅樹にとって智樹は全てだ。
大切な大切な智樹。
誰にも汚させることなんてさせない。
智樹の幸せが俺の幸せ…
そう言い聞かせ、智樹への気持ちに蓋を閉めてきた。
硬く、硬く…。
俺は『分をわきまえてる』
自分の地位や身の程をよく知り、出すぎたことをしないようにすることなどをしない。
智樹に対する俺の気持ちなんて、隠し通さないといけないんだ。
智樹に番ができ、幸せを見届けるのが俺の役目。
智樹の番が智樹を守り幸せにしていく、その日まで、俺が守り通さないといけないんだ。
智樹の幸せが、俺の幸せなんだ……。
太陽が沈みかけ、その姿を隠し始め出した頃。
ーーーガチャリーーー
玄関を開ける小さな音がした。
智樹!?!?
殆ど聞こえないような小さな物音に反応した雅樹は部屋から飛び出し、バタバタバタとすごい勢いで階段を降りていく。
智樹!?
智樹なのか!?
玄関に行くと誰の姿もなかったが、そこには智樹の靴が綺麗に並べられ置いてあった。
やっぱり智樹だ!!
智樹が帰ってきた嬉しさと安堵の気持ちで、さっきまでのあの不安が嘘のように消えていき、辺りをキョロキョロと見回したが、智樹の姿はない。
ここにはいない。
じゃあ多分ダイニングだ!
ダイニングのドアを開けると、そこには愛しい智樹の姿が!
「智樹!お帰り‼︎」
雅樹は飛びつくように智樹に抱きつき、存在を確認する。
よかった…
怪我もなさそうだ。
フェロモンの香まだするけど、何事もなくて本当によかった。
抱きしめた時の温もりを雅樹は噛み締める。
「……、ただいま……」
ん?
どことなく元気のない智樹の様子に雅樹は気づいた。
いつもの元気がない。
あの透き通ったような気配じゃなくて…、澱みひどく疲れた気配だ。
何かあったのか?
「智樹、どこ行ってたんだよ?心配したじゃねーか」
智樹を抱きしめる雅樹の腕の力が強くなる。
「ちょっと欲しい服があったから、見に行ってた」
微笑む智樹だったが、やはりそこには疲れが垣間見られ…。
何か俺に隠してる……のか?
「服屋?どこの?」
雅樹が聞くと、
「駅近くの路地裏に新しい店ができてたんだ。そこ」
また疲れた笑みを智樹がこぼした。
まただ。
また何か隠してる。
一体何を?
何気なく視線を落とした智樹の視線の先に、見覚えのない紙袋を智樹は握りしめている。
「智樹が今持ってる紙袋の中に、買った服が入ってるのか?」
智樹が持っていた紙袋を雅樹が指差すと、
「うん、これ。よかったから、雅樹のも買ってきた」
紙袋から色違いの服を智樹が取り出した。
「シンプルな色使いだから、なんでも合わせ易いって、店の人が。雅樹はどっちがいい?」
いつものように微笑みながら、智樹は雅樹の前に服を取り出した。
しかし雅樹にはその話し方がいつもより若干の早く、そして顔が若干引き攣ってるように感じた。
決して他の人は気づかない、微かな違い。
それを雅樹は感じ取った。
やっぱり何かある。
直感的に雅樹は確信して、智樹を問いただそうと思ったが、智樹は雅樹が服を選ぶまで腕をつきだしたままだったので、
「じゃあ…、こっち」
とりあえず服を受け取ることにし、雅樹が服を選ぶとホッとしたように智樹は表情を緩ませ、
「それより雅樹の方こそどうしたんだ。今日、部活で遅くなるって言ってたじゃないか…」
今度は雅樹の行動を探るよう、瞳を覗き込んだ。
いや、薄いと言うより興味がないし、別に誰がどうなったって気にしない。
だが智樹に関しては過保護すぎる。
智樹以外の人に興味がない、その気持ちの代わりの全て、智樹に向けられているような感じだ。
『智樹のためなら何でもできる』
それは言葉だけではなく、本当に何でもできるし、今までそうしてきた。
雅樹にとって智樹は全てだ。
大切な大切な智樹。
誰にも汚させることなんてさせない。
智樹の幸せが俺の幸せ…
そう言い聞かせ、智樹への気持ちに蓋を閉めてきた。
硬く、硬く…。
俺は『分をわきまえてる』
自分の地位や身の程をよく知り、出すぎたことをしないようにすることなどをしない。
智樹に対する俺の気持ちなんて、隠し通さないといけないんだ。
智樹に番ができ、幸せを見届けるのが俺の役目。
智樹の番が智樹を守り幸せにしていく、その日まで、俺が守り通さないといけないんだ。
智樹の幸せが、俺の幸せなんだ……。
太陽が沈みかけ、その姿を隠し始め出した頃。
ーーーガチャリーーー
玄関を開ける小さな音がした。
智樹!?!?
殆ど聞こえないような小さな物音に反応した雅樹は部屋から飛び出し、バタバタバタとすごい勢いで階段を降りていく。
智樹!?
智樹なのか!?
玄関に行くと誰の姿もなかったが、そこには智樹の靴が綺麗に並べられ置いてあった。
やっぱり智樹だ!!
智樹が帰ってきた嬉しさと安堵の気持ちで、さっきまでのあの不安が嘘のように消えていき、辺りをキョロキョロと見回したが、智樹の姿はない。
ここにはいない。
じゃあ多分ダイニングだ!
ダイニングのドアを開けると、そこには愛しい智樹の姿が!
「智樹!お帰り‼︎」
雅樹は飛びつくように智樹に抱きつき、存在を確認する。
よかった…
怪我もなさそうだ。
フェロモンの香まだするけど、何事もなくて本当によかった。
抱きしめた時の温もりを雅樹は噛み締める。
「……、ただいま……」
ん?
どことなく元気のない智樹の様子に雅樹は気づいた。
いつもの元気がない。
あの透き通ったような気配じゃなくて…、澱みひどく疲れた気配だ。
何かあったのか?
「智樹、どこ行ってたんだよ?心配したじゃねーか」
智樹を抱きしめる雅樹の腕の力が強くなる。
「ちょっと欲しい服があったから、見に行ってた」
微笑む智樹だったが、やはりそこには疲れが垣間見られ…。
何か俺に隠してる……のか?
「服屋?どこの?」
雅樹が聞くと、
「駅近くの路地裏に新しい店ができてたんだ。そこ」
また疲れた笑みを智樹がこぼした。
まただ。
また何か隠してる。
一体何を?
何気なく視線を落とした智樹の視線の先に、見覚えのない紙袋を智樹は握りしめている。
「智樹が今持ってる紙袋の中に、買った服が入ってるのか?」
智樹が持っていた紙袋を雅樹が指差すと、
「うん、これ。よかったから、雅樹のも買ってきた」
紙袋から色違いの服を智樹が取り出した。
「シンプルな色使いだから、なんでも合わせ易いって、店の人が。雅樹はどっちがいい?」
いつものように微笑みながら、智樹は雅樹の前に服を取り出した。
しかし雅樹にはその話し方がいつもより若干の早く、そして顔が若干引き攣ってるように感じた。
決して他の人は気づかない、微かな違い。
それを雅樹は感じ取った。
やっぱり何かある。
直感的に雅樹は確信して、智樹を問いただそうと思ったが、智樹は雅樹が服を選ぶまで腕をつきだしたままだったので、
「じゃあ…、こっち」
とりあえず服を受け取ることにし、雅樹が服を選ぶとホッとしたように智樹は表情を緩ませ、
「それより雅樹の方こそどうしたんだ。今日、部活で遅くなるって言ってたじゃないか…」
今度は雅樹の行動を探るよう、瞳を覗き込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー
白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿)
金持ち社長・溺愛&執着 α × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω
幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。
ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。
発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう
離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。
すれ違っていく2人は結ばれることができるのか……
思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいαの溺愛、身分差ストーリー
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる