88 / 88
満月の夜
しおりを挟む
電気を消し暗い部屋の中、智樹は雅樹に後ろから抱きしめながら、目を瞑る。両親も寝静まったのだろうか?家の中はしんと静まり返ると雅樹の心臓の音が、智樹の背中から伝わってきた。早くもなく、遅くもなく、いつも感じている心音。だが、いつも聞こえてくる穏やかな雅樹の寝息や、温かな温もりはなかった。時折、智樹の髪に優しくキスをする雅樹の唇から、悲しみが伝わってくるようだ。
何度目かのキスの後、智樹を抱きしめていた雅樹は腕の力を緩め、ベッドから離れる。
雅樹…、どこに行くの?
智樹は起き上がって、すぐにでも聞きたかったが躊躇した。雅樹があのキスマークの事に触れてこないことも、もし聞かれたとしても、なんと答えればいいかわからないことも…。今の智樹にはわからないことだらけだったから。
トイレ…かもしれない…。
しばらくベッドで雅樹の帰りを待っていたが、一向に帰ってこない。
もしかしたら、自室のベッドに行ってしまったのかも!?
自分勝手だと思うけど、雅樹がそばにいないと不安になる。
『雅樹、いつもそばにいてよ…』
ベッドから智樹は降りると、雅樹の部屋のドアを開けるが、誰もいない。
トイレかも知れない。
トイレを確認に行く。が、雅樹はいない。
喉が渇いたのかも?
リビングに行くが暗いまま。来客用の部屋を覗いても、雅樹の姿はない。
もしかして、出て行った!?
玄関に雅樹の靴を確認に行くと、靴があったので、智樹はほっとした。
じゃあ、どこに……。
!!
もしかして!!
智樹は階段を駆け上り、ある場所のドアを開けると、
「雅樹!」
ベランダの手すりに寄りかかり、夜空に浮かぶ月を見ていた雅樹がいた。
やっぱりここだった。
雅樹の姿を見ると、安心感から智樹の目が潤んだ。
「智樹……」
雅樹は智樹の姿に驚いたようだったが、『おいで』と、手招きをする。
「起こした?」
雅樹にくっついた智樹は首を横に振る。
「トイレか?」
冗談ぽく雅樹が笑うから、
「違うよ」
と言いながら、さっきまで泣きそうだった智樹が笑った。
「雅樹はどうしてここに?」
「今日は満月だって聞いてたから、見えるかな~って思って。満月ってなかなか見れないからな」
智樹越しに見える月を雅樹が見つめると、智樹も振り返る。雲ひとつなく、満月がいつも以上に輝いて見えた。
「智樹越しに見える満月は、余計に綺麗に見える…」
優しい瞳で見つめる雅樹は、ぽつりと呟き……、
!!!!
驚く智樹の目には、ハラハラと涙をながす雅樹の姿が映った。
「雅……樹…?……!!」
急に智樹は雅樹に抱きしめられる。
「ごめん…。もうしないから…しないから、、今だけ…抱きしめさせて…」
智樹を抱きしめる雅樹の腕は震えていて、智樹が『うん』と頷くと、腕の力がほんの少し強くなった。
「俺の顔は…見ないで…」
雅樹があまりにも悲しげにいうから、智樹はまた『うん』と頷く。
すると、
「っつ……」
嗚咽する雅樹の声が。
雅樹!?
雅樹の顔を見ようと、顔をあげようとした智樹の頭を雅樹が胸におしあてて、顔を見られるのを阻止する。
どうして…?
どうして泣いてる?
どうしてそれを隠す?
どうして……?
「雅樹?」
嗚咽する雅樹には、智樹の声は聞こえてないようだ。智樹は雅樹の背中に腕を回し、背中をぽんぽんと優しく叩いた。
「今日の月、本当に綺麗だな」
智樹が言うと、
「そうだな……」
雅樹が呟いた。そして消え入るような声で、
「月が…綺麗ですね…」
雅樹は智樹に聞こえないように言った。
何度目かのキスの後、智樹を抱きしめていた雅樹は腕の力を緩め、ベッドから離れる。
雅樹…、どこに行くの?
智樹は起き上がって、すぐにでも聞きたかったが躊躇した。雅樹があのキスマークの事に触れてこないことも、もし聞かれたとしても、なんと答えればいいかわからないことも…。今の智樹にはわからないことだらけだったから。
トイレ…かもしれない…。
しばらくベッドで雅樹の帰りを待っていたが、一向に帰ってこない。
もしかしたら、自室のベッドに行ってしまったのかも!?
自分勝手だと思うけど、雅樹がそばにいないと不安になる。
『雅樹、いつもそばにいてよ…』
ベッドから智樹は降りると、雅樹の部屋のドアを開けるが、誰もいない。
トイレかも知れない。
トイレを確認に行く。が、雅樹はいない。
喉が渇いたのかも?
リビングに行くが暗いまま。来客用の部屋を覗いても、雅樹の姿はない。
もしかして、出て行った!?
玄関に雅樹の靴を確認に行くと、靴があったので、智樹はほっとした。
じゃあ、どこに……。
!!
もしかして!!
智樹は階段を駆け上り、ある場所のドアを開けると、
「雅樹!」
ベランダの手すりに寄りかかり、夜空に浮かぶ月を見ていた雅樹がいた。
やっぱりここだった。
雅樹の姿を見ると、安心感から智樹の目が潤んだ。
「智樹……」
雅樹は智樹の姿に驚いたようだったが、『おいで』と、手招きをする。
「起こした?」
雅樹にくっついた智樹は首を横に振る。
「トイレか?」
冗談ぽく雅樹が笑うから、
「違うよ」
と言いながら、さっきまで泣きそうだった智樹が笑った。
「雅樹はどうしてここに?」
「今日は満月だって聞いてたから、見えるかな~って思って。満月ってなかなか見れないからな」
智樹越しに見える月を雅樹が見つめると、智樹も振り返る。雲ひとつなく、満月がいつも以上に輝いて見えた。
「智樹越しに見える満月は、余計に綺麗に見える…」
優しい瞳で見つめる雅樹は、ぽつりと呟き……、
!!!!
驚く智樹の目には、ハラハラと涙をながす雅樹の姿が映った。
「雅……樹…?……!!」
急に智樹は雅樹に抱きしめられる。
「ごめん…。もうしないから…しないから、、今だけ…抱きしめさせて…」
智樹を抱きしめる雅樹の腕は震えていて、智樹が『うん』と頷くと、腕の力がほんの少し強くなった。
「俺の顔は…見ないで…」
雅樹があまりにも悲しげにいうから、智樹はまた『うん』と頷く。
すると、
「っつ……」
嗚咽する雅樹の声が。
雅樹!?
雅樹の顔を見ようと、顔をあげようとした智樹の頭を雅樹が胸におしあてて、顔を見られるのを阻止する。
どうして…?
どうして泣いてる?
どうしてそれを隠す?
どうして……?
「雅樹?」
嗚咽する雅樹には、智樹の声は聞こえてないようだ。智樹は雅樹の背中に腕を回し、背中をぽんぽんと優しく叩いた。
「今日の月、本当に綺麗だな」
智樹が言うと、
「そうだな……」
雅樹が呟いた。そして消え入るような声で、
「月が…綺麗ですね…」
雅樹は智樹に聞こえないように言った。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー
白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿)
金持ち社長・溺愛&執着 α × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω
幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。
ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。
発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう
離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。
すれ違っていく2人は結ばれることができるのか……
思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいαの溺愛、身分差ストーリー
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
囚われ王子の幸福な再婚
高菜あやめ
BL
【理知的美形王子×痛みを知らない異能王子】
触れた人の痛みは感じても、自分の痛みに気づけない──そんな異能を持つ王子カシュアは、政略結婚で嫁いだ異国で幽閉され、四年間忘れられていた。
彼が再び人前に姿を現したのは、クーデターの混乱のさなか。そして、存在を持て余された末、次期宰相である王子との再婚が決まる。
冷静で無口な王子が、なぜかカシュアにだけは優しいのは、かつて彼が妖精物語に恋をした少年だったから――不器用な王子とともに、愛をたしかめ合うストーリー。※2025/11/26第三部スタート
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる