愛され南田くんは、寂しがり屋の甘えたです 〜無自覚甘えたが止まりません〜

葉月

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指輪 ⑤

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「あの…、その…、俺……」

こんなに気持ちがしんどくて、つらくて、悲しくて…。
胸がモヤモヤしたり、ズキズキしたりするの、無くしてくれるの?

「俺…、俺…、俺…」
 言葉に詰まる。
「今すぐに答えが欲しいってことじゃないんだ。ただ、俺とのことも考えて欲しい」
「…」
「俺は、優斗だけを愛するよ」
「……」
 卓は優斗を真っ直ぐ見つめる。
 優斗は動けない。
 健が嫌いになったとかではなく、卓の言葉に揺れたわけではなく、卓が真剣に自分以外のことを考え、受け止め見つめる眼差しが力強くて、美しいと思った。

卓はどうしてそんなに強いの?

 優斗がそう聞こうと思った時、優斗のスマホがなる。

もしかして…。

 優斗が画面を見ると『健』とあった。

どうしよう…。
いつも通り、話せるだろうか…?

 通話を画面を押すことを躊躇する。
「別に無理して出なくてもいいじゃない?」
「でも…」

今まで逃げてきて…。
出ないと…。

 そう思う反面、指輪をつけ笑う優美の顔が浮かぶ。

もし別れを告げられたら、どうしよう…。

 指先が震える。
 
もし別れを告げられたとしても、健が幸せになるなら…。
……健と別れるのが…、俺たちにとって…一番…?
健のために離れる?
でも離れたくない…?
大切な人の幸せを願えない俺って……。

 鳴り続けるスマホを、優斗が見つめ続けていると、
「もしもし、河野です」
 卓が優斗の手からスマホを取り、電話に出た。
「いえ、優斗のスマホです。……、優斗は事故に遭ったりしてません。大丈夫です。優斗は隣にいます。……。チーフ、少しお話しがあります。チーフの仕事が終わったら会えませんか?……。俺とチーフの2人で…。はい、わかりました。じゃあ10分後。…、はい。失礼します」
 電話を切った卓が、スマホを優斗に返す。
「卓、健となにを話すの?」
 卓は大きく息をする。
 そして優しく微笑んだ。
「宣戦布告」
「宣戦布告?」
 優斗が首を傾げる。
「そう。でもちょっと話をするだけ。だから安心して」
「…」
「ちょっと俺は出るけど、優斗がここにいたいならいてもいいし、帰りたいなら返ってもいい。優斗の好きにしていいから」
 卓が優斗の頭をポンポンと優しく叩いた。

卓はいつも優しい…。

「俺も卓みたいに、優しくなれるかな?」
 優斗が目を伏せると、卓の唇が優斗の髪に近づく。が、あと数センチと言うところで、ピタリと止まった。
「優しくなんて…ないよ…。じゃあ、行ってくる」
 卓は部屋を出た。
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