愛され南田くんは、寂しがり屋の甘えたです 〜無自覚甘えたが止まりません〜

葉月

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宣戦布告

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 健が時折使う、とある喫茶店。
 健と卓が電話をして話た後、2人はそこで会った。
 閉店間際だったのにも関わらず、ゆっくりと話ができるようにと、マスターが店を閉めた後、2人のためだけに開けてくれたのだ。
 レコードプレーヤーからはジャズがが流れ、カウンターの中でマスターが卓と健のコーヒーを淹れる。
 昔ならではの店内に客は、卓と健の2人だけ。

「一つ、聞いてもいいか?」
 コーヒーが運ばれてきて、はじめに口を開いたのは健だった。
「どうして河野くんが、南田くんの電話に?」
 言葉自体は普通だが、声色は少しとげとげしている。
「優斗の話を聞いていました。あと、チーフと優斗が付き合ってるの知ってるので、隠さなくても大丈夫ですよ」
 卓も仕事の時の雰囲気とは違い、ピリっとしていた。
 卓が『優斗』と名前で呼んだ時、健の眉がピクリと動く。
「……。いつから気付いてた?」
「そうですね、だいぶ前からです。確信したのは、綾先輩と俺と優斗とチーフと飲んだ時です」
「…」
「優斗が幸せなら、俺はチーフと優斗の仲を見守っていくつもり
?」
 健の眉間の皺が深くなる。
「チーフが優斗を傷つけたり、悲しませることばかりするなら、俺は許せませんし、優斗との関係を同僚や友達でとどめるつもりはありません」
 卓のことを睨みつけている健から、卓は目を逸らさない。
「それはどう言う意味だ?」
 健は目には怒りの光が宿り、眉はしかめられ嫌悪感を抑えようともしない。
「一緒に住んでいて、仕事も一緒にいて何も感じなかったんですか?優斗が傷つき苦しんでいるのを。俺が優斗の隣にさえいれば、こんなことにはならなかったのに…。優斗へのチーフの愛って、大したことなかったんですね」
 ガタンッと椅子が倒れた。
 健が勢いよく立ち上がり、卓の首もとを掴んだからだ。
「……。殴らないんですか?」
 そうされることを予測していたように、卓は動揺を見せず健の顔を見据える。
「……」
「優斗のことを幸せにできないなら、優斗を自由にしてやってください。俺が優斗を幸せにする。悲しい顔なんて絶対にさせない。絶対に!!」
 健に掴まれた手を振り払うと、テーブルの上に千円札を置き、
「有馬さんと、お幸せに」
 そう言い、卓は店を後にした。
 後には卓の話に困惑した健と、2人分のコーヒーが残された。
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