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さよなら
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まだ日が昇る前の、午前4時。
晴人に抱きしめられながら目を瞑っていた瑞稀が、目を開けた。
ずっと前から計画していた。
晴人と過ごした次の日に手紙を残し、黙って晴人の元を去ろうと。
本当は晴人に心の底から嫌われるようなことをして、自分から捨てられようとも考えた。
でもできなかった。
愛する人に嫌われたくなかった…。
自分可愛さに、最後の最後まで晴人に甘えて、そして目の前から突然いなくなる。
晴人はすぐに瑞稀のことを忘れるだろうか?
婚約相手と出会い、幸せになってくれるだろうか?
毎日考えた。
でも、本当はすぐに忘れられたくなかったし、晴人の隣にずっといたかった…。
だって瑞稀自身、晴人のことを忘れることなんて絶対にできないし、晴人以上の人には出会えない。
そう確信している。
『自分のことなんて、すぐにでも忘れて欲しい』
と、
『忘れないで欲しい…』
が、頭の中でぐるぐると矛盾が入り交わる。
晴人との思い出が、全て夢の中のことのように思え、そして全て夢の中のことだったら、どんなに諦めがつくのだろうとも思う。
最愛で愛しい人。
瑞稀は晴人を起こさないように静かにベッドから起き、クローゼットの奥に隠しておいた旅行バック1つつ、取り出した。
晴人に買ってもらったものは全て置いて行く。
瑞稀の荷物は少ない。
鞄を片手に、まだベッドで眠っている晴人のそばで膝をつき、晴人の寝顔を目に焼き付ける。
『どんなことがあっても、僕は貴方だけを愛しています』
心の中で呟き晴人が枕元に置いてあるスマホのロックを外すと、スマホ内にある瑞稀を全て消す。
連絡先もアルバムに入った自分が映った写真も…。
晴人の中にある瑞稀を全て消す。
二人が一緒にいたことなど、はじめからなかったかのように…。
晴人のスマホに入っている写真を見るたびにその時の思い出が蘇り、消すたびに思い出が泡のように消えていく。
全て消し終わるとスマホを枕元に置き直し寝室を後にすると、キッチンの机の上に置き手紙を置く。
『他に好きな人ができたから出て行ていきます』
と。
『その人と幸せになにるので、探さないで欲しい』
と書いた手紙を。
そして手紙の隣に、何よりも大切な宝物。
婚約指輪と、部屋の鍵をそっと置く。
これで本当にさよならだ…。
晴人との記憶が頭の中を駆け巡り、涙が後から後から流れてくる。
拭いても拭いても溢れてくる。
涙で視界が歪む中、時計を見れば、もうすぐ始発電車が走り出す頃。
ゆっくりと自分の意思で、瑞稀は晴人との部屋を後にし、振り返ることなく駅へと向かった。
晴人に抱きしめられながら目を瞑っていた瑞稀が、目を開けた。
ずっと前から計画していた。
晴人と過ごした次の日に手紙を残し、黙って晴人の元を去ろうと。
本当は晴人に心の底から嫌われるようなことをして、自分から捨てられようとも考えた。
でもできなかった。
愛する人に嫌われたくなかった…。
自分可愛さに、最後の最後まで晴人に甘えて、そして目の前から突然いなくなる。
晴人はすぐに瑞稀のことを忘れるだろうか?
婚約相手と出会い、幸せになってくれるだろうか?
毎日考えた。
でも、本当はすぐに忘れられたくなかったし、晴人の隣にずっといたかった…。
だって瑞稀自身、晴人のことを忘れることなんて絶対にできないし、晴人以上の人には出会えない。
そう確信している。
『自分のことなんて、すぐにでも忘れて欲しい』
と、
『忘れないで欲しい…』
が、頭の中でぐるぐると矛盾が入り交わる。
晴人との思い出が、全て夢の中のことのように思え、そして全て夢の中のことだったら、どんなに諦めがつくのだろうとも思う。
最愛で愛しい人。
瑞稀は晴人を起こさないように静かにベッドから起き、クローゼットの奥に隠しておいた旅行バック1つつ、取り出した。
晴人に買ってもらったものは全て置いて行く。
瑞稀の荷物は少ない。
鞄を片手に、まだベッドで眠っている晴人のそばで膝をつき、晴人の寝顔を目に焼き付ける。
『どんなことがあっても、僕は貴方だけを愛しています』
心の中で呟き晴人が枕元に置いてあるスマホのロックを外すと、スマホ内にある瑞稀を全て消す。
連絡先もアルバムに入った自分が映った写真も…。
晴人の中にある瑞稀を全て消す。
二人が一緒にいたことなど、はじめからなかったかのように…。
晴人のスマホに入っている写真を見るたびにその時の思い出が蘇り、消すたびに思い出が泡のように消えていく。
全て消し終わるとスマホを枕元に置き直し寝室を後にすると、キッチンの机の上に置き手紙を置く。
『他に好きな人ができたから出て行ていきます』
と。
『その人と幸せになにるので、探さないで欲しい』
と書いた手紙を。
そして手紙の隣に、何よりも大切な宝物。
婚約指輪と、部屋の鍵をそっと置く。
これで本当にさよならだ…。
晴人との記憶が頭の中を駆け巡り、涙が後から後から流れてくる。
拭いても拭いても溢れてくる。
涙で視界が歪む中、時計を見れば、もうすぐ始発電車が走り出す頃。
ゆっくりと自分の意思で、瑞稀は晴人との部屋を後にし、振り返ることなく駅へと向かった。
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