【完結】それでも僕は貴方だけを愛してる 〜大手企業副社長秘書α×不憫訳あり美人子持ちΩの純愛ー

葉月

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翌日 ③

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言ってしまおうか……。
今言わなかったら、この先本当のことを話す機会なんてないかもしれない……。
言ってしまおうか……。
晴人さん以上の人なんて、この世にいないと……。
そばにいて欲しいと。
そばにいたいと……。
言ってしまおうか……。

「あの、本当は……」
 本当の気持ちを伝えようとした時、瑞稀は晴人の左頬が腫れ、口角に青あざがあるのに気づいた。
「晴人さん、ここどうされたんですか?」
 瑞稀がそっと腫れている頬に触れると、晴人は痛みに顔を歪めた。
「誰かに殴られたんですか?」
「……いや、大丈夫だ」
 咄嗟に晴人は掌を左頬に当て、腫れと青あざを隠す。
「本当は口の中も切れてるんじゃないんですか?」
 瑞稀が手を伸ばすと、晴人はサッと身を後に引いた。

これは口の中、切れている。
絶対誰かに殴られたんっだ……。
どんなことがあっても話し合いで問題を解決し、絶対暴力を振るわない晴人さんを殴る人なんて、いるのだろうか……?

「瑞稀には関係ないことだ」
「そうかもしれませんが……」

でも気になる。
気になると言えば……。

「晴人さん、こんな時間に家にいても大丈夫なんですか?」
 晴人の仕事は分刻みで進んでいる。
 平日のこんな時間に自宅にいるのはおかしい。

「今日は大丈夫なんだ」
「何かあったんですか?」
「……。副社長に『今日は帰れと』と言われたから」
「え……? でも晴人さんは副社長の秘書だから、晴人さんがいないと仕事が進まないんじゃないですか?」
「ああ、そうなんだが、今日は帰れと…。瑞稀のことも心配してた」
「……」

 昨日の朝、晴人が始業前に仕事を抜け出すことができたのは、昴の許可がいる。
 そして昴は雫の叔父。
 雫の家に千景がいることも知ることができる。
 千景が雫の家にいると言うことは、瑞稀は迎えに行けない事情がある。
 晴人は朝、仕事を抜けてから仕事に帰っていないとすれば、昴としては晴人に何があったのか聞くのは簡単に想像できる。
 と言うことは、もしかして……。

 「晴人さんを殴った人って、内藤さん・・・・なんですか……?」
 そんなこと思い過ごしだろうと思いながら聞いたが、晴人の眉はピクリと動いた。

これは間違いない。
晴人さんを殴った人は副社長内藤さんだ。

「瑞稀は副社長のことを『内藤さん』って、随分親しそうに呼ぶんだな……」
 悲しそうに晴人は瑞稀を見る。

 お別れ遠足の時、昴と一緒に動物園をまわり、色々な昴と出会ってから親近感が湧き、つい昴のことを『内藤さん』と言ってしまっただけだ。

「親しいだなんて、そんな……。副社長とは仕事でしか……」
「でも保育園であったお別れ遠足の時、先輩と一緒にまわったんだろ?」

「それは……」
「俺はダメで、先輩はいいんだろ?」
「! そんなつもりは……」

「もういいよ……」
「……」
「タクシー呼んでおくから、体が大丈夫になったら千景くん迎えに行ってやって」
 そう言うと晴人は瑞稀を残し、寝室を後にした。
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