【完結】それでも僕は貴方だけを愛してる 〜大手企業副社長秘書α×不憫訳あり美人子持ちΩの純愛ー

葉月

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「寝ちゃいましたね」
「寝てしまったな」
 お風呂上がりに千景は晴人の膝の上に座り髪を乾かしてもらっている時、よほど眠たかったのだろう。千景はうつらうつら船を漕ぎはじめ、そのまま眠ってしまった。
「『寝る前にパパに絵本読んでもらう』ってあんなに楽しみにしていたのに眠っちゃうなんて」
 何かしながら寝てしまうなんて、千景が赤ちゃんのときに、夕食を食べながら寝てしまった以来、もう何年もなかった。
 なのに今日はもうぐっすり。
 今日は引っ越しがあったり、公園で遊んだり。
 千景も大忙しで、体力を使い果たしたのだろう。
 
 晴人が千景を起こさないように抱き上げ、瑞稀と一緒にベッドに連れて行く。
 そっとベッドに寝かせ、二人して千景の寝顔を見つめる。
「本当に可愛いな」
「はい。可愛いです」
「ずっと寝顔をみていたくなるな」
「はい、ずっと見ていたくなります」
 二人顔を見合わせ微笑む。
「このままじゃ、二人してここで徹夜してしまいそうだ」
 晴人はそういうと、千景の額にキスをし、
「本当に可愛い」
 もう一度言った。

「千景が自分の子供だから可愛いのもあると思うけど、それ以上に千景という人間が可愛いくて守ってあげたいのが一番なんだ。千景の笑顔を見ていると、幸せな気持ちになる。嫌だとごねている時は、どうしてそれが嫌なのか理由が知りたくなる。一人頑張っている時は、隣りで一緒に頑張りたい。悩んでいたら、一緒に答えを探していきたい。何に対しても手を差し伸べ、楽な道を進めるようにしてあげたいんじゃなくて、何に対しても一緒に解決して、一緒に成長していきたい。俺も親として成長していきたいんだ」
 
 瑞稀も晴人と同じ気持ち。
 千景が生まれ始めて千景の顔を見た時、無条件に涙が出てきた。
 離乳食が始まり好き嫌いが出始め、嫌いなものを口から出した時は、嫌なものを嫌だと言えるようになったんだと嬉しかった。
 慣れ親しんだ保育園から、新しい保育園に変わった時、毎朝毎朝泣いていた時は胸が張り裂けそうだったが、泣きながらも手を振る千景に何度救われたか。
 自分一人だけが頑張っているんじゃないと、気づかせてくれたのは千景だった。
 千景は瑞稀は親子だが、一番の同志だ。
 何があってもいつも一緒にいて、一緒に立ち向かって、一緒に乗り越えてきた。

「僕はも晴人さんと同じ気持ちです。僕も千景に人として成長させてもらっているっと思っています」
 うんと晴人は頷く。
 千景がいなければ今の自分はいない。
 もっと言えば晴人がいなければ、人生に未来を見出せなかったと思う。
 
「僕は晴人さんと出逢えて、千景と出逢えて本当に幸せ者です。晴人さん僕と出逢ってくれて、僕を見つけてくれて、選んでくれて、探し出してくれてありがとうございます」
 瑞稀は晴人の手に自分の手を重ねる。
「晴人さん、愛しています」
 何度言ってもいい足りない。
 何度も何度も伝えたい気持ち。
 晴人を愛している気持ち。
 多分、一生言い続けても、瑞稀が晴人を愛しているの気持ちは言い足りないと思う。

「俺もだよ。瑞稀、俺と出逢ってくれて、見つけてくれて、どんなに時間がたっても何があっても俺を選んでくれて、千景に出逢わせてくれて、ありがとう」
 晴人はふわりと瑞稀を抱き上げる。
「瑞稀、愛してる。本当は瑞稀のご両親に挨拶に行かせてもらってからって思ってたんだけど、それまで待てそうもない……。大切にする。幸せにする。もう絶対に離さない。一緒に楽しい家庭を築いていこう」
 瑞稀は晴人の目を見て、大きく頷く。
「瑞稀。俺と番になってくれませんか?」
 瑞稀の目には涙が溜まり、
「はい」
 返事をしたと同時に、涙が頬を伝った。
 幸せの涙が。
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