【完結】それでも僕は貴方だけを愛してる 〜大手企業副社長秘書α×不憫訳あり美人子持ちΩの純愛ー

葉月

文字の大きさ
182 / 202
愛おしいということは、愛しているということは 〜内藤昴 スピンオフ〜

山崎宅 ④

しおりを挟む
 山崎家との鍋パーティーも楽しく終わり、帰り瑞稀くんは「鈴木さんともっと仲良くなりたいから」と鈴木と連絡先の交換をしていた。
 それからというもの、瑞稀くんと鈴木はよくメールや通話アプリなどでやりとりをしていて、俺より仲がいい。
 仕方ないと言われれば仕方ないが、それはちょっと妬けてくる。
 鈴木にかまってほしいのに、何をどうしたらかまってくれるかわからない。
 いったい世の人たちは、こんな時どうしているのだろう?

 瑞稀くんと連絡を取り合うようになる前は、谷川とよく出かけていた鈴木だったが、今では谷川の誘いを断り瑞稀くんと2人で出かけている。
 そして今日、鈴木は瑞稀くんと買い物がてら不動産屋に行っている。
 鈴木は本格的に新居を探しているようだ。
 いい部屋が見つかればいいなと思う気持ちと、見つからなければこのまま一緒に暮らせるのにと言う気持ちが半々……、いや2対8で一緒に住みたい気持ちが勝っている。

「もう告白したらどうですか?」
 晴人の家で千景と清貴のお世話をしていると、突然晴人に言われた。
「先輩、気持ちが言動からダダ漏れなんです。今日だって本当は部屋探しなんて行ってほしくなかったんでしょ?」
 晴人に気持ちを読まれてしまい焦る。
 でも気持ちがダダ漏れってどういうことだ?
 そんなはずはない。俺は何を思っているかわからないと、今まで付き合った人に言われ続けたほど、気持ちを隠すのが上手いはず。
「鈴木が次に進もうとしているのは、いいことじゃないか」
「心にもないことを言っても、俺にはバレてますよ。一体何年来の付き合いだと思っているんですか?」
 確かに。
「でも実は俺も鈴木さんの引っ越し、あまり賛成できないんです」
「晴人もとなると、何か問題でもあるのか?」
 晴人が反対するには、何かしらの原因がある。
 嫌な予感がする。
「実は……」
 晴人の話はこうだ。
 調査会社に鈴木の身の回りの調査を再会し、はじめはやはり何も手掛かりはなかったが、鈴木が瑞稀くんと一緒に出かけるようになって動きがあったそうだ。
 瑞稀くんと鈴木を後ろからつけている人影があり……。

「二人をつけていた不審者は同業者。つまりプロの調査会社がつけているとのことだったんです」
「え!?2人をつけていたのが調査会社だって!?」
 驚きで声が大きくなる。
「二人が何かをするたび証拠となる写真などを撮っていたので間違い無いかと。肝心の依頼主がわからないので本当の不審者はわからず、また相手もプロなので尾行も困難だそうです」
 不審者もプロを雇っている。一筋縄では以下なさそうだ。
 そんなことより今日は2人で出かけている。
 危険が迫っているのでは!?
「だったら今日、瑞稀くんと鈴木だけで出かけさせるのは危ないんじゃ……」
「それは大丈夫です。瑞稀にもこのことは伝えていますし、2人を尾行しているのはプロですので2人に手を出すことはないでしょう。でも念のためボディーガードを瑞稀の友達として、一緒に行動させています。俺が危険だと知っておきながら、2人だけにしておくと思いますか?」
 やれやれと晴人に呆れられた。
 晴人が万全の対策をとってくれているのだ。
 二人の身の安全は保証されている。
 今は今後のことを詰めていかないといけない。

「瑞稀はそれとなく鈴木くんにまだ一人暮らし早いのではないかと伝え、でもなんの理由もなく反対するのはおかしいので、不動産屋には必ず一緒にいくようにすると言っていました」
 この夫婦は本当に機転がきく。
 次回の調査業者からの報告は、俺も同席することにした。

「俺が何かできればいいのだが、申し訳ない」
「本当ですよ。だから早く先輩が告白して、堂々と同棲すればいいんですよ」
「簡単にいうけどな、そもそも俺が告白して鈴木が承諾してくれるとは限らないだろ?」
「俺が思うに鈴木くんも先輩のこと好きだと思いおますよ」
 鈴木本人にいわれたわけでもないく、あくまで晴人の所見しょけんなのに嬉しくてにやけてしまう。
「でももしダメだった場合、それこそ鈴木は家から出て行ってしまうじゃないか」
「そうなったら、我が家に来てもらうので大丈夫です」
 それは安心だが……。
 晴人は本当に俺のことを応援しているのだろうか?
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

もう殺されるのはゴメンなので婚約破棄します!

めがねあざらし
BL
婚約者に見向きもされないまま誘拐され、殺されたΩ・イライアス。 目覚めた彼は、侯爵家と婚約する“あの”直前に戻っていた。 二度と同じ運命はたどりたくない。 家族のために婚約は受け入れるが、なんとか相手に嫌われて破談を狙うことに決める。 だが目の前に現れた侯爵・アルバートは、前世とはまるで別人のように優しく、異様に距離が近くて――。

【完結】end roll.〜あなたの最期に、俺はいましたか〜

みやの
BL
ーー……俺は、本能に殺されたかった。 自分で選び、番になった恋人を事故で亡くしたオメガ・要。 残されたのは、抜け殻みたいな体と、二度と戻らない日々への悔いだけだった。 この世界には、生涯に一度だけ「本当の番」がいる―― そう信じられていても、要はもう「運命」なんて言葉を信じることができない。 亡くした番の記憶と、本能が求める現在のあいだで引き裂かれながら、 それでも生きてしまうΩの物語。 痛くて、残酷なラブストーリー。

アルファ王子に嫌われるための十の方法

小池 月
BL
攻め:アローラ国王太子アルファ「カロール」 受け:田舎伯爵家次男オメガ「リン・ジャルル」  アローラ国の田舎伯爵家次男リン・ジャルルは二十歳の男性オメガ。リンは幼馴染の恋人セレスがいる。セレスは隣領地の田舎子爵家次男で男性オメガ。恋人と言ってもオメガ同士でありデートするだけのプラトニックな関係。それでも互いに大切に思える関係であり、将来は二人で結婚するつもりでいた。  田舎だけれど何不自由なく幸せな生活を送っていたリンだが、突然、アローラ国王太子からの求婚状が届く。貴族の立場上、リンから断ることが出来ずに顔も知らないアルファ王子に嫁がなくてはならなくなる。リンは『アルファ王子に嫌われて王子側から婚約解消してもらえば、伯爵家に出戻ってセレスと幸せな結婚ができる!』と考え、セレスと共にアルファに嫌われるための作戦を必死で練り上げる。  セレスと涙の別れをし、王城で「アルファ王子に嫌われる作戦」を実行すべく奮闘するリンだがーー。 王太子α×伯爵家ΩのオメガバースBL ☆すれ違い・両想い・権力争いからの冤罪・絶望と愛・オメガの友情を描いたファンタジーBL☆ 性描写の入る話には※をつけます。 11月23日に完結いたしました!! 完結後のショート「セレスの結婚式」を載せていきたいと思っております。また、その後のお話として「番となる」と「リンが妃殿下になる」ストーリーを考えています。ぜひぜひ気長にお待ちいただけると嬉しいです!

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

まばゆいほどに深い闇(アルファポリス版・完結済)

おにぎり1000米
BL
グラフィックアーティストの佐枝零は長年オメガであることを隠し、ベータに偽装して生活している。学生時代に世間で作品が話題になったこともあるが、今はできるだけ表に出ず、単調で平凡な毎日を送っていた。そんな彼に思ってもみない仕事の打診がもたらされる。依頼人は佐枝が十代のころ知り合った運命のアルファ、藤野谷天藍だった! ――親の世代から続く「運命」に翻弄されるアルファとオメガの物語。 *オメガバース(独自設定あり)エリート実業家(α)×アーティスト(偽装Ω)ハッピーエンド *全3部+幕間+後日談番外編。こちらに掲載分は幕間や番外編の構成が他サイトと異なります。本編にも若干の改稿修正や加筆あり。ネップリなどであげていた番外編SSも加筆修正の上追加しています。 *同じオメガバースのシリーズに『肩甲骨に薔薇の種』『この庭では誰もが仮面をつけている』『さだめの星が紡ぐ糸』があります。

春風の香

梅川 ノン
BL
 名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。  母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。  そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。  雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。  自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。  雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。  3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。  オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。    番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!

処理中です...