【完結】偽りの花嫁 〜すり替えられた花嫁は冷血王子から身も心も蕩けるほどに溺愛される〜

葉月

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孤児院への慈善事業 ②

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「こ、ここは……」
 着いたのは、僕が育った孤児院があった場所。

 でも綺麗に建て直されていて、昔のあの隙間風が入り込む孤児院と同じとは思えない。
 隙間風が入り込み、雨が降れば雨漏りし、ガラスが割れても治すお金がなかったから、木でその窓を塞ぎ、室内はいつも薄暗く、湿っぽかった。

 だけど、目の前にあるのは美しい外壁に大きなま窓がいくつもあって、正面の窓にはステンドグラスで神様が描かれている。

「ここって、僕がいた孤児院ですよ……ね」
 確認するようにヒューゴ様を見上げると、
「はい、一度、私も見にきたことがあるので、ここはユベール様が育った孤児院です。でもどうして……」
 ヒューゴ様も場所を聞かされてなかったのか、ビックリしている。

「クロエは知ってた?」
「まさか! ここがユベール様の育った孤児院だということも、知りませんでした」
 クロエは孤児院の様子を見ようと、キョロキョロ見回す。

 ここの子ども達は何でも自分でできる。
 それに教会も綺麗にしてもらっていて、補修するところもない。
 ここで慈善事業なんて、何をすればいいんだろう……。

 腕組みをしながら考えていると、
「ユべ——ル様——!」
 遠くから懐かしい声と、子ども達が走ってくる音がする。
「ユベール様!」
 数人一度に抱きつかれて、後に倒れそうになる。

 でもそのことを見越していたのか、ヒューゴ様に受け止められ、後に転ばずにすんだ。
「ありがとうございます」
 お礼を言うと、子ども達は
いつも・・・ありがとうございます」
 頭を下げて元気にお礼を言う。

いつも・・・
 どういうことなんだろう?

 女の子達は、
「ヒューゴ様って、こんなに素敵な人だとは思ってなかった」
「どきどきするね」
 頬を赤くしながら、話している。

 話の内容からして、ヒューゴ様のことは知っている。
 でも会うのは初めて……。
 ん~ん。

 首を傾げていると、
「ユベール様、ヒューゴ様、クロエ様。今日はこんな遠くまでご足労、ありがとうございます」
「神父様!」
 神父様は僕にとって命の恩人だし、育ての親。

 昔と同じ、僕を家族のように話したいけれど、僕は帝国第一王子の側室。
 神父様と身分が違ってしまった。
 僕と神父様の間に距離を感じる。

 それに神父様と最後にあった時、僕のことを助けてくれようとしていたのに、僕は神父様の気持ちを無視して出てきてしまった。
 神父様に会えた嬉しさとともに、寂しさと、申し訳なさでいっぱいになる。

「あのとき、神父様は僕を助けてくださろうとしたのに、その気持ちを踏み躙ってしまって、ごめんなさい……」
 神父様の顔が見れない。

 下を向いていると、視界にごつごつして僕の頭をよく撫でてくれた大きな手が見え、その手が僕の手を包み込む。
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