46 / 109
お茶会 ①
しおりを挟む
殿下は恥ずかしがり屋なのか、本当に忙しいのか、あれから特にな変わりなく、殿下との接点が少ないまま時間が過ぎていった。
変わったことといえば……。
クロエが園庭のガゼボの中にセッティングされた机の上に昼食を並べる。
実はクロエは武道もでき、少々の相手なら勝てるそう。
だかはクロエと一緒であれば、自由に部屋の外に出られることになった。
そこでクロエが「気分転換感に」と、ガゼボで昼食を取ることを勧めてくれた。
ガゼボでの食事は、とても気分転換になる。
公務で忙しくしている殿下も「ガゼボで食事をすればいいのに」いうと、
「でしたら殿下のお仕事の目処がつきましたら、一度お茶にお誘いになられるのはいかかがですか?きっと殿下もお喜びになると思いますよ」
と言われた。
「そうなのかな……?」
殿下は僕と一緒よりヒューゴ様と一緒の方が、ためになる話がたくさんできそうな気もする。
「はい!だって殿下はユベール様のことが好きですもの」
好きって……。
僕はまだ殿下のことを知らなさすぎて、殿下も僕のことを知らなさすぎる。
以前よりは近づいた気はするけれど、殿下が僕を好きだなんて、わからない。
「そんなのわからないよ」
無意識のうちに僕はそう呟いていた。
「もちろんです。殿下がユベール様を見つめられるときの表情。愛おしさがダダ漏れです。あんなに優しいお顔をされた殿下を見たのは、ナーシャ様とご一緒だった時ぐらいです」
「ナーシャ様?」
「殿下が12歳の時にお亡くなりになった、お母上様です」
「殿下もお母上様を亡くされていたんだね…」
殿下は僕と同じでお母様をな 亡くされていたとなんで知らなかった。
母様がいなくて悲しくて、心にポッカリと穴が空いた気持ち。僕には痛いほどわかる。
「ナーシャ様がいらっしゃった頃の殿下は、それはそれはお優しく、慈愛に満ちていらっしゃったのに…」
クロエがそこまで言った時、
「おしゃべりがすぎるぞ」
ガゼボにヒューゴ様がお一人でやって来た。
「申し訳ありません…」
クロエが頭を下げる。
「ユベール様、話の腰を折ってしまい申し訳ございませんでした。ただ、ナーシャ様のお話は、デリケートな話になりますので、もしお聞きになりたいのであれば、殿下から直接お聞きになるのが一番だと思いまして…」
確かにそうだ。
殿下幼い頃にお母様を亡くされていとのこと。
心の傷は消えない。
なのに自分の知らないところで大好きなお母様の話されているのは、嫌だと思う。
「そうですね。殿下が僕に話してもいいと思われるまで、待ちます」
「ユベール様は、今も昔も本当に思慮深くていらっしゃる」
「え…?」
ヒューゴ様の言葉が引っかかる。
「ヒューゴ様は『今も昔も』とおっしゃられていましたが、それはどういう意味なんでしょうか…?」
そう訊くとヒューゴ様は眉をピクリとし、視線を下に向けたが、すぐにいつものような笑顔にもどる。
変わったことといえば……。
クロエが園庭のガゼボの中にセッティングされた机の上に昼食を並べる。
実はクロエは武道もでき、少々の相手なら勝てるそう。
だかはクロエと一緒であれば、自由に部屋の外に出られることになった。
そこでクロエが「気分転換感に」と、ガゼボで昼食を取ることを勧めてくれた。
ガゼボでの食事は、とても気分転換になる。
公務で忙しくしている殿下も「ガゼボで食事をすればいいのに」いうと、
「でしたら殿下のお仕事の目処がつきましたら、一度お茶にお誘いになられるのはいかかがですか?きっと殿下もお喜びになると思いますよ」
と言われた。
「そうなのかな……?」
殿下は僕と一緒よりヒューゴ様と一緒の方が、ためになる話がたくさんできそうな気もする。
「はい!だって殿下はユベール様のことが好きですもの」
好きって……。
僕はまだ殿下のことを知らなさすぎて、殿下も僕のことを知らなさすぎる。
以前よりは近づいた気はするけれど、殿下が僕を好きだなんて、わからない。
「そんなのわからないよ」
無意識のうちに僕はそう呟いていた。
「もちろんです。殿下がユベール様を見つめられるときの表情。愛おしさがダダ漏れです。あんなに優しいお顔をされた殿下を見たのは、ナーシャ様とご一緒だった時ぐらいです」
「ナーシャ様?」
「殿下が12歳の時にお亡くなりになった、お母上様です」
「殿下もお母上様を亡くされていたんだね…」
殿下は僕と同じでお母様をな 亡くされていたとなんで知らなかった。
母様がいなくて悲しくて、心にポッカリと穴が空いた気持ち。僕には痛いほどわかる。
「ナーシャ様がいらっしゃった頃の殿下は、それはそれはお優しく、慈愛に満ちていらっしゃったのに…」
クロエがそこまで言った時、
「おしゃべりがすぎるぞ」
ガゼボにヒューゴ様がお一人でやって来た。
「申し訳ありません…」
クロエが頭を下げる。
「ユベール様、話の腰を折ってしまい申し訳ございませんでした。ただ、ナーシャ様のお話は、デリケートな話になりますので、もしお聞きになりたいのであれば、殿下から直接お聞きになるのが一番だと思いまして…」
確かにそうだ。
殿下幼い頃にお母様を亡くされていとのこと。
心の傷は消えない。
なのに自分の知らないところで大好きなお母様の話されているのは、嫌だと思う。
「そうですね。殿下が僕に話してもいいと思われるまで、待ちます」
「ユベール様は、今も昔も本当に思慮深くていらっしゃる」
「え…?」
ヒューゴ様の言葉が引っかかる。
「ヒューゴ様は『今も昔も』とおっしゃられていましたが、それはどういう意味なんでしょうか…?」
そう訊くとヒューゴ様は眉をピクリとし、視線を下に向けたが、すぐにいつものような笑顔にもどる。
27
あなたにおすすめの小説
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね
ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」
オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。
しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。
その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。
「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」
卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。
見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……?
追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様
悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
欠陥Ωは孤独なα令息に愛を捧ぐ あなたと過ごした五年間
華抹茶
BL
旧題:あなたと過ごした五年間~欠陥オメガと強すぎるアルファが出会ったら~
子供の時の流行り病の高熱でオメガ性を失ったエリオット。だがその時に前世の記憶が蘇り、自分が異性愛者だったことを思い出す。オメガ性を失ったことを喜び、ベータとして生きていくことに。
もうすぐ学園を卒業するという時に、とある公爵家の嫡男の家庭教師を探しているという話を耳にする。その仕事が出来たらいいと面接に行くと、とんでもなく美しいアルファの子供がいた。
だがそのアルファの子供は、質素な別館で一人でひっそりと生活する孤独なアルファだった。その理由がこの子供のアルファ性が強すぎて誰も近寄れないからというのだ。
だがエリオットだけはそのフェロモンの影響を受けなかった。家庭教師の仕事も決まり、アルファの子供と接するうちに心に抱えた傷を知る。
子供はエリオットに心を開き、懐き、甘えてくれるようになった。だが子供が成長するにつれ少しずつ二人の関係に変化が訪れる。
アルファ性が強すぎて愛情を与えられなかった孤独なアルファ×オメガ性を失いベータと偽っていた欠陥オメガ
●オメガバースの話になります。かなり独自の設定を盛り込んでいます。
●最終話まで執筆済み(全47話)。完結保障。毎日更新。
●Rシーンには※つけてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる