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お茶会 ③
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「殿下順序というものがあります。暴走だけはお気をつけてださい」
「わかっている」
殿下は子供のように口を尖らせて拗ねている。
殿下の可愛さが爆発しそう。
でも殿下に可愛いなんていうのは失礼だから、その気持ちはそっと胸にしまっておこう。
「それでユベール、少しいいか?」
僕の視線を感じ取ったのか、殿下が話を変えて僕のために椅子を引いてくれる。
「ありがとうございます」
そう言いながら僕が椅子に座ると、殿下はヒューゴ様に椅子を引かれながら、僕の真正面に座る。
「実は今、巷で俺の新しい噂が流れている」
「それは初耳です」
また変な噂じゃなければいいんだけれど……。
「しかも言い出したのが、ユベール、お前だと聞いている」
「僕がですか!?」
身に覚えのないことに、声が裏返る。
「僕は殿下を貶めるようなことは、命に賭けていっていません!」
せっかく殿下が心を開いてくれようとしている。
絶対に誤解は取り除きたい。
「それはわかっている」
「じゃあその噂っていうのは……」
どこの誰だか知らないけれど、僕の名前を使って変な噂を流しさやつは絶対に見つけ出してやる!
「俺が……優しいって噂なんだ
優しいという部分だけ自分で言うのが恥ずかしかったか、殿下の声がちいさくなった。
ああ確かにそれなら、
「僕が言いました」
キッパリと答える。
「実は孤児院を出るとき、殿下の噂をなくしたいと僕が言うと、孤児院の子ども達やいつもよくしてっくれていた近所のアリアさんに愚痴ったら『じゃあ私達が殿下の優しいところを、言いまわっていくよ』っていってくれたので、僕は『お願いします』って言ったんです。出過ぎた真似をしてしまって、すみません……」
殿下が黙ってしまった。
確かに殿下が怒るってしまうのは、もっとものこと。
僕は殿下の噂が嫌だと言っておいたのに、よく考えると僕も殿下の噂を広めてしまった。
「ごめんなさい……」
もう一度謝ると、
「ユベールには敵わないな」
そう呟いてから、
「ありがとう、嬉しいよ」
笑顔で言ってくれた。
「わかっている」
殿下は子供のように口を尖らせて拗ねている。
殿下の可愛さが爆発しそう。
でも殿下に可愛いなんていうのは失礼だから、その気持ちはそっと胸にしまっておこう。
「それでユベール、少しいいか?」
僕の視線を感じ取ったのか、殿下が話を変えて僕のために椅子を引いてくれる。
「ありがとうございます」
そう言いながら僕が椅子に座ると、殿下はヒューゴ様に椅子を引かれながら、僕の真正面に座る。
「実は今、巷で俺の新しい噂が流れている」
「それは初耳です」
また変な噂じゃなければいいんだけれど……。
「しかも言い出したのが、ユベール、お前だと聞いている」
「僕がですか!?」
身に覚えのないことに、声が裏返る。
「僕は殿下を貶めるようなことは、命に賭けていっていません!」
せっかく殿下が心を開いてくれようとしている。
絶対に誤解は取り除きたい。
「それはわかっている」
「じゃあその噂っていうのは……」
どこの誰だか知らないけれど、僕の名前を使って変な噂を流しさやつは絶対に見つけ出してやる!
「俺が……優しいって噂なんだ
優しいという部分だけ自分で言うのが恥ずかしかったか、殿下の声がちいさくなった。
ああ確かにそれなら、
「僕が言いました」
キッパリと答える。
「実は孤児院を出るとき、殿下の噂をなくしたいと僕が言うと、孤児院の子ども達やいつもよくしてっくれていた近所のアリアさんに愚痴ったら『じゃあ私達が殿下の優しいところを、言いまわっていくよ』っていってくれたので、僕は『お願いします』って言ったんです。出過ぎた真似をしてしまって、すみません……」
殿下が黙ってしまった。
確かに殿下が怒るってしまうのは、もっとものこと。
僕は殿下の噂が嫌だと言っておいたのに、よく考えると僕も殿下の噂を広めてしまった。
「ごめんなさい……」
もう一度謝ると、
「ユベールには敵わないな」
そう呟いてから、
「ありがとう、嬉しいよ」
笑顔で言ってくれた。
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