異世界で史上初の魔法使いになったので、世界は私のものかもしれません!

よもぎ餅

文字の大きさ
3 / 24
第1章 彼女の力が世界に知れ渡る

第3話 白騎士の少女と冒険者ギルド

しおりを挟む
 
 白鎧の女の子は恐怖でガタガタと震えながら燃え盛る草原を見つめていた。

「ねえ!」
「ひゃいっ! なんでしょうかッ!!」
「いやそんなにかしこまらないでよ。」
「はいっ! 分かりました! 失礼しましたッ!!」

 女の子はペコペコと頭を下げる。
 
 ダメだこりゃ。ちょっとやりすぎたなー。

「ここにいるのもあれだし。できれば貴女の国や街に行きたいんだけど平気?」
「わ、私の国にですか......?」

 白鎧の少女は燃え盛る草原の方角をチラリと見てから、ミサキに視線を戻して緊張から唾を飲み込んだ。

「あ、あの。破壊し尽くしたりとかしませんよね?」
「しないよッ!! ......たぶん」
「ひッ!!」


 女の子の案内で街を目指して空を飛んでいると、チラチラと私を見つめてくる視線に気がついた。

「えーと。どうしたの?」
「あっ! すいません!」
「はぁー......。あっ! そういえば自己紹介がまだだったね! 私はミサキ。よろしくね?」
「よ、よろしくお願いします! 私はアリア・ディ・アルバードと言います。アルバード家の三女です」
「なっが!! なんか貴族みたいな名前だね。アリアちゃんでもいい?」
「ええ。一応その。貴族なんですけど......」

 アリアちゃんは困り顔で頬を掻いた。

「おおっ! お嬢様だ! ん? でもなんでお嬢様が戦場に?」
「そ、その貴族といっても子爵家でして......。それに小さい国なので戦力に余裕がないんです」
「あー。あの黒鎧の国と戦争中だもんね」
「黒鎧って......。ロクサンヌ帝国のことをご存知じゃないんですか?」
「えっ、有名なの?」
「えぇ......。一体どちらから来られたんですか?」
「んっー。お爺ちゃんのところから?」
「答えになってないじゃないですか!」
「あはは......」

 アリアちゃんと話していると、上空から城壁に囲まれた西洋風の街並みが見えてきた。

「おっ? あの遠くに見えてきたのがアリアちゃんの街?」
「えっ? あっはい。そうですね。あっという間に着いてしまいましたね......。馬で3日もかかる距離だったのですが......」
「このまま街に降りればいいの?」
「やめてください!! 大騒ぎになりますよ!」
「えぇ......。面倒くさいなぁ」

 アリアちゃんがうるさいので街から少し離れた草原から歩いて向かうことにした。

 でも少しアリアちゃんと打ち解けた気する。異世界でボッチは寂しすぎるもんね! アリアちゃんとは仲良くしていきたいものだ。

 城壁には門兵さんがいたけど、アリアちゃんのおかげでなんの問題もなく街に入ることができた。

 街の中は石造りの西洋風の街並みが広がっており、通行人と馬車を引く荷車で賑わっていた。

 へー。中世に近い文化レベルなんだなぁ。馬車なんて初めてみた。

「私は一度お父様に報告をしてきますね。ミサキさんはこの後どうされるんですか?」
「んー。特に決まってないけど、街の中を見て回ろうかなって思ってたよ」
「そうでしたか。もし良ければ助けていただいたお礼がしたいので、我が家で一緒に夕食なんてどうですか?」
「おおーっ! ぜひぜひ! お金もなかったから助かるよ!」
「で、ではぜひ我が家にお越し下さい!! そうだ。これを渡しておきますね」
「これは?」
「アルバード家の紋章です。これを見せれば我が家にくるのに迷われることもないと思います」
「ありがとう。じゃあ街を少し見て回ったらお邪魔するね。街の人に聞けばアリアちゃん家もわかるよね?」
「ええ。万が一の時は城門にいた門兵に聞いてみてください」
「りょーかい」

 アリアちゃんと別れて街の中を見て回る。

 美味しそうな屋台や雑貨屋風のお洒落なお店など、この街には生活するのに十分な環境が整っているようだ。

 だけど......。

 お金がないから何もできないじゃん! このままじゃせっかく異世界にきたのに買い食いすらできないよ!!

「はあ......。少し早いけどアリアちゃん家にでも行こうかな」


 街の人に聞いたら、アリアちゃんの家はすぐに見つけることができた。庭つきの大きくて立派なお屋敷だ。さすが貴族様だ。

 アリアちゃんの家の門の前に、門兵さんが二人いたので話しかけることにした。

「止まれ! 怪しい奴め。貴様何者だッ!!」
「えーと。アリアちゃんに呼ばれたんだけど、アリアちゃんいますか?」
「アリアお嬢様が貴様のような者と知り合いなわけがなかろう。いい加減なことをいうな!」
「えぇ......。あっ! アリアちゃんからこれを渡されたんだった。これで信用してもらえる?」

 門兵さんにアリアちゃんにもらったアルバード家の紋章をみせた。
 
 門兵さんはジーッと紋章を見つめると、馬鹿にしたように鼻で笑った。

「はっ! そんな偽物でこの私が騙されるわけがなかろう。ほら、もうさっさとこの場から立ち去れッ!!」

 話が違うじゃないか! せっかく来たのに門前払いなんて酷すぎるよ!!


 まぁゴネても仕方ないのでアルバード家は諦めることにした。
 
 街の中を歩きながらこれからどうしようか考えていると『冒険者ギルド』と書かれた看板が目に止まった。

 おおッ!! 異世界の定番! 冒険者ギルドだ! ここならお金稼ぎができるかもしれない。

 私はドキドキしながら冒険者ギルドの中に入っていった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。

処理中です...