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第1章 彼女の力が世界に知れ渡る
第6話 嘲笑った代償とギルドマスター
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高校生ぐらいの3人組の男女が私を指差して馬鹿にしたように嘲笑っている。
私の相棒を馬鹿にするなんていい度胸だ。この子を作るのに私がどれだけの時間を費やしてきたと思ってるんだ。
毎日毎日、ムカつくパワハラ上司に耐えながらコツコツ頑張って材料を集めたんだぞ!
「お、おい!! お前らいい加減にしろ!」
ギルドのおじさんは少し慌てた様子で3人組を怒鳴りつけるが、3人組は悪びれる様子もなく私を見てニヤニヤ薄笑いを浮かべている。
「へー。元気な子達だね」
「なんかわりぃな嬢ちゃん……」
「ううん。いいんだよ? じゃあおじさん。始めようか? ちょうどいい的もあるし……」
「あ、あぁ。……なぁ、嬢ちゃん。念のための確認なんだが……。的って木の人形のことだよな?」
「ふふふ。もちろんですよー。3体のデク人形のことですよ? 当たり前じゃないですかあー」
ギルドのおじさんは木の人形がある方をチラッと見てから、顔を引きつらせながら視線を私に戻す。僅かに声も震える。
「な、なぁ、嬢ちゃん……。木の人形は10体以上並んでるんだが……。そのうちの3体って……意味だよな? そうだよな?」
「ふふふっ……」
ギルドのおじさんを無視して、杖を握っているほうの腕を軽く振って、デク人形達に風魔法を放った。
もちろん魔力はなるべく抑えた。ギルドに登録できなくなったら困るからね。
ミサキから一陣の風が3人組に向かって吹いた。その風は3人組に近づくにつれて勢いを増し、渦を巻きながら風の刃となって3人組に迫っていった。
「なん……」
3人組のひとりが異変に気づき口を開いた。
──次の瞬間。
なんだ? という疑問の声を喋り終える前に、風の渦と刃に巻き込まれ3人は宙を舞った。
「「「 ぎゃあああああ──ッ!! 」」」
訓練場に破壊音が響き渡り、壁の木材が飛び散り、絶叫の声が訓練場に木霊する。
風に呑み込まれた3人は床に叩きつけられ、苦痛に顔を歪めながら呻き声をあげた。
風の刃が切り裂いた跡が周囲の至るところに刻み込まれている。
ギルドのおじさんは驚愕に顔を強張らせながら凍りついたようにその場で固まった。
まさかミサキがここまで異常な力を持っていようとは夢にも思っていなかったのだ。
「……おいおい。まじかよ……」
ふと扉の外から慌ただしい足音が聞こえてきたかと思うと、勢いよく扉が開かれた。
ミリアさんだ。
訓練場の惨状を目の当たりにして、瞳を大きく見開いている。
「ギルドマスター!! な、なにがあったんですかッ!? この状況は一体……」
偉い人なんだろうなーとは思ってたけど、このおじさんがギルドマスターだったのか。
ミリアさんの声にギルドマスターのおじさんはハッと肩を震わせて我に返ると、険しい顔つきで私をジーっと見つめて、ぽつりと呟いた。
「化け物じゃねえか……」
◆◇◆◇
私はいま訓練場をでてギルドの会議室の椅子に座らされている。対面には疲れた顔をしたギルドマスターのおじさんが座っている。
「おじさん。だいじょうぶ?」
「嬢ちゃんのせいだけどなッ!! なんだよあれ! あんなもん見たことねえぞ!? あぁ……。うちの自慢の訓練場があ……」
ギルドマスターのおじさんは顔を真っ赤にして叫んだあと、頭を抱えながら地面にうずくまった。
「ついカッとなってやった。後悔はしていない!」
「なんでドヤ顔なんだよッ!!」
「あはははッ!」
「笑えねぇんだよッ!!」
「はは……は……。ごめんなさい」
笑って誤魔化そうとしたけどダメでした。
でもまさかちょこっと魔力を込めて風魔法放っただけで、訓練場の壁に穴が開いちゃうとは思わなかったなあ。
魔法は問題なく使えるけど、手加減の練習はしたほうがいいかもしれない。
「たくっ。嬢ちゃんは一体何者なんだよ。騎士の格好をしてるのに武器は杖とか言いだすわ。杖を振ったら訓練場をぶっ壊すわ……」
「それは乙女の秘密ってやつだね!」
「バカやろうッ!! あんな物騒な乙女の秘密があってたまるかッ!!」
「ふふふ! それで登録はこれで終わり?」
「あ? あぁ。そうだな。別の問題は出てきたけどな」
「別の問題?」
ギルドマスターのおじさんは困り顔でため息をついて頭を掻く。
「嬢ちゃんのランクだよ」
「えっ。私はなんでもいいよ? お金を稼ぎたいだけだから」
「嬢ちゃんはそれでよくてもこっちが困るんだよ!」
「じゃあどうするの? 登録できないのは困るよ?」
ギルドマスターのおじさんは腕を組みながら、唸り声を上げて考え込んでいる。
「よしっ。嬢ちゃんはAランクだ。本来であればSランクでも問題ない実力だったが、俺の権限じゃAランクが限界だ。わりぃな」
「いやいや! 十分だよ! お金がなかったから本当に困ってたんだぁー」
「あ? じゃあ今日泊まるところはどうするつもりなんだ? もう日も暮れて真っ暗だぞ?」
「どうしましょう」
アリアちゃんの家は入れてもらえなかったしなあ……。
「おいおい。どうしましょうって……。よし! 嬢ちゃんさえ良ければうちにくるか?」
「おおーっ! ……あっ。まさか私の身体目当てなんじゃ……」
「ねえよッ!! 俺は奥さん一筋なんだよ!! ……だいたい子供もいるしな。それでどうすんだ? まぁ、無理にとは言わねえが……。困ってんだろ?」
このおじさんすごくいい人だ。私のことを本当に心配してくれてるみたいだ。疑うようなこと言って悪いことしたなぁ。
「じゃあお言葉に甘えようかな。あっ。そういえばおじさん。名前は何て言うの?」
「グレンだ。嬢ちゃんこれからよろしくな! ギルドカードは明日にはできるから今日は俺の家でゆっくりしていってくれや!」
「ありがとう! こちらこそよろしくね!」
グレンさんはニカっと爽やかな笑顔を浮かべながら私の両肩をポンポン叩いた。
私の相棒を馬鹿にするなんていい度胸だ。この子を作るのに私がどれだけの時間を費やしてきたと思ってるんだ。
毎日毎日、ムカつくパワハラ上司に耐えながらコツコツ頑張って材料を集めたんだぞ!
「お、おい!! お前らいい加減にしろ!」
ギルドのおじさんは少し慌てた様子で3人組を怒鳴りつけるが、3人組は悪びれる様子もなく私を見てニヤニヤ薄笑いを浮かべている。
「へー。元気な子達だね」
「なんかわりぃな嬢ちゃん……」
「ううん。いいんだよ? じゃあおじさん。始めようか? ちょうどいい的もあるし……」
「あ、あぁ。……なぁ、嬢ちゃん。念のための確認なんだが……。的って木の人形のことだよな?」
「ふふふ。もちろんですよー。3体のデク人形のことですよ? 当たり前じゃないですかあー」
ギルドのおじさんは木の人形がある方をチラッと見てから、顔を引きつらせながら視線を私に戻す。僅かに声も震える。
「な、なぁ、嬢ちゃん……。木の人形は10体以上並んでるんだが……。そのうちの3体って……意味だよな? そうだよな?」
「ふふふっ……」
ギルドのおじさんを無視して、杖を握っているほうの腕を軽く振って、デク人形達に風魔法を放った。
もちろん魔力はなるべく抑えた。ギルドに登録できなくなったら困るからね。
ミサキから一陣の風が3人組に向かって吹いた。その風は3人組に近づくにつれて勢いを増し、渦を巻きながら風の刃となって3人組に迫っていった。
「なん……」
3人組のひとりが異変に気づき口を開いた。
──次の瞬間。
なんだ? という疑問の声を喋り終える前に、風の渦と刃に巻き込まれ3人は宙を舞った。
「「「 ぎゃあああああ──ッ!! 」」」
訓練場に破壊音が響き渡り、壁の木材が飛び散り、絶叫の声が訓練場に木霊する。
風に呑み込まれた3人は床に叩きつけられ、苦痛に顔を歪めながら呻き声をあげた。
風の刃が切り裂いた跡が周囲の至るところに刻み込まれている。
ギルドのおじさんは驚愕に顔を強張らせながら凍りついたようにその場で固まった。
まさかミサキがここまで異常な力を持っていようとは夢にも思っていなかったのだ。
「……おいおい。まじかよ……」
ふと扉の外から慌ただしい足音が聞こえてきたかと思うと、勢いよく扉が開かれた。
ミリアさんだ。
訓練場の惨状を目の当たりにして、瞳を大きく見開いている。
「ギルドマスター!! な、なにがあったんですかッ!? この状況は一体……」
偉い人なんだろうなーとは思ってたけど、このおじさんがギルドマスターだったのか。
ミリアさんの声にギルドマスターのおじさんはハッと肩を震わせて我に返ると、険しい顔つきで私をジーっと見つめて、ぽつりと呟いた。
「化け物じゃねえか……」
◆◇◆◇
私はいま訓練場をでてギルドの会議室の椅子に座らされている。対面には疲れた顔をしたギルドマスターのおじさんが座っている。
「おじさん。だいじょうぶ?」
「嬢ちゃんのせいだけどなッ!! なんだよあれ! あんなもん見たことねえぞ!? あぁ……。うちの自慢の訓練場があ……」
ギルドマスターのおじさんは顔を真っ赤にして叫んだあと、頭を抱えながら地面にうずくまった。
「ついカッとなってやった。後悔はしていない!」
「なんでドヤ顔なんだよッ!!」
「あはははッ!」
「笑えねぇんだよッ!!」
「はは……は……。ごめんなさい」
笑って誤魔化そうとしたけどダメでした。
でもまさかちょこっと魔力を込めて風魔法放っただけで、訓練場の壁に穴が開いちゃうとは思わなかったなあ。
魔法は問題なく使えるけど、手加減の練習はしたほうがいいかもしれない。
「たくっ。嬢ちゃんは一体何者なんだよ。騎士の格好をしてるのに武器は杖とか言いだすわ。杖を振ったら訓練場をぶっ壊すわ……」
「それは乙女の秘密ってやつだね!」
「バカやろうッ!! あんな物騒な乙女の秘密があってたまるかッ!!」
「ふふふ! それで登録はこれで終わり?」
「あ? あぁ。そうだな。別の問題は出てきたけどな」
「別の問題?」
ギルドマスターのおじさんは困り顔でため息をついて頭を掻く。
「嬢ちゃんのランクだよ」
「えっ。私はなんでもいいよ? お金を稼ぎたいだけだから」
「嬢ちゃんはそれでよくてもこっちが困るんだよ!」
「じゃあどうするの? 登録できないのは困るよ?」
ギルドマスターのおじさんは腕を組みながら、唸り声を上げて考え込んでいる。
「よしっ。嬢ちゃんはAランクだ。本来であればSランクでも問題ない実力だったが、俺の権限じゃAランクが限界だ。わりぃな」
「いやいや! 十分だよ! お金がなかったから本当に困ってたんだぁー」
「あ? じゃあ今日泊まるところはどうするつもりなんだ? もう日も暮れて真っ暗だぞ?」
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「おいおい。どうしましょうって……。よし! 嬢ちゃんさえ良ければうちにくるか?」
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