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第1章 彼女の力が世界に知れ渡る
第7話 グレンさんの家に行くよ!
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ギルドマスターのグレンさんの仕事が終わるまで、まだ時間があったので広間にある依頼を見にいくことにした。
「えーと。どれどれ……」
依頼ボードの前に立ち、ゆっくりと依頼を眺めていく。
日暮れだからなのか依頼ボードに貼られている依頼はさほど多くなかった。
「荷馬車の護衛依頼。あとこっちは……。貴族家での剣技の稽古依頼かぁー」
荷馬車の護衛依頼はめんどくさそうだから嫌だなー。かといって剣技なんて使えないし。
んー……。明日の朝また見にきたほうがよさそうかな? できれば短時間、高収入な依頼がやりたいよ。もう長時間労働は懲り懲りだ。
「あ、あの。良さそうな依頼はなさそうですか?」
「ん?」
依頼ボードを眺めながらどうするか考え込んでいると、後ろから声をかけられたので振り返る。
高校生活ぐらいの赤毛をツインテールにした女の子が立っていた。着ている冒険者風の皮の鎧は、魔物にやられたのか至るところが切り裂かれてボロボロだ。魔物の討伐報告にきたのかな?
「そうだねー。あまりいいのは無さそうかなぁ」
「そ、そうですか……」
ふいに女の子と目が合った。
女の子は私と目が合うと、気まずそうにうつむきながら瞳を左右にキョロキョロと動かして、体をモジモジさせた。
(なんだろうこの子。恥ずかしがり屋なのかな? それとも人見知り?)
私が女の子のことを考えていると、突然女の子がバッと顔を上げて私を見つめた。緊張しているのか表情も強張っている。
「あ、あのッ!! ごめんなさい!」
「えっ?」
「そ、その訓練場で馬鹿にして……」
「あー。さっきの」
「はい……」
女の子は目を伏せてうつむいたかと思うと、申し訳なさそうに深々と頭を下げた。
ボロボロの格好をした彼女の姿を見ているとだんだん罪悪感が湧いてきた。
(犯人は魔物じゃなくて私か……)
でもこの子。意外に悪い子じゃないのかも。さっきのことは許してあげようかな?
「もういいよー! 私も吹き飛ばしちゃったしそれでおあいこね?」
「はいっ!! ありがとうございます! あ、あの私マロンって言います!」
「マロンちゃんかぁ! 美味しそうな名前。私はミサキだよ。よろしくね?」
「はいっ! よろしくです!」
私は女の子に向けて片手を差し伸べると、女の子は嬉しそうな笑顔を浮かべながら両手で私の手をとった。
あのあとギルドマスターのグレンさんがちょうど仕事を終えて広間にきたので、マロンちゃんと別れてグレンさんの家に向かった。
「ここが我が家だ!! ささっ、早く中に入ろうぜ!」
「あっ、うん」
そう言うと、グレンさんは扉を開けて家の中に私を招き入れてくれた。
家に入ると小さな足音が私たちに向かって近づいてくる。
可愛らしい5歳ぐらいの女の子だ。
グレンさんも女の子に気がつくと、目尻を下げてデレデレに顔を緩ませながらしゃがみこんで両手を広げた。
「メイ。ただいまぁー! パパが帰りまちたよぉ~!」
女の子は無邪気な笑顔を浮かべながらグレンさんに駆け寄っていくと、嬉しそうにグレンさんの胸に飛び込んだ。
「おとーたん! おかえりなさい!!」
「ん~! ただいまぁ~! メイは良い子にちてましたかぁ~?」
「うん! メイ良い子にしてたぁー!」
(早く家に入りたかった理由はこれかッ!!)
ギルドでみる姿とは大違いだ。見てるこっちが恥ずかしくなってくるぐらい娘にデレデレだよこの人。
グレンさんのデレデレした顔を眺めていると、奥から茶色のロングヘアーの綺麗な女性がこちらに歩いてきた。
「あなた。おかえりなさい。あら? そちらの方は?」
「メアリー、ただいま! この嬢ちゃんは今日ギルドに登録にきたミサキだ! 金がないって言うから今日一晩泊まらしてやろうと思ってな!」
「まぁ。そうなのね! ミサキちゃん。狭い所だけどゆっくりしていってね?」
「とんでもない! こちらこそ急にお邪魔しちゃってごめんなさい」
私が軽く頭を下げると、それを見たメアリーさんが私に向かって優しく微笑みかけてくれた。
「ふふふっ。礼儀正しい子ね。ささっ、そんなとこにいないで早くあがって?」
「ありがとう! お邪魔しまーす!」
居間にいくと、テーブルに3人分の料理が並んでいる。どれもすごく美味しそうだ。メアリーさんはすぐに私の分も用意して、テーブルに並べてくれた。
グレンさん達と一緒に食事をゆっくり楽しんだあと、お風呂をかしてくれると言うので、遠慮なく借りることにした。
脱衣所で衣服を脱いで、浴室に入る。
「おーっ! シャワーや石鹸まであるんだ」
シャワーはレバー式で軽く引くとお湯が出る仕組みになっていた。
身体をよく洗ってから湯船に浸かる。
「ふぅーっ。気持ちいい……。こっちの世界にもお風呂があってよかったー……」
湯船にゆっくり浸かっていると脱衣所の方からメイちゃんの可愛い声が聞こえてきた。
「おねーたん! タオルここに置いとくねぇー!」
「メイちゃんありがとー!」
「うんっ!」
メイちゃんは嬉しそうな返事をすると、小さな足音が脱衣所から遠ざかっていく。
メイちゃんホントかわいいなぁ。お母さん似だし、将来綺麗になりそうだ。
お風呂でさっぱりして居間に戻ると、グレンさんが一人でテーブルに座って飲み物を飲んでいた。
「おう嬢ちゃん! 風呂でたのか!」
「うん。本当に色々ありがと!」
「ガハハハッ! いいてことよっ! それにして嬢ちゃんは俺がいなかったらどうするつもりだったんだぁ? 金もねぇしよ」
「あはは……。本当はアリアちゃんの家に誘われたんだけど、門兵さんに入れてもらえなくてさ」
「アリアちゃん? アルバード家のか?」
「そうそう」
「なんで嬢ちゃんが貴族のお嬢様と知り合いなんだ? 接点がねえだろ」
「んーとね……」
私はグレンさんに、戦場でアリアちゃんを助けて街に来たことを簡単に説明した。
話がややこしくなるので神様代理のお爺さんのことや、兵士を焼き払ったことなんかは話さなかった。
グレンさんは私の話を聞き終わると、顎に手を当てて険しい表情で考え込んだあと、ぽつりと呟いた。
「……草原の悪魔」
「えっ?」
グレンさんは姿勢を正してから、私を真っ直ぐに見つめる。
「……なぁ。嬢ちゃん」
「なーに?」
「ロクサンヌ帝国の兵士を焼き払ったろ?」
「うえっ!?」
(なんでバレたの!?)
ビックリしておもわず視線をグレンさんから逸らす。
それを見たグレンさんは何かを察したのか、呆れたように大きな溜息をついた。
「えーと。どれどれ……」
依頼ボードの前に立ち、ゆっくりと依頼を眺めていく。
日暮れだからなのか依頼ボードに貼られている依頼はさほど多くなかった。
「荷馬車の護衛依頼。あとこっちは……。貴族家での剣技の稽古依頼かぁー」
荷馬車の護衛依頼はめんどくさそうだから嫌だなー。かといって剣技なんて使えないし。
んー……。明日の朝また見にきたほうがよさそうかな? できれば短時間、高収入な依頼がやりたいよ。もう長時間労働は懲り懲りだ。
「あ、あの。良さそうな依頼はなさそうですか?」
「ん?」
依頼ボードを眺めながらどうするか考え込んでいると、後ろから声をかけられたので振り返る。
高校生活ぐらいの赤毛をツインテールにした女の子が立っていた。着ている冒険者風の皮の鎧は、魔物にやられたのか至るところが切り裂かれてボロボロだ。魔物の討伐報告にきたのかな?
「そうだねー。あまりいいのは無さそうかなぁ」
「そ、そうですか……」
ふいに女の子と目が合った。
女の子は私と目が合うと、気まずそうにうつむきながら瞳を左右にキョロキョロと動かして、体をモジモジさせた。
(なんだろうこの子。恥ずかしがり屋なのかな? それとも人見知り?)
私が女の子のことを考えていると、突然女の子がバッと顔を上げて私を見つめた。緊張しているのか表情も強張っている。
「あ、あのッ!! ごめんなさい!」
「えっ?」
「そ、その訓練場で馬鹿にして……」
「あー。さっきの」
「はい……」
女の子は目を伏せてうつむいたかと思うと、申し訳なさそうに深々と頭を下げた。
ボロボロの格好をした彼女の姿を見ているとだんだん罪悪感が湧いてきた。
(犯人は魔物じゃなくて私か……)
でもこの子。意外に悪い子じゃないのかも。さっきのことは許してあげようかな?
「もういいよー! 私も吹き飛ばしちゃったしそれでおあいこね?」
「はいっ!! ありがとうございます! あ、あの私マロンって言います!」
「マロンちゃんかぁ! 美味しそうな名前。私はミサキだよ。よろしくね?」
「はいっ! よろしくです!」
私は女の子に向けて片手を差し伸べると、女の子は嬉しそうな笑顔を浮かべながら両手で私の手をとった。
あのあとギルドマスターのグレンさんがちょうど仕事を終えて広間にきたので、マロンちゃんと別れてグレンさんの家に向かった。
「ここが我が家だ!! ささっ、早く中に入ろうぜ!」
「あっ、うん」
そう言うと、グレンさんは扉を開けて家の中に私を招き入れてくれた。
家に入ると小さな足音が私たちに向かって近づいてくる。
可愛らしい5歳ぐらいの女の子だ。
グレンさんも女の子に気がつくと、目尻を下げてデレデレに顔を緩ませながらしゃがみこんで両手を広げた。
「メイ。ただいまぁー! パパが帰りまちたよぉ~!」
女の子は無邪気な笑顔を浮かべながらグレンさんに駆け寄っていくと、嬉しそうにグレンさんの胸に飛び込んだ。
「おとーたん! おかえりなさい!!」
「ん~! ただいまぁ~! メイは良い子にちてましたかぁ~?」
「うん! メイ良い子にしてたぁー!」
(早く家に入りたかった理由はこれかッ!!)
ギルドでみる姿とは大違いだ。見てるこっちが恥ずかしくなってくるぐらい娘にデレデレだよこの人。
グレンさんのデレデレした顔を眺めていると、奥から茶色のロングヘアーの綺麗な女性がこちらに歩いてきた。
「あなた。おかえりなさい。あら? そちらの方は?」
「メアリー、ただいま! この嬢ちゃんは今日ギルドに登録にきたミサキだ! 金がないって言うから今日一晩泊まらしてやろうと思ってな!」
「まぁ。そうなのね! ミサキちゃん。狭い所だけどゆっくりしていってね?」
「とんでもない! こちらこそ急にお邪魔しちゃってごめんなさい」
私が軽く頭を下げると、それを見たメアリーさんが私に向かって優しく微笑みかけてくれた。
「ふふふっ。礼儀正しい子ね。ささっ、そんなとこにいないで早くあがって?」
「ありがとう! お邪魔しまーす!」
居間にいくと、テーブルに3人分の料理が並んでいる。どれもすごく美味しそうだ。メアリーさんはすぐに私の分も用意して、テーブルに並べてくれた。
グレンさん達と一緒に食事をゆっくり楽しんだあと、お風呂をかしてくれると言うので、遠慮なく借りることにした。
脱衣所で衣服を脱いで、浴室に入る。
「おーっ! シャワーや石鹸まであるんだ」
シャワーはレバー式で軽く引くとお湯が出る仕組みになっていた。
身体をよく洗ってから湯船に浸かる。
「ふぅーっ。気持ちいい……。こっちの世界にもお風呂があってよかったー……」
湯船にゆっくり浸かっていると脱衣所の方からメイちゃんの可愛い声が聞こえてきた。
「おねーたん! タオルここに置いとくねぇー!」
「メイちゃんありがとー!」
「うんっ!」
メイちゃんは嬉しそうな返事をすると、小さな足音が脱衣所から遠ざかっていく。
メイちゃんホントかわいいなぁ。お母さん似だし、将来綺麗になりそうだ。
お風呂でさっぱりして居間に戻ると、グレンさんが一人でテーブルに座って飲み物を飲んでいた。
「おう嬢ちゃん! 風呂でたのか!」
「うん。本当に色々ありがと!」
「ガハハハッ! いいてことよっ! それにして嬢ちゃんは俺がいなかったらどうするつもりだったんだぁ? 金もねぇしよ」
「あはは……。本当はアリアちゃんの家に誘われたんだけど、門兵さんに入れてもらえなくてさ」
「アリアちゃん? アルバード家のか?」
「そうそう」
「なんで嬢ちゃんが貴族のお嬢様と知り合いなんだ? 接点がねえだろ」
「んーとね……」
私はグレンさんに、戦場でアリアちゃんを助けて街に来たことを簡単に説明した。
話がややこしくなるので神様代理のお爺さんのことや、兵士を焼き払ったことなんかは話さなかった。
グレンさんは私の話を聞き終わると、顎に手を当てて険しい表情で考え込んだあと、ぽつりと呟いた。
「……草原の悪魔」
「えっ?」
グレンさんは姿勢を正してから、私を真っ直ぐに見つめる。
「……なぁ。嬢ちゃん」
「なーに?」
「ロクサンヌ帝国の兵士を焼き払ったろ?」
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