らぶこめ! わたしのツンが消える時

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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第六話 今年の夏も気前よく大胆に(5)

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   ◆◆◆

 彼女は楽しんでくれているようであった。
 連れてきてよかった、そう思った。
 しかしそんな彼女の姿を見ながら俺は別のことを考えていた。
 それはこの旅行を計画していた時に浮かんだ、ある考えだ。
 それについて俺は迷っていた。
 旅行なんてやってる場合では無いのでは、という思いが浮かんだほどだ。
 俺一人ならば迷う必要の無いこと。
 だがそれは彼女も巻き込むものだ。
 彼女が納得するかどうかもわからない。
 それ以外にもわからないことが多い。しかし一つだけはっきりしていることがあった。
 バイトと勉強を頑張らなければならないことだ。
 彼女とアトラクションを回りながら、俺はそんなことをぼんやりと考えていた。

   ◆◆◆

 楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
 気付けば三日目だった。
 明日には帰らなければならない。
 しかしこの日はこの旅行の中でも特別な日だった。
 普段ならば夕食の時間にはホテルに戻っていた。
 だけどその日は違った。夕食は外で済ませた。
 なぜか、その理由は夜にあった。

(きれい……!)

 それを見たわたしは感動した。
 それはナイトパレード。
 きらびやかなファンタジー衣装を着た人達が音楽と共に行進している。
 その中でも目をひくのが巨大な馬車。
 大量の電飾で装飾されており、街灯の光が弱く感じるほどに明るい。
 だが、そのまばゆさすら眩ませるものがあった。
 それは花火。
 パレードの背景を彩るかのように、次々と撃ちあがっている。
 すべてを豪華にしてみました、そんなパレード。

「……」

 だからわたしは自然と無口になった。
 口を開けても「すごーい」とかそのくらいのことしか言えないことがわかっていたからだ。
 だけど、

「……すごい」

 自然と言葉が漏れてしまった。
 言ってから、周囲に人がいることを思い出して恥ずかしくなった。
 だけどわたしの声は誰の耳にも届いていないことは明らかだった。
 それぐらいパレードの音が大きい。

「……」

 だからわたしの意識はすぐにパレードのほうに戻った。

 わたしは思いもしていなかった。
 このとき既に、彼があんなことを考えていたなんて。
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