30 / 48
第六話 今年の夏も気前よく大胆に(5)
しおりを挟む
◆◆◆
彼女は楽しんでくれているようであった。
連れてきてよかった、そう思った。
しかしそんな彼女の姿を見ながら俺は別のことを考えていた。
それはこの旅行を計画していた時に浮かんだ、ある考えだ。
それについて俺は迷っていた。
旅行なんてやってる場合では無いのでは、という思いが浮かんだほどだ。
俺一人ならば迷う必要の無いこと。
だがそれは彼女も巻き込むものだ。
彼女が納得するかどうかもわからない。
それ以外にもわからないことが多い。しかし一つだけはっきりしていることがあった。
バイトと勉強を頑張らなければならないことだ。
彼女とアトラクションを回りながら、俺はそんなことをぼんやりと考えていた。
◆◆◆
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
気付けば三日目だった。
明日には帰らなければならない。
しかしこの日はこの旅行の中でも特別な日だった。
普段ならば夕食の時間にはホテルに戻っていた。
だけどその日は違った。夕食は外で済ませた。
なぜか、その理由は夜にあった。
(きれい……!)
それを見たわたしは感動した。
それはナイトパレード。
きらびやかなファンタジー衣装を着た人達が音楽と共に行進している。
その中でも目をひくのが巨大な馬車。
大量の電飾で装飾されており、街灯の光が弱く感じるほどに明るい。
だが、そのまばゆさすら眩ませるものがあった。
それは花火。
パレードの背景を彩るかのように、次々と撃ちあがっている。
すべてを豪華にしてみました、そんなパレード。
「……」
だからわたしは自然と無口になった。
口を開けても「すごーい」とかそのくらいのことしか言えないことがわかっていたからだ。
だけど、
「……すごい」
自然と言葉が漏れてしまった。
言ってから、周囲に人がいることを思い出して恥ずかしくなった。
だけどわたしの声は誰の耳にも届いていないことは明らかだった。
それぐらいパレードの音が大きい。
「……」
だからわたしの意識はすぐにパレードのほうに戻った。
わたしは思いもしていなかった。
このとき既に、彼があんなことを考えていたなんて。
彼女は楽しんでくれているようであった。
連れてきてよかった、そう思った。
しかしそんな彼女の姿を見ながら俺は別のことを考えていた。
それはこの旅行を計画していた時に浮かんだ、ある考えだ。
それについて俺は迷っていた。
旅行なんてやってる場合では無いのでは、という思いが浮かんだほどだ。
俺一人ならば迷う必要の無いこと。
だがそれは彼女も巻き込むものだ。
彼女が納得するかどうかもわからない。
それ以外にもわからないことが多い。しかし一つだけはっきりしていることがあった。
バイトと勉強を頑張らなければならないことだ。
彼女とアトラクションを回りながら、俺はそんなことをぼんやりと考えていた。
◆◆◆
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
気付けば三日目だった。
明日には帰らなければならない。
しかしこの日はこの旅行の中でも特別な日だった。
普段ならば夕食の時間にはホテルに戻っていた。
だけどその日は違った。夕食は外で済ませた。
なぜか、その理由は夜にあった。
(きれい……!)
それを見たわたしは感動した。
それはナイトパレード。
きらびやかなファンタジー衣装を着た人達が音楽と共に行進している。
その中でも目をひくのが巨大な馬車。
大量の電飾で装飾されており、街灯の光が弱く感じるほどに明るい。
だが、そのまばゆさすら眩ませるものがあった。
それは花火。
パレードの背景を彩るかのように、次々と撃ちあがっている。
すべてを豪華にしてみました、そんなパレード。
「……」
だからわたしは自然と無口になった。
口を開けても「すごーい」とかそのくらいのことしか言えないことがわかっていたからだ。
だけど、
「……すごい」
自然と言葉が漏れてしまった。
言ってから、周囲に人がいることを思い出して恥ずかしくなった。
だけどわたしの声は誰の耳にも届いていないことは明らかだった。
それぐらいパレードの音が大きい。
「……」
だからわたしの意識はすぐにパレードのほうに戻った。
わたしは思いもしていなかった。
このとき既に、彼があんなことを考えていたなんて。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる