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Ep3 あの時こうしていれば、そんな二人の章(4)
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最後に観ていたのはホラー映画だった。
何度か観たことがある映画だから恐怖は無かった。
だから、ホラーシーンでもなんとも思わなかった。
背後から忍び寄った殺人鬼が包丁を振り上げるシーン、そこが限界だった。
あなたの意識はそこで沈んでしまった。
だから、
「おい、あんた! 何してる?!」
友人のその叫び声で目を覚ました時、あなたは混乱した。
映画の続きが目の前で、現実に起こっていたからだ。
男が包丁のようなものを振り上げている。
友人がその男の腕を掴んで、それを抑えている。
なぜか部屋は真っ暗で、なにもかもよく見えなかったが、その男はオーナーであるように見えた。
「逃げろ!」
そして直後に響いた友人の命令のような叫び声に、あなたは弾かれるように走り出した。
部屋を出て、同じく真っ暗な廊下を全力で駆け抜ける。
しかしそれが間違いだった。
「っ!」
階段に入った直後、あなたは足を滑らせて派手に転げ落ちた。
あまりの痛みに、立ち上がりが遅れる。
だが、良いこともあった。
その痛みはあなたに冷静さを取り戻させてくれた。
だからまず第一に思った。
部屋を出てきて良かったのか、と。
友人を加勢すべきだったんじゃあないか、と。
直後、その「加勢」という言葉があるものと繋がった。
そうだ、警察!
しまった! 携帯が無い! 充電したままだ!
今から取りに戻る?!
いや、そうだ、電話! この広間にある!
それを思い出したあなたは階段のときと同じようにフローリングの床で足を滑らせながら、電話の受話器を取った。
が、
「……?!」
受話器からは何の反応も無かった。
その原因は、周囲が真っ暗であることからすぐに分かった。
ブレーカーが落とされている、または壊されている、そのどちらかだ。
そしてこの時ようやく、あなたは友達の「逃げろ」という指示も勢いだけだったことに気付いた。車のキーを渡されていないからだ。吹雪の中に逃げ込めとでもいうのだろうか。
だから、あなたの心の中に残された選択肢は一つだけになった。
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