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稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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Ep.1 調査隊の船から回収した記録(2)

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   ◆◆◆

「状況は以上だ。こちらからではどうしようもないので、チームを組んで乗り込んでもらう」

 集まったメンバーに対して隊長が説明を終えると、屈強な男が口を開いた。

「隔壁の向こうに生存者がいるんですかね?」

 同じ事を隊長も思った。
 だが、判断する情報が無い。
 だから隊長は軽く首を振りながら答えた。

「いや、いきなり隔壁をどうこうしようとは思っていない。まずは少数で様子を見に行ってもらう。その後、必要そうな装備を持たせて次のチームを送る」

 そう言ってから隊長は軽くメンバーを見回し、再び口を開いた。

「先発の調査隊は三人で行ってもらう。」

 隊長は少し考えてから決めた。

「そうだな……レイモンドとシェリー、あと一人は……ランベルト、頼めるか?」

 これに古参のランベルトが頷きを返すと、他の二人も同じように頷いた。
 レイモンドは機械に強く、シェリーは医療が専門だ。
 ランベルトに専門は無い。この仕事が長いため大抵のことは出来る。ベテランの何でも屋という感じだ。

「事態は最悪の可能性を示している。未知の病原菌の蔓延などが予想される。全員、対災害用のスーツを装着しろ」

 レイモンドとシェリーは再び頷きを返したが、ランベルトは口を開いた。

「隊長、念のために何か武器を持っていきたいのだが」

 これに隊長は頷き、通信士の女性に尋ねた。

「この基地の壁は何で出来ている?」

 通信士は端末を軽く触ってから答えた。

「とても古い施設ですから……あー、駄目ですね。かなり脆い。威力のある火器は使えませんね。うちの武器の中で使えるものだと……こんなところですね」

 隊長は同じ端末を覗き込み、眉をひそめてから口を開いた。

「骨董品ばかりだな……これだけか?」

 残念ながら、と、通信士は答えた。

「これ以外の武器だと、そこら中が穴だらけになってしまいます」

 その答えに隊長は小さなため息をついた。
 面倒な作業が確定したからだ。
 隊長はその内容を嫌そうに述べた。

「よし、三人以外は今から一緒に俺と来い。倉庫の奥のどこかに眠ってるであろう、このアンティーク品を引っ張り出す作業だ」

 これに、三人以外はあからさまに嫌そうな顔をした。
 しかし隊長はそれを無視し、三人に向かって口を開いた。

「三人は自分達の準備をしてくれ。装備を小型低に積んだら出発だ」

 三人は「「「了解」」」と、綺麗な返事を返した。
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